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イマーシブサウンドを「見える化」するアナライザー FLUX:: MiRA Studioレビュー

2025.12.18

Dolby Atmosをはじめとするイマーシブ・サウンド制作では、10台以上のスピーカーが使用されます。そんな多チャンネルスピーカーの中から「いま、各スピーカーがどれくらいの音量で鳴っているのか、いま発音しているオブジェクトはどこから出力されているのか」これを視覚的に確かめられたらどれほど心強いでしょうか。サウンドを「見える化」することでミックスはより直感的になり、耳の疲労を軽減し、オブジェクトの配置ミスを防ぐことができます。

そんな願いを実現してくれるのが FLUX:: MiRA Studioです。Dolby Atmos、Auro-3D、NHK 22.2など、最大24チャンネルのイマーシブ環境に対応するオーディオ解析ツールで、特に注目すべき機能は「Nebula 3Dアナライザー」です。空間内のサウンドエネルギーが立体的に表示され、音がどのスピーカーから、どれくらい放射されているかを視覚的に判断できます。

アナライザー・グラフィックの美しさも大きな特徴のひとつ。スタジオを鮮やかに彩り、エンジニアだけでなくアーティストのクリエイティビティまで刺激してくれる、まさにイマーシブオーディオ時代のアナライザーです。

Nebula 3Dアナライザーで、イマーシブ・サウンドを視覚化

Nebula 3Dアナライザーは、スピーカーが空間内のどの方向に、どのくらいのエネルギーで音を放射しているかをリアルタイムのアニメーションで表示します。音の方向へ光の粒が伸び、音の強さによって光の強さが変わり、周波数によって色が変わるという、とてもアーティスティックな可視化です。上の動画ではDolby Atmos 7.1.4chスピーカーレイアウトに設定され、バイノーラルサウンドで試聴しています。

使い方はシンプル

MiRAにインプットするオーディオソースを選択します。オーディオインターフェースのドライバをはじめ、アプリ間でオーディオ信号を橋渡しするブリッジ・ドライバも選べます。筆者はAudiomovers OMNIBUSを使用していますが、その他ループバック設定ができるソフトをお持ちであれば、インプットソースに使用できます。

専用プラグインを使えば、より簡単、フレキシブル

MiRA-SampleGrabber プラグイン

DAWのトラックやマスターチャンネルに MiRA-SampleGrabber プラグインをインサートして、MiRAのオーディオソース設定から「SampleGrabber起動中のネットワークマシン名」を選択します。すると、SampleGrabberをインサートしたチャンネルのスピーカーフォーマットに合わせて、MiRAのI/Oセッティングが自動設定され、MiRAに音声が入力されます。

ネットワークマシン名を選択すると、MiRAのオーディオインプットセッティングが自動設定される

ネットワーク経由で、別のパソコンでもアナライズが可能

MiRAのスゴイところは、SampleGrabberプラグインをインサートしたトラックのオーディオデータがネットワーク経由で送信される点です。DAWを起動しているマシンはもちろん、同一ネットワーク内にある別のパソコンでMiRAを立ち上げるだけで、DAWがなくてもアナライズすることが可能。DAWメインマシンに負荷をかけずに、サブマシンでアナライズすることができるのです。使わなくなったパソコンをアナライズ専用マシンとして使うのも良いでしょう。

あらゆるスピーカー・レイアウトを網羅

写真1 Stereo 2ch
写真2 Sorround 5.1ch
写真3 Auro 3D 9.1ch
写真1 Dolby Atmos 7.1.4ch
写真2 Dolby Atmos 9.1.6ch
写真3 NHK 22.2ch

MiRA Studioは最大24チャンネルのインプットに対応。インプット数に応じたスピーカーレイアウトが、多岐にわたるフォーマットでプリセットされています。

(例)16chインプットに用意された、スピーカーレイアウトのプリセット

13種類のアナライザーレイアウト + カスタマイズも可能

記事冒頭の動画内で、アナライザー・レイアウト画面の切り替えをしています。周波数スペクトル、ネブラスペクトログラム、RMS、ラウドネス、リサージュ、マグニチュードスペクトラム、スライディングコンプレス、ウェイブスコープ、メータリングヒストリーなどなど、数多くのアナライザーが用途に合わせてセレクトされ、13パターンにレイアウトされています。選択したレイアウトから特定のアナライザーを拡大表示も可能です。

デフォルトで用意された13パターンのレイアウトに、必要な表示パターンが無い場合は、カスタム・レイアウト機能から同時に表示するメーターを選択、表示領域を自由に調整、自分だけの新しいレイアウトを作成して保存することも可能です。

Wavファイルを読み込んで、ピーク/RMS/ラウドネスが確認できる

曲全体のピークやRMS、ラウドネスを確認したいとき、曲の最初から最後までアナライズするには実時間がかかります。そんなときは、曲全体をバウンスしたWavデータをMiRAで読み込めば、一瞬にして曲全体のピーク/RMS/ラウドネス値を確認することができます。

さらに心強い、エラーメッセージ表示

サンプルピークが 0dbであっても、サンプル間補間により D/A変換後には 0dbを超える True Peak が発生する場合があります。上の画像のように、Peakが0dbを超えた場合にはエラーメッセージで教えてくれます。

サウンドの「見える化」で、作業効率と精度が大幅アップ

FLUX:: MiRA Studio は、従来のイマーシブ・ミックスを、視覚的・客観的なアプローチへと引き上げてくれる分析ツールです。Nebula 3Dアナライザーによって、 音の放射方向・強さ・空間占有率がリアルタイムに見えるようになり、オブジェクト配置のミスやレベルの過不足を瞬時に判断できます。

全方位的なイマーシブ・スピーカーレイアウトに対応でき、SampleGrabberプラグインによるネットワーク転送、豊富なアナライザー、Wavファイルを瞬時に解析するオフライン処理など、制作現場の作業効率と判断精度を大幅に高める設計が随所に盛り込まれています。

音楽・映画・ゲーム・VR/ARなど、イマーシブ・オーディオ制作を行うエンジニアやアーティストにぜひチェックして頂きたい次世代アナライザーです。

MiRA Studioを30日間使えるDEMO版はこちら

FLUX:: MiRA Series – オーディオ・アナライザ・ソフトウェア
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