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teenage engineering「now」アーティクル #1 Erick the Architect

2025.07.09

スウェーデン発の革新的な楽器ブランドteenage engineering。そのプロダクトの美しさとユニークな楽器に、世界中のアーティストが魅了されています。本記事では、同社公式サイト「now」セクションから、注目のアーティクルをピックアップしてご紹介。インタビューをはじめ製品開発の裏話、デザイン哲学、アートやカルチャーとの関わりなど、teenage engineeringの "いま" を知ることでより深く彼らの世界観に触れてみませんか?


Erick the Architect - Flatbush Zombiesからソロへ。心境や変化、そして音楽に与えたニューヨークの影響、さらに2025年に向けての展望まで

ラッパー、プロデューサー、そしてオールラウンドなクリエイターとして知られるErick the Architectが、いま改めて自分自身を再提示しようとしている。ニューヨークで育ち、音楽に恋をした少年時代を経て、サイケデリック・ヒップホップの象徴的グループFlatbush Zombiesを結成。その後10年以上にわたり、世界ツアーや高く評価されたアルバムを経験し、現在はソロアーティストとして新たな道を切り拓いている。

昨年、Erickは自身にとって最も野心的かつ内省的な作品、『I’ve Never Been Here Before』を発表した。少年時代の記憶と現在の心境が交差する全16曲のこのアルバムは、最近ディレクターズ・カット版として再リリースされ、Channel Tres、George Clinton、Joey Bada$$といったすばらしいアーティストとのコラボも収録された。

そして今回、新たに3曲入りEP『Arcstrumentals 3』をリリース。『I’ve Never Been Here Before』の持つ独自性と内面性を保ちながら、ダンスやエレクトロニックの要素が加わった進化系サウンドとなっている。これはJungleやL’Impératriceといった友人とのコラボが影響したとのこと。大胆な音楽的方向転換にも見えるが、予測不能こそがこのブルックリン出身のラッパーの魅力だ。

―成功したグループ活動からソロへ転向するのは簡単なことではありません。その決断に至った理由と、その経験について教えてください。

ラップとビート制作は15歳の頃からずっとやってきたことなんです。初めて自分でプロデュースしたプロジェクト『Almost Remembered』は、今と同じアーティスト名で2011年にリリースしました。当時はまだFlatbush Zombiesが始まる前。グループが動き出したのは2012年、『D.R.U.G.S』というミックステープをMeechy DarkoとZombie Juiceと一緒に出した時ですね。あの作品が、俺たちをグループとして確立させてくれました。

Flatbush Zombiesとして活動している中で、"The Architect(建築家)"という自分のキャラクターや世界観を探求できたのは本当に貴重な体験でした。でも、アートってすごく個人的なものだし、時間が経てばインスピレーションも変わっていきます。

ある時、自分が探求したい音がグループの方向性と必ずしも一致しなくなってきていることに気づいたんです。グループの成功があってこそ今の自分があるけど、集団で動く以上は、どうしても自分のクリエイティブなビジョンの一部を「全体のために」譲らないといけない。

だからサイドでいろいろ実験し始めて、別名義で単発の楽曲を出したりしてました。2019年にFlatbush Zombiesとして『Escape From New York』を出した頃には、母が亡くなっていて、すべてが変わってしまった。ニューヨークにはまだいたし、同じ仲間とも仕事はしてたけど、「自分は変わらなきゃ」と思ったんです。

もっと挑戦したかったし、自分のコンフォートゾーンから引っ張り出してくれるような人たちに出会いたかった。ロサンゼルスに来るたびに、James BlakeやMount Kimbie、ダンスミュージックのアーティストたちとリンクしてました。彼らは昔から憧れてた存在です。

そうやって新しい環境に飛び込んでいった結果、次の大きなステップが生まれました。それが18分の短編プロジェクト『Futureproof』。ロサンゼルスへの引っ越し、コロナ禍、ロンドンの友達を訪ねたこと…いろんな出来事がつながって、この作品が生まれました。

それが俺の人生を変えたんです。このプロジェクトに対する反応が、自分にとっての大きな答えだった。「自分の物語を自分で語るしかない」「グループの一員以上の存在にならなきゃいけない」「ヒップホップという枠を超えていきたい」ってね。そして今に至ります。

―『I’ve Never Been Here Before』と『Arcstrumentals 3』。この2作品のインスピレーションや違いについて教えてください。

『I’ve Never Been Here Before』では、一曲一曲が自分の人生のスナップショットみたいなものなんです。Flatbushの通りで育った記憶、母の死、アンチの声、自分自身への疑念…そういうものを全て詰め込みました。

3曲ごとに一つの時間軸を切り取るような構成にして、当時の感情をパッケージしています。アルバムを聴き返すたびに、その瞬間に戻れる。ある意味で、それが美しい体験なんです。

一方の『Arcstrumentals 3』は、最近自分がよく聴いている音楽を反映させた3曲。『I’ve Never Been Here Before』の音楽的な要素も少し残しているけど、もっとポジティブなエネルギーを込めたかった。人生には楽しんでもいい瞬間があっていい、笑っていい、ってことを思い出させてくれるような音楽です。

『Arcstrumentals』シリーズらしく、まずコンセプトを決めて、その世界観に沿って曲を作っていく。今回は、自分がずっと愛してきたダンスミュージックへの入り口として、この3曲を選びました。ライブ楽器もたくさん使っていて、思わず体が動き出すような音になっています。

―『I’ve Never Been Here Before』にはニューヨークという街が大きなテーマとして存在しています。あなたにとって、この街は音楽にどんな影響を与えましたか?

ニューヨークはヒップホップ、ジャズ、ボールルームカルチャーの発祥地。だから、この街の影響を受けずに音楽をやるなんて、ほとんど不可能なんです。実際に行ったことがある人なら、あの特別な空気感がわかると思う。渋滞だらけの通り、人種も文化も入り混じったごちゃごちゃした街並み、あらゆるバックグラウンドの人々が一緒に生きている。それこそが、ニューヨークを「世界の文化の首都」たらしめている理由です。

自分が育ったフラットブッシュの通りには、西インド系、中国系、汎アフリカ系、日本人コミュニティまで、ありとあらゆる文化が混在してました。ボデガ(小さな売店)からはレゲトン、高層住宅からはサルサ、角を曲がればアラブ音楽が聴こえてくる。そんな環境が、俺の音楽性の土台になっています。

たとえば『Ca$hmere Tear$』なんかも、あの頃の記憶が染み込んでる。子どもの頃はジャマイカとフラットブッシュの違いなんて意識してなかった。全部「家」だった。ただの「自分の世界」だったんです。

―Erick the Architectとして、これからの展望は?

新作アルバムとEPに加えて、去年は『The Choice is Yours』という作品のスコア(劇伴音楽)も担当しました。つい最近もL’Impératriceとの西海岸ツアーが終わったばかり。

今、自分の創造性はまさにピークにあります。ひたすら曲を書いてるし、他のアーティストへのプロデュースもしている。まだまだ伝えたいことが山ほどあるし、今年それを全部カタチにしていくつもりです。


Erick the Architectが制作したスペシャルサンプルパック「TECTS TOOLS」配布中!

Erickが私たちのために特別に制作してくれたサンプルパック「TECTS TOOLS」が、いまダウンロード可能になっています。

    ▶︎ サンプルパック & プロジェクトの内容:
  • Group A:Scene 1〜3 のメインドラムループ
  • Group B:Scene 1〜3 のパーカッション
  • Group C:サイドチェインされたループ
  • Group D:ボーカル + ギター

EP-133 または EP-1320 を使っている方は、「バックアップ&リストア」→「プロジェクト」セクションから、このパックを新しいプロジェクトとして読み込むだけで、すぐにErickのサウンドを体験できます

サンプルパック「TECTS TOOLS」をダウンロード
EPプロジェクト版としてダウンロード
EP-133 K.O.II
EP-1320 medieval
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