2025.10.14
宅録や配信の普及で「自宅でも本格的な録音環境を作りたい」という声はますます増えています。
そんな中、オーストリア発のマイクブランドLEWITTは、手頃な価格帯からハイエンドまで幅広く展開し、プロ・アマ問わず注目を集めています。
今回はアニメ・ゲーム・Vtuberなど幅広く楽曲提供を行う若手作曲家 涼木シンジさん に、実際に LCT 240 PRO / LCT 440 PURE / LCT 540 S を試していただき、その印象を伺いました。
―― まずは簡単に自己紹介をお願いします。
作詞・作曲・編曲家として、アニメやゲームを中心に楽曲提供をしています。涼木シンジです。
最近ではVtuberやVsingerの楽曲制作に携わることが多いです。またギタリストとしてステージサポートも行っています。
今回はメディア・インテグレーションさんから LCT 240 PRO / LCT 440 PURE / LCT 540 Sをお借りして、実際の仕事でどのように使用できるかをテーマに試させていただきました。
―― LEWITTを知ったきっかけは?
最初に名前を耳にしたのはSNSでした。それから宅録をしている友人や、エンジニアの方がレコーディングで使っているのを見て気になりました。
また「価格帯が手頃なのに、高いクオリティで録音ができる」という評判があったので、ずっと試してみたいと思っており、今回の試用は本当に楽しみにしていました。
まず価格に驚きました。約16,000円という価格帯で、この音質と扱いやすさは頭ひとつ抜けている印象です。
宅録でのボーカル録音では、ミッドの奥行きをしっかり持っていってくれて、オケに馴染ませやすかったです。アコギ録りでもクセがなく、巻弦の太さをしっかり捉えてくれる。「最初の1本」に本当におすすめできるマイクですね。
LCT 240 PROと比べて、細かなニュアンスをしっかり拾う印象でした。そして特に驚いたのはノイズの少なさ。低価格帯のマイクだとセルフノイズが大きいこともある中、LCT440 PUREは録音後にノイズ処理をほぼ必要としない印象でした。
またボーカルではよりクリーンで透明感のあるサウンドで、ローもすっきりしていて近くで聴こえる感覚がありました。高音域がキラッとするのも気持ちよかったです。
LCT 240 PROからのアップグレードでここまで変わるのは衝撃でした。
まず感じたのは出音の大きさ。とにかくゲインが高いので、LCT 440 PUREの時よりオーディオIFの入力を下げて使用しました。なので別途マイクプリを用意しなくても十分に録音できる印象です。
音の輪郭もハッキリしていて、ミッドの豊かさがとても気持ちよかったです。自然なコンプ感もあって、汎用性の高いマイクだと感じました。
実はちょうど制作中だった楽曲で、LCT 540 Sを使ってアコギを録音したんですが、そのまま採用になり後日フル尺を仕上げる時に、もう一度問い合わせて録音しました(笑)。
―― 作曲家にとって、理想のコンデンサーマイクとは?
クセがなく素直に録れること、出したい音にストレスなく対応してくれることだと思います。
あと、ノイズの少なさは本当に大事です。LEWITTはその点をしっかり解決してくれています。
実際にリリースした曲で使用した時も、LEWITTの音は完成に近いイメージに直結していたので、録音からミックスまで非常にスムーズでした。処理も最低限で済み、例えば下の例のようにEQと軽いコンプレッションのみといったシンプルな仕上げで十分な結果になりました。
※実際のリリース楽曲で、Lewitt LCT 540 Sを使用して録音したアコギのEQ処理と使用プラグイン例(左列が処理に使用したプラグイン)
デモ制作でも「マイクの音が違うな」と思うと妥協感が出たり、イメージをつかむため処理に時間を使ってしまいますが、LEWITTなら完成形に近い音で録れるので、ミックス処理も最小限で済みます。そのまま完パケとして提出できるレベルです。
今のJ Popやアニソンのトレンドである硬質なサウンドとも相性が良くて、まさに「令和の定番マイク」になりうると感じました。
―― どんな人におすすめですか?
初心者からプロまで幅広くおすすめできます。特に LCT 240 PROはコストパフォーマンスが圧倒的で、初めての1本 に迷っている人に最適です。
一方で、LCT 440 PUREはLCT 240 PROと比べてノイズレスで繊細な表現ができるので、宅録をもう一段アップさせたい人にぴったりだと思います。
LCT 540 Sはプロも納得の万能機だと思います。ゲインの高さや適度なコンプ感もあり、予算が許すなら最強の1本と言えますね。
今の音楽シーンは宅録完結が増えていて、クオリティの高い音源を作れるかどうかが勝負です。アレンジやメロディーだけでなく、デモの音質が良くないとコンペに通らないことが殆どです。そういった部分をしっかり手伝ってくれるのがLEWITTの強みです。
また、配信者やオンラインで活動する人が増えている今、幅広い層にハイパフォーマンスな音質を届けられると思います。
涼木シンジ
作編曲家
18歳から本格的にギターを始め音楽専門学校を卒業後ギタリスト作詞作編曲家として活動中
主なWorks