DAW内部でアンプヘッド、テープによるアナログミックス環境を再現する。
定番のFilterBank、CompressorBankでも、こっそりと、最終段にアナログサチュレーション回路を用意していたMcDSP。「アナログ感覚でブーストできるデジタルEQは、これがはじめて」と、FilterBankユーザーの評価が高かったアナログレベル飽和モデリング技術を生かした、製品です。
McDSP Analog Channelを使えば、ハイエンドアナログテープマシン、アナログテープ、アナログチャンネルアンプを、DAWの内部に再現することができます。
McDSP社おすすめの使用方法は、全チャンネルインサートの頭にAC101を、マスターにAC202をインサートし、それから基本ゲイン調整時、DAWのフェーダーは規定位置のままにして、各チャンネルの信号量をAC101のInputツマミで調整する使い方です。
Analog Channelで解決。
- デジタルのみのミックスでは、なかなか音が混ざらない。
- 各トラックで0dBクリップを気にするあまり、慎重で無難なミックスになりがち。
- マキシマイザーも便利だが、独特の音質に飽きてしまった。
- ミックスの過程で、一度アナログマシンを通すと気持ち良い音になるが、好みのアナログテープマシンを備えたスタジオがなかなか見つからない。
- 実際のアナログ機器も良いのだが、思い通りの音が得られるとは限らない。Pro Toolsならではの完全なコントロール能力を駆使して、アナログ機器の特性までとりこんだ環境を、自分の判断で選択/設定したい。
McDSP Analog Channelは、そんな不満を解決してくれるプラグインです。
AC101: アナログコンソールのクラスAゲインステージを再現。
通常のデジタルトラックでは、一瞬でも0dBを超えると、致命的なデジタルクリッピングノイズを発生します。そのため、あるトラックでピークを発見したらレベルを下げて、それに合わせて他のトラックも下げる、といった作業の繰り返しになりがちです。
そんな時、アナログプリアンプを再現したAC101を各チャンネルにインサートすると、多少オーバー気味でもデジタルクリッピングを心配する必要から解放されるので、大胆なゲインが調整が可能となります。
AC101に装備されたドライブツマミを使えば、各オーディオトラックが飽和/圧縮される量をコントロールすることができます。アタック、リリースツマミを使えば、飽和音のキャラクターを調整することもできます。
さらに、軽さでは定評のあるMcDSPプラグインの中でも特に軽いAC101は、HDなら数十のトラック、もちろんネイティブでCPUの許す限りの数を起動することができます。全チャンネルの頭にインサートして、アナログ卓同様、音楽的なミックスに専念できる環境を再現することもできるでしょう。
AC202: アナログテープマシンを再現。
AC202は、あらゆる業務用アナログテープマシンの再生音を再現します。バイアス、再生スピード、IEC1/2イコライゼーションなど、アナログテープマシンの調整を行ったことのある方ならおなじみのパラメータはもちろん、ロールオフ、ヘッドバンプを周波数特性グラフを見ながら調整する、といった、実際のテープマシンでは難しいことも実現可能です。
各パラメターは再生スピードとは独立してコントロール可能なので、「味のある低域レスポンスには再生スピード15ips、高域特性を重視したい時は30ips」といった議論を超越することさえ、可能でしょう。
正確なモデリングと実用的なプリセットで定評のあるMcDSP製品らしく、AC202のヘッドもAmpex MM 1200、Studer A80 mkII、Otari MX-80、Sony APR-5000、Tascam ATR60など豊富なキャラクターから選択できます。テープの種類も、ビンテージ/モダンを選択可能。これだけのテープマシンをすべて用意しているスタジオなんて、なかなかないですね。