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ドラムマシン・シンセサイザー?FXpansion Tremorのディープな機能と魅力

2017.02.22

FXpansionといえば、BFD3を筆頭とするドラム音源の老舗メーカーです。サードパーティを含めて数十にのぼる打楽器群はドラムにとどまらずパーカッションから和太鼓、マーチングドラムまで、驚くほど多彩なサウンドが提供されています。BFDシリーズはすべてのサウンドが実際にレコーディングされた、いわゆる”サンプルベース”音源です。このため、ライブラリによっては100GB(!)を超えるものもあったりします。

そんなサンプル音源メーカーの代名詞と目されがちなFXpansionですが、実は非常に卓越したモデリング技術も擁するデベロッパーでもあります。DCAMと呼ばれる独自技術によってコンデンサなどをパーツ単位でモデリング、それらを組み合わせてハードウェアをバーチャルに作り上げる、そんなやり方で生み出されるサウンドはBFD3の内蔵エフェクトや、Strobe 2そして多彩なエフェクト製品に生かされています。

 

独自モデリングを採用したドラムマシン・シンセサイザー

こうした技術を惜しみなく投じてFXpnasionが作り上げたドラムマシンがTremorです。その最大の特徴は、サンプルを一切使用せず、すべての音がシンセサイズによって生み出されていること。前述のDCAMテクノロジーもオシレータに組み込まれ、そのアタックと切れの良さは、星の数ほどあるハード/ソフト・ドラムマシンの中にあっても際立っています。インストールサイズも40MB以下、ダウンロードのストレスもありませんね。

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一見すると、TremorはオーソドックスなグリッドベースGUIを備えたソフトウェアに見えます。大まかに3つのセクションで構成され、下部にはキック、スネアなど8つのパート・チャンネルが割り当てられ、それぞれがピッチやディケイ、レベル、ソロ/ミュートなどのパラメーターにアクセスできます。上半分を占めるのは、これもまたおなじみのグリッドを基調とするシーケンスセクション。右下はパートとマスターのためのエェクト・セクションが配され、EQ、ダイナミクス、リバーブを始め、モジュレーション、豊富なフィルターから選択することができます。

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そんなスタンダードな見た目のTremorですが、各パートのSYNTHセクションに入るとその印象はガラッと変わります。そこには、フル機能を持つシンセイサイザーと見紛うほどに豊富なパラメーターがずらりと並び、画面下にはStrobe 2などFXpansionのシンセサイザーやエフェクトでも採用されているモジュレーションシステムまで搭載!

シンセサイザーと比べればシンプルなドラムマシンも、人によって求める機能は本当に多岐にわたると思います。豊富な音色プリセット、808/909系のクローン、シーケンス機能、リアルタイムの操作性などなど。Tremorにはキット、個別パートの豊富なプリセットが収録されていますが、既存のサウンドの再現だけを目的としたものではありません。どこにもなかった自分だけのサウンドやパターン、「次はこれを試してみよう」を素早く作り上げることのできるドラムマシンです。

 

複数拍子によるトラック再生も可能なパターン機能

Tremorの推し機能の一つが、Teenage Engineeringと同郷の某ハードウェアにも採用されたマルチメーター(複数拍子)対応のグリッドです。各レーン右端にある◀の位置をスライドすることで、最大32のステップ数をパートごとに変えてしまうことができる。普通のシーケンサでは難しい複数拍子のシーケンスも、ドラッグ一発で作れてしまうんですね。極端な話しでいうと、3拍子+4拍子+7拍子を同時スタートすることも!シンコペーションどころではない、どこで頭が合うやら。。。みたいな変拍子の嵐も可能です。

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そんなエクストリームな使い方だけでなく、例えばこんな使い方も。ベーシックな4つ打ちキックなら、16ステップにこだわらず、2〜8ステップ設定をループして、手軽でスピーディにパターンを組める。スネアはシンプルなパターンを刻みながら、ハットは細かく変化させるパターンもサクっと作れます。

 

ドラムマシンの常識を軽々と超える、充実のモジュレーション

20170222_fx_tremor_3もう一つ、シンセサイザーなみのパラメーターと先ほど書きましたが、これを長短のエンベロープ、LFO、ランプなどモジュレートできるのがTremorの真骨頂。画面下のVoice(パート別)、Macro(複数パート)、Global(全体)の各Modulation Soucesボタン(ここではSENV)を選択した状態で、モジュレーション対象パラメーターの▶アイコンをドラッグするとモジュレーション量が青のリングで表示される、というのが基本の仕組み。モジュレーションのアサインから抜けるときはSRCボタンをクリックします。

画像はKevlar DVプリセットのモジュレーション例ですが、SLOW ENVELOPE(SENV)で倍音を、FAST ENVELOPE(FENV)でLFO1を、そしてLFO1はフィルターをモジュレーション。。。WABLEのレーンにあるのはたったひとつのノートですが、ここから生み出される動きのあるシーケンスはTremorのポテンシャルを端的に表していますね。

 

リアルタイムやステップごとのコントロールも

20170222_fx_tremor_520170222_fx_tremor_7豊富にあるパラメーターは、モジュレーションだけでなくMIDICCをアサインしてリアルタイムにコントロールすることや、グラフなどで時間軸で変化させることも可能です。グラフはステップごとに設定できるので、これでオシレータのピッチを変化させればベースやリードのメロディを作る、シーケンサ機能まで代替することができます。リアルタイムコントロールについては、フィルターやLFOはもちろんHARMONICS関連のパラメータなどは、MIDIで動かすことで独特な効果が得られるのでお薦めです。

Tremorは豊富なプリセットでシンプルに素早くパターンを組み上げていく、いわゆるドラムマシンとして十分な基本性能を抑えています。しかし後ろを覗いてみれば、FXpansionならではのモデリング技術によるサウンドをどこまでも作り込んでいける、ディープな機能が満載されています。現代的なトラックメイクからエクスペリメンタルなサウンドデザインまで、サウンドを深く深く掘っていく楽しみを持った”ドラムマシン・シンセサイザー”です。

 


 

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