Oxford DeBuzzerは検知、除去の2つのステージに分かれて動作します。通常、バズノイズの除去にはコムフィルターを使用します。コムフィルターには多数の細いノッチがあり、バズノイズの基本周波数成分と倍音成分とを除去します。このプロセスが有効に機能するためには、基本周波数を厳密に決める必要があります。
DebBuzzerは、基本周波数を分離させるために幾つかの手段を備えています。
1つは、中央のロータリーコントローラーの上部に表示されているピーク・プロファイルです。ピーク・プロファイルは、入力信号のうち与えられた平均周波数に該当する信号成分の強度を示すものです。次は、常に存在する周波数成分を目立つように強調表示するためのFFTディスプレイです。自動的に最も大きいものから順に3つのピークをマーキングします。グラフ上のピーク部分のいずれかをクリックすると、平均周波数を設定できます。
基本周波数を分離させるための3つめの手段は、トーン・ジェネレーターです。ギターのチューニングと同様の方法で、基本周波数とのずれによって生じるうなりが遅くなるほど、基本周波数に近づいていることが分かります。
3種類のトラッキング・モード
DeBuzzerは、Fast、Auto、Freezeの3種類のトラッキング・モードを搭載しています。デフォルト設定ではAutoモードに設定されており、ピーク・プロファイルの平均周波数の上下の成分を検知し続けます。強度が一定値を超えると、プラグインは自動的に検知されたピークに平均周波数を設定します。ハムノイズの周波数が変化している場合は、追従して検知します。ゆっくりと基本周波数が変化する弱めの成分に対してはAutoモードが有効です。3つの周波数バンド全てに対してトラッキング動作が行われます。Fastモードでは、基本周波数が素早く変化する成分に対して自動的にノイズ除去フィルターが適用されます。
Autoモードにおいて平均周波数は中央の大きなロータリーノブで設定します。50Hzまたは60Hzのハム周波数から上下5Hz以内の間に設定されますが、プラグインは検知した周波数に向って自動的に平均周波数を移動させ、ハムノイズを除去するよう設定を行います。ハムノイズが消えたことを確認したら、Freezeモードに切り替えることで平均周波数が固定され、以降のハムノイズ検出は行わなくなります。
中央の大きなロータリーノブでは、3つの周波数レンジを設定することも可能です。各レンジはLF、MF、HFボタンで選択し、1万分の1Hzの高精度で設定可能です。
うなりノイズの除去もFreezeモードで行うのが良いでしょう。FFTを使用してうなりの周波数を特定します。描き出されるピークをクリックすると、そのピーク周波数成分を除去するように設定されます。
フィルターの選択
ノイズ除去フィルターに関しては、デフォルト設定ではコムフィルターが適用されますが、代わりにPara-EQモードを選択することも可能です。Para-EQモードでは、基本周波数および倍音成分の除去にパラメトリックEQを使用することができます。もしバズノイズに大量の倍音成分が含まれている場合や、バズノイズの周波数が変化している場合においては、コムフィルターを使用するのが最善の方法です。逆に、除去すべき倍音成分が1つまたは2つの場合には、パラメトリックEQによるノイズ除去の方が好ましい結果を得られる場合もあると考えられます。
Para-EQモードではSlopeコントローラーを使用して、周波数が高くなるのに従ってアッテニュエーションを下げることができます。また、奇数倍音または偶数倍音の成分のみを除去することも可能です。
アウトプット
アウトプットパネルの試聴セクションでは、入力されたオーディオ信号とプロセッシング処理された出力信号との差分を聴くことができます。これには’Diff’とラベル付けされており、どの成分が修復されたかを聴いたり、オーディオ素材によって気をそらされることなく、純粋に修復のクオリティを確認するのに便利です。