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鈴木Daichi秀行×AMS Neve 第9弾:8816

2021.07.02

第9弾:8816

アレンジャーワークのみならず、楽曲制作、プロデュース、プレイヤー、自主レーベル[Studio Cubic Records]の運営とアーティストの育成にも力を注ぐ鈴木Daichi秀行さん。地下から地上2階まで、まるまる1棟が「音楽の玉手箱」とも呼べる氏のホームスタジオ、Studio CubicにてAMS Neveのアウトボードを使用して頂いた。連載企画の最後はAMS Neve のサミングミキサー8816を使用して頂きお話をお伺いした。

8816

8816には、+15dB のゲイン、レベル、パン、カット/ソロ、キューコントロールを備えた 16 の入力チャンネルがあります。さらに、ポストインサートミックス機能を使用して、別のステムでミックスしたり、特殊なエフェクトとミックスをブレンドしたりすることができます。

416,900円(税込)

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ラージコンソールのサウンドをコンパクトに

メディア・インテグレーション(以下、MI)

今回はコンソールの開発を行っているメーカーでもあるAMS Neveのサミングミキサーの8816になります。
最近またこのサミングミキサーに脚光があたりつつある印象がありますがいかがですか??

鈴木Daichi秀行 氏(以下、鈴木)

そうですね。一時期はサミングミキサーは使わなくてもいいじゃんっていう雰囲気になっていたんですけど、最近、各社サミングミキサーを発売する傾向がありますよね。

MI

そもそも、サミングミキサーはどういった用途で使用されてきたのでしょうか?

鈴木

元々はDAWが今みたいに主流になる前は、テープに録音して、それぞれのソースをコンソールに立ち上げてミックスするというのが普通だったんですよね。
それがDAWの普及とともに、イン・ザ・ボックスでのミックス、つまりコンソールに立ち上げずにDAWの中だけでミックスをするということができるようになりました。

ただ、DAWが広まってきた頃は、DAWの中だけのミックスだと、どうしてもデジタルの飽和感というか、音の分離感が悪くて、デジタルの音がアナログの音に比べるとちょっと物足りないという印象でした。

結局、当時の多くのエンジニアさんは、ProtoolsなどのDAWに録音した音をコンソールに立ち上げてミックスするという手法が多かったんですよね。そこで、ミックスを行うためにコンソールのサウンドをコンパクトに再現するために開発されたのがサミングミキサーです。

MI

大規模のスタジオをおさえずに、小さなスタジオや自宅でラージコンソールでミックスした音を再現できるということですね。

鈴木

はい。要するに一度アナログ出しをして、コンソールに立ち上げることで、イン・ザ・ボックスでのミックスで気になっていた、デジタルの飽和感や音の分離感が良くなることが分かったので、コンパクトな形でラージコンソールの音を再現できるという物が各社開発してきたっていう感じですかね。

MI

Daichiさんが今、サミングミキサーに求めているのもそういった、デジタルの飽和感や、音の分離感等の改善でしょうか?

鈴木

いえ、DAWが普及し始めた頃と今とでは傾向が変わっていて、前は飽和感や分離感、音のレンジもちょっと狭かったりと、デジタルで補いきれなかった部分をもうちょっと良くしようっていう発想で使用していたんですど、最近だと今は単純にオーディオインターフェースのクオリティーが上がったりとか、内部のソフトの解像度も上がったりとかというので、そういう部分がどんどん良くなってきました。

一時期、サミングミキサーは使わなくてもいいじゃんという時期があったのもそのせいだと思います。

個人的には今は音の解像度が高くなった分、アナログ機器の微妙な音の変わり方が凄く分かるようになったんですよ。
細かい、倍音の歪みだとかが判断できるようになったので、今の使い方としてはちょっとしたエッセンスを足す、キャラクターをつける、みたいな部分をサミングミキサーに求めますね。


アナログならではのサウンド

MI

AMS Neveの8816はいかがでしたでしょうか

鈴木

Protools HDを使っている頃に使用していたので、サウンドの傾向は知っていました。
他のNeve製品に比べると色付けはそんなに強くないと思います。
大胆に音が変わるというよりも、クリアで一体感が出て、アナログならではの奥行き感もでます。音が立体的になる印象です。
最近の音数の多い音楽だと分離感が良くなるとそれぞれの音が分かりやすくなりますよね。

個人的には曲によってサミングミキサーを選択できると一番良いと思うのですが、8816はかなり万能なサミングミキサーだと思います。

実は他のメーカーも含めて、色々なサミングミキサーを試してきたんですけど、8816はいいですよね(笑
今回、イン・ザ・ボックスでのミックスと8816を通したミックスを用意しましたので、違いが分かると思います。

MI

ありがとうございます。
先ほど、最近の音楽は音数が多いと仰っていましたが、8816はその名の通り、16ch入力のサミングミキサーですが、どのように入力するのでしょうか?

鈴木

基本的にはパートごとにステムにまとめて入力します。
ヴォーカル、コーラス、ドラム、ベース、ギターとシンセなどパートごとが多いですね。
ただ、曲によって主役になる楽器は分けて入力します。
パートや楽器数が多いと目立たせたい楽器をそれぞれ入力して、最後のステムに残り全部みたいな場合もあります。基本はステレオで入力しますね。

MI

なるほど。目立たせたいパート、主役になる楽器は、同じチャンンルに詰め込まずに単独で入力するようなイメージですね。
8816はリコールソフトも付属しますがお使いになりますでしょうか?

鈴木

今回は8804というオプションのフェーダーユニットも一緒にお借りしたのですが、

コンソールでのミックスに慣れている方はフェーダーで最後の詰めの作業をするというのも面白い使い方だと思います。

ProtoolsやDAW上でフェーダーを動かすのと、アナログのフェーダーを動かすのって、同じレベルをコントロールしているのですが、割と違うところがあって、DAWみたいに細かいレベルを取っているわけではないんですけど、体感的にアナログのフェーダーを上げた方がぱっとバランスが決まるというか、わかりやすい感じがしますね。
その場合、リコールソフトで保存しておけば、後で再現することができます。

MI

なるほど、いつもレベルで迷う方は一度、アナログフェーダーでバランスをとるのも良いかもしれませんね。
最後にサミングミキサーを検討している方に一言お願いします。

鈴木

サミングミキサーが最初に出た頃は、マイナスをいかにゼロに持ってくかみたいな使い方だったんですけど、今はどんどんDAWの性能が良くなってきて、プラスの方向に持っていく、今のミックスでもいいんだけど、更にもっと音を良くするにはみたいなところを求めて、サミングミキサーにたどり着く方が多いという気がします。
DAWだけでのミックスにちょっと不満があったり、奥行き感がちょっと足りないなと感じている方はサミングで解消される場合も多いと思うので、一度お試しいただくとその違いに驚くかもしれません。


音源サンプル

「森翼/Friday」 ​©​︎Studio Cubic Records

森翼(Studio Cubic Records)/Friday_ITB_MIX

森翼(Studio Cubic Records)/Friday_Neve 8816_MIX


プロフィール

鈴木 ”Daichi” 秀行

アレンジャー / プロデューサー

バンド「Coney Island JellyFish」のメンバーとしてSonyMusicよりメジャーデビュー。 近年はサウンドプロデューサーとしてバンドからシンガーソングライター、アイドルまで、得意な幅広い音楽性を生かし活動する傍ら、新たな才能を求め新人発掘、育成などにも力を入れ自社スタジオ【Studio Cubic】を活動拠点として、自身の音楽レーベル【Studio Cubic Records】から発売されたバンド「Non Stop Rabbit」のアルバムはオリコンデイリー1位となった。


AMS Neve

製品ライフサイクルが短いこの分野で、AMS Neve製品は長年の試練を乗り越えてきました。高い耐久性を実現する設計・製造技術に加え、多くの製品で最新の技術を活用するために、継続的なアップグレードを提供する。当社の長年の方針は、技術の陳腐化を最小限に抑えることを目標としています。 AMS Neve製品の価値は、類似の製品が消え去った後にも長く残り続けています。過去にリリースされた製品の多くは今も日々の制作に使われており、象徴的なそのサウンドは深く愛され、比肩するもののない価値とステータスを獲得してきました。

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