2021.05.10
アレンジャーワークのみならず、楽曲制作、プロデュース、プレイヤー、自主レーベル[Studio Cubic Records]の運営とアーティストの育成にも力を注ぐ鈴木Daichi秀行さん。
地下から地上2階まで、まるまる1棟が「音楽の玉手箱」とも呼べる氏のホームスタジオ、Studio CubicにてAMS Neveのアウトボードを使用して頂いた。
数々のアウトボード 所持している氏にAMS Neve 500シリーズを一通り試用して頂き、全体的な印象をお伺いした。
メディア・インテグレーション(以下、MI)
AMS Neve 500シリーズの現行製品を一通り使っていただいて全体的な印象はいかがでしたでしょうか?
鈴木Daichi秀行 氏(以下、鈴木)
そうですね。現代的な感じと言うかオールドよりクリアではありつつも、Neveの音の太さだったり倍音の出方みたいなところは残っていてすごいバランスがいい印象です。
1073LB、1073LBEQでいうと、他のメーカーの1073系のマイクプリアンプも色々ありますが、それぞれキャラクターが違いますし、意外と音の太さというか、どっしりした感じの音が出せているのってそんなにないんですよね。
割と明るめな印象のマイクプリアンプが多くて、そういう意味でも、さすがオリジナルを受け継いでいるだけあるなって感じがしました。
MI
500シリーズで揃えるメリットはありますでしょうか?
鈴木
小さいスペースに色々入れられて持ち運べるのがいいですよね。
自宅で録音できる方はいいですけど、そうでない方は、外で録音する時に、プリアンプの選択肢として1073LBと88RLBを入れてマイクを選ぶみたいにマイクプリアンプを気軽に切り替えて選べるのは凄くメリットですよね。
さらにEQとコンプレッサーをつなげてチャンネルストリップを自由に組むことができるのもいいところですね。
あとは値段ですよね。1073LBはマリンエアトランスを使用したマイクプリアンプが安価で購入できますし、88RLBはラージアナログコンソールのマイクプリアンプですから、コンソールは個人ではまず買えないですからね(笑
MI
サンプル音源のレコーディングありがとうございました。
鈴木
今回は、ボーカルには1073LB、1073LBEQ、2264ALBの順番で信号を通して録音しています。アコースティックギターは88RLBです。
Neveらしさがよく分かる音源になったと思います。
1073LBはボーカルやベース、キック、スネア、タム等が合うと思います。
88RLBはアコギやエレキギター、ドラムで言うとシンバルのような金物系のような高域に伸びがある楽器に合うと思います。
MI
Daichiさんに機材の相談があった場合、AMS Neve製品の500シリーズを勧めますか?
鈴木
Neve系のマイクプリアンプが欲しいという方には勧めますね。
実際に相談を受ける場合、10万円前後ぐらいの予算感の相談が多いのですが、1073LBや88RLBの価格であれば、手が届きやすいですよね。
他メーカーのNeve系のマイクプリアンプを使用しても、結局オリジナルの音が気になるんですよ。安価なNeveっぽいマイクプリアンプを使うよりはオリジナルをしっかり継承しているAMS Neveを使ってまずはNeveの音を理解するというのがよいと思います。
無理してヴィンテージを購入するよりも、新しい製品はSNもいいし、壊れにくいことを考えると安心して使えるという点も勧める理由の一つです。
MI
これからDAWを始めたい、自宅機材をワンランクアップしたいと思っているユーザーに一言お願いします。
鈴木
音の入り口であるマイクプリアンプは現代のレコーディング環境において一番大事な機材 の一つだと思います。
最近はボーカルの方に家に来てもらって録音したり、楽器を弾く方だったら楽器も自宅で録音する機会が増えていると思います。
パソコンとオーディオインターフェイスがあれば、場所も選ばず、気軽に録音できてしまいますが、マイクプリアンプを変えるだけで、音は格段によくなりますし、差別化もできます。
音の入力の部分にこだわってみてはいかがでしょうか?
ソフトウェアとハードウェアの違いが分かると、その違いに驚くと思いますよ。
作詞・作曲・歌:森翼(Studio Cubic Records)/楽曲名:music
森翼(Studio Cubic Records)/Music_Vox_REDD-1073LB-1073LBEQ-2264ALB
森翼(Studio Cubic Records)/Music_AG_with_C414-88RLB
森翼(Studio Cubic Records)/Music_FINALMIX
AMS Neve