2017.07.24
BIASはソフトウェア版のBIAS Ampがリリースされた時から気になっていて、すぐに使い始めました。音の印象もよかったし、レスポンスも速くて弾いていて気持ちいい。それだけでなく、アンプを自分の好きなように作り込めるというのがよかったですね。例えばRoland JCのアンプをベースにしていながら、トランジスタを真空管に置き換えてしまうとか。もっと面白いのは、トランスまで変えられてしまう。実際のアンプではできないことですよね。定番のFenderやMarshallだけでなく、VoxやMatchlessもよかった。
ハードウェア版となったBIAS Headもさっそく自分のスタジオや現場で使ってみましたが、専用ハードウェアということもあってレイテンシーが極小に抑えられているのがいい。デジタルなのでゼロということはないのでしょうけど、全く気になりません。限りなくゼロに近い体感ができます。今まで他社製の同じコンセプトの製品もたくさん使ってきましたが、レイテンシーの低さはずば抜けています。イヤモニなどでシビアなチェックができるシーンで使っても問題ありませんね。
先日の現場では、手元にiPadの用意がなかったので本体だけで操作をしていたのですが、十分なほど音作りができました。必要なものは全てツマミになってパネルにレイアウトされてますからね。
アンプで得られる歪み、アナログフィールの歪みも素晴らしいのですが、そこからさらに先にある「新次元の歪み」の領域に達しているなと感じました。相当深く歪ませても、音の立ち上がりがよくて潰れないんです。ジェント系のサウンドを作ったときでもきっちり細かいピッキングのニュアンスが残ってくれる。このサウンドはアナログのアンプではきっと不可能なんじゃないかなと思います。近年のデジタルアンプで作るハイゲインサウンドには満足できないものも多かったですが、BIAS Headは満足だけでなく、新次元ですよ。
真空管を交換できること、トランスを変更できること、バイアス調整もできること、どれも「難しそう、ややこしそう」な印象を持ちがちですが、BIASシリーズは非常に簡単。「デジタルものは苦手、でもディープなカスタマイズはしたい」という人でも簡単に使いこなせるでしょう。ツマミで用意されていないパラメーターも1つだけ「カスタムツマミ」にアサインすれば現場でも動かすことができます。これがすごく便利です。
実在のアンプトーンをコピーする機能…BIASシリーズで言えばアンプ・マッチの機能にも興味はあるし、実際に自分でもやることはありますが、思っていたのとは違う結果になることが多い。だからこそBIAS Headがもっている音色の幅広さがいいですよね。コピーや理想といった概念じゃなく、新しい音に出会える。シンプルにいい音が出てくれるというところがいいですよね。
Profile
ギタリスト
逹瑯(Vo)、ミヤ(G)、YUKKE(B)、SATOち(Ds)からなる4人組ロックバンドMUCC(ムック)のギタリスト。
国内外問わず数多くの箇所、本数のライヴを行っており、海外ではヨーロッパ・アメリカ・中国・ロシア・南米の計13か国で公演を100本以上実施。国内においても日本武道館、幕張メッセ、国立代々木競技場第一体育館等で単独ライブを開催し、SUMMER SONICやOZZFEST、KNOTFEST JAPANなど大規模Fesへも出演。
そして2017年にはバンド結成20周年を迎え、6月に日本武道館2デイズ公演を実施。そして更なる加速をみせる。