Sonarworks スピーカー・キャリブレーション、そのテクノロジーについて
2017.03.28
スピーカー・キャリブレーションのプロセスは大きく3つのステップに分割できます:スピーカーの音響強度測定、周波数レンジの調整、そして音響補正プラグインです。
スピーカー測定のテクノロジー
特許申請のスピーカー測定技術群
PAFR - Perceived acoustic power frequency response
人の音響認識にもっとも近い測定システム
PAPFR(音響強度認知周波数特性)は、ある一定の聴取位置または空間における、人の音響強度の認知を算出するための革新的な測定コンセプトです。音響強度周波数特性は、ある場所において、音圧レベルよりも私たちの聴覚をより的確に表します。PAPFRを用いることで、測定結果に正確さと安定さ、かつ一貫性と再現性をもたらすことができます。PAPFRによって慣れ親しんだサウンド・システムを視覚化すると、そこに隠された見識やひらめきがあることが分かってきます。
AMPS - Automatic Microphone Positioning System
測定マイクポジションの自動検知
AMPSはSonarworksの持つラウドスピーカー測定に関わる製品すべての根幹をなすシステムです。このテクノロジーにより、測定中のマイクの位置は、音響的な三辺測量によって自動で検知されます。これにより測定のプロセスをより直感的に、かつ容易に進めることができるのです。AMPSテクノロジーによって、測定後の解析も自動化することができ、非常にインテリジェントかつエラーのない結果を得ることができます。多くの音響測定システムは非常に複雑であり、的確な結果を得るためには特別なトレーニングを積んだプロフェッショナルな技術者による操作を必要とします。AMPSはヒューマンエラーを排し、測定システムを真の意味でインテリジェントに実行することを可能にします。
キャリブレーション・テクノロジー
サウンドをコントロールする
ACE - Audio Calibration Engine
サウンド・キャリブレーションに特化して設計されたプロセッシング・エンジン
ACEは、オーディオ補正に特化して設計されたユニークなデジタルプロセッシング・エンジンです。ACEは、まさにサウンド・キャリブレーションのスイス・アーミーナイフといえるでしょう。プロフェッショナルなマスタリング・スタジオからベッドルームのモニターセッティングまで、使用する環境を問わずACEはその役目を果たします。ACEは最大16000ものスケール可能な調整ポイントで構成され、いかなるイコライザーも超える解像度の処理を提供することができます。また、浮動小数点による演算とケースに応じた複数のオペレーションモードが用いられています。長年に渡る微細なチューニングによって、ACEは的確かつ繊細なサウンドプロセッシングを可能としました。ACEこそが多くのオーディオ・エンジニアから自然で透明なサウンド、と評するSonarworksキャリブレーション・サウンドの舞台裏を支えています。
DRE - Driver Range Extension
周波数のレンジは、根源的に使用されるドライバーの物理的特性によって制限されます。しかし、DREテクノロジーがあれば、その限界を著しく改善することができます。キャリブレーションの過程でスピーカー測定を実行する際、DREはスピーカーの再生可能なレンジにフィルターを調整するための解析を実行します。これによって低域・高域のロールオフを自然に伸長しつつ、かつ他の帯域に影響を及ぼさないよう調整が施されます。DREの周波数特性の拡張によって、小型スピーカーでも本来の能力を超える最大20Hzまでの低域の再生が可能になります。また、再生レンジを制限することで、高ボリュームでの再生時にドライバーの保護に役立ちます。
APS Acoustic Power Simulation
音響強度を元にした、驚くほどに精細なラウドスピーカー/ヘッドフォン・シミュレーション
音響強度認知は、我々がどのようにサウンドをとらえているかを表しています。あるサウンド・システムを正確にマッピングできれば、他のシステムでも高い精度でのシミュレーションが可能になります。このため、APSはキャリブレーションの完了したシステムでのみ動作、16000の調整ポイントという、ACEエンジンのキャリブレーション能力を最大限に活用し、この計り知れない解像度によって音響強度をシミュレートすることで、現実的かつ限りなくオリジナルに近いシミュレーションを実現します。