MAGNETIC llは、オープンリール・テープの暖かいサウンドをトラックに与えるプラグインMAGNETICに、贅沢にも9種類のビンテージ・レコーダーのシミュレーション機能を追加した新しいプラグインです。簡単なパラメーターの選択で、無機質なオーディオ・トラックに真空管回路のサウンドやアナログ・テープのサチュレーションを加えることができます。
MAGNETIC llの用途は実に様々です。ドラム・トラックにインサートして微妙な暖かみやテープ感を加えたり、フィルターがかかったカセットテープの設定では、ボーカル・トラックにAMラジオのようなエフェクトをかけることもできます。マスターのバスで使うと、ミックス全体に暖かみを与え、ブースト感を加えます。30年以上前に製造されたオープンリール・テープのレコーダーを指先一つで(もちろん、メンテナンス費用を気にすることなく)操作することができます。
レコーダーの種類を選ぶ
Reel Speedノブを1から30の間に設定し、左側のセレクターで機種を選択します。
- Otari MX-80 2インチ 24トラック
- Otari MTR-90 2インチ 24トラック
- Ampex MM1200 2インチ 24トラック
- Ampex ATR-102 ハーフ・インチ 2トラック
- Tascam ATR60-16 1インチ 16トラック
- Studer A80 Mk II 2インチ 24トラック
- Studer A827 2インチ 24トラック
- Studer A820 2インチ 24トラック
- MCI JH24 2インチ 24トラック
ワウ&フラッター効果を加える
Reel Speedノブを1から30の間に設定すると、Wow & Flutterノブが有効になり、アナログテープの再生時に発生する不規則な変化を加えます。
テープの種類を選ぶ
Reel SpeedノブでDASHが選択されていると、テープセレクタがオフになり、80年代~90年代のデジタル・レコーディング・サウンドを再現します。
オープンリール・テープのサウンドが必要な時は
ビートルズ、ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、ドアーズからクイーンまで、1990年代以前の名盤は、すべてオープンリール・テープでレコーディングされていました。
では、なぜその時代にレコーディングされたアルバムは「音楽的」、「自然」、「暖かい」といった印象をもたらすのでしょうか?それは、歪みによって生成された倍音が、低音の密度を濃密に、ミックス全体を豊かに感じさせる印象を生み出すからです。さらに高域にコンプレッションがかかることで、より人間の耳に心地良い音に近づきます。今日でもデジタル・レコーディングした素材を、いちどアナログ・テープに移してからミックスする人が後を絶たないことには、そんな理由があります。
大容量のハードディスクが一般化する前、80年代~90年代には、デジタル録音もテープで行なわれていました。三菱のProDigi、ソニーのDASH(Digital Audio Stationary Head)がその代表例でしょう。MAGNETICには、DASHモードも装備されているので、80年代~90年代のサウンドが欲しい時も重宝することでしょう。