Earthworks User Stories

Salyu × 小林武史 PianoMic PM40T

Interview小林武史氏インタビュー

20150610_earthworks_kobayashi_03_480Earthworksのグランドピアノ専用マイク、PM40(PM40T)は、歴史あるピアノ・マイキングの概念を変えた特殊なマイクだ。一見するとピアノには何のマイクもセッティングされているように見えないのだが、ハンマーの真上に置かれたバーに、グースネックの小さなマイクが2つ仕込まれている。

2014年5月から6月にかけて全国6カ所のコンサートツアーを行ったSalyu × 小林武史の「a brand new concert issue “minima”」、最終公演となる東京NHKホールのコンサートにて、小林武史氏が演奏するSteinwayグランドピアノにはこのPM40Tが使用された。


 

まずはPM40(T)を使っていただくきっかけについて、教えて頂けますか?

普段のライブでは、音作りをエンジニアの伊藤さんにお任せしているので特に指定のマイクがあるわけでもないのですが、伊藤さんが「ピアノ用のマイクですごくいいマイクがあるから、ぜひライブで使ってみたい」と仰ったからです。今回のSalyuツアーは各会場でピアノ本体も毎回違うものだったし、伊藤さんはいつもそのピアノのアコースティックな響きを大切にした音作りをしてくれるので、「伊藤さんがそう仰るならぜひ試してみましょう」ということになりました。

実際に使ってみての感想はいかがだったでしょうか。小林さんは普段ヘッドフォンでモニタリングされながらライブをされているので、違いがシビアに聞こえていたのではないかと思います。

 一言でいえば低域から高域までのバランスが非常に奇麗なマイクだなという印象です。 

20150610_earthworks_kobayashi_02_480 

この「バランスがいい」とは、どういった部分を指すのでしょうか?

 今までのマイクでは、2本のマイクがそれぞれ拾ってしまう境界線…ちょうど淡水と海水が混ざる「汽水域」のような部分を感じることがありました。2本のマイクの境界はここだな、と弾きながら感じてしまっていたのですが、PM40Tではその境界線を感じません。むしろ境界線が分からないくらいに近く、ピアノのどこを弾いても気にならなかった。そういう意味でバランスがいいと感じましたね。 

 

マイクを使わずに演奏するピアノのような感覚に近いといった感じでしょうか?

 だいぶ近いように思います。そのピアノがもつナチュラルな響きをうまく拾っていますね。Salyuのライブの場合はボーカルもPAを通っているので少しだけブライトなピアノの音にしていますが、音作りの幅も広いようですね。

 20150610_earthworks_kobayashi_04

 

PM40(T)はグランドピアノの蓋を閉めた状態でも使用できることが特徴の1つでもあります。

 今日のコンサートもそうですが、ライブの場合には蓋を閉めた状態で行う事もあって、その状態でもこのクオリティのサウンドが得られるというのは魅力ですね。今回はSalyuと二人の構成なので、もしかしたら蓋を開いた状態でも良かったかもしれないけど、ドラムなどが入るバンド編成の場合にはどうしても閉じる必要がでてくるので、試してみたいですね。

 

小林さんとFazioliのピアノの出会いについて書かれていた日記を以前拝見して、素敵なストーリーだと思っていました。ぜひ、Fazioliのレコーディングでも使用してもらえたらと思います。

 そうですね。レコーディングでも使ってみたいと思っています。

 

収録:2014年6月

20150610_earthworks_kobayashi_05

Photo by Taku Fujii 

 


20150610_earthworks_kobayashi_profile 

小林武史

音楽プロデューサー、キーボーディスト。Mr.Childrenをはじめ、日本を代表する数多くのアーティストのレコーディング、プロデュースを手がける。映画『スワロウテイル』(1996年)、『リリイ・シュシュのすべて』(2001年)、『地下鉄(メトロ)に乗って』(06年)など、手がけた映画音楽も多数。2010年の映画『BANDAGE(バンデイジ)』では、音楽のみならず、監督も務めた。03年、Mr.Chilrenの櫻井和寿、音楽家・坂本龍一と一般社団法人「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギー推進、東日本大震災の復興支援など、様々な活動を行っている。

Interviewエンジニア・伊藤淳氏インタビュー

PM40Tをライブで使ってみようと小林武史氏に提案したエンジニアの伊藤淳氏。どのようないきさつでPM40Tと出会い、ライブで使うに至ったのかを伺った。


 今回のSalyu + 小林武史コンサートにて、ピアノに使用するマイクにEarthworks PM40Tを推薦されたのは伊藤さんだと伺いました。どのようなきっかけでPM40Tを導入されたのでしょうか?

今春、アコースティックピアノを使うツアーがたまたま2本同時に進行することになり、以前から興味があったEarthworks PM40を調べました。評判やウェブサイトの録音サンプルを聞いてみて、導入を決意しました。

 

PM40Tは無指向性(オムニ)のマイクですが、ライブ環境で無指向性のマイクを使用されることについて、抵抗はありませんでしたか?

ライブ環境において無指向性のマイクは利点が少ないのですが、以前他社製の無指向性マイクを弦楽団16人 + ロックのフルバンドに使用した経験があり、音の素直さや音の良さを実感していたので、ステージ上の「カブリ」さえクリアできれば問題ないと思いました。

 

伊藤さんが実際にPM40Tを使用された編成や、今後使ってみたいシーンについてお聞かせください。

 これまでボーカル + パーカッション + ベース + アコースティック・ピアノの編成と、ボーカル + マニピュレーターからの音源 + アコースティック・ピアノという2つの編成で使用してみました。

両セッション共にホールツアーで、アーティストがイヤモニを使用するという環境のライブでしたが、ライブ後半には観客も総立ちで手拍子をするという状況だったにも関わらず、普通のロックバンド並の音量を出せていましたので、バンド編成のライブでも問題なく使えるなという実感が得られました。その場合は、グランドピアノの蓋を閉じてPM40Tをセッティングする方がいいかと思います。

この後、ロックバンド + アコースティックピアノの編成で回る小ツアーの予定があるので、そこでも使うつもりです。

 

PM40のどのような点を気に入られましたか?

セッティングの自由さ、簡単さ。グランドピアノの蓋を閉じていても使用できること。粘着物などを使用しなくてもセッティングできるので、ホールの担当者の方にも余計な心配をかけずに済むという気楽さ。そしてなんと言っても、自然でクリアな音質が最大の魅力です。


 

伊藤 淳(有限会社 DRAG FREE) 

SR/PAエンジニア。(有)DRAG FREE 代表取締役。

VIRGO、SUPER SONIC、フリーランスを経て、2000年にDRAG FREEを設立。

現在、くるり、秦基博、SALYU、ハナレグミ、レキシ、米米クラブ、ラブサイケデリコ等のアーティストを担当。

PM40Tピアノマイク・システム

 20150610_earthworks_kobayashi_PM40T_01_200

PM40T

ピアノ・マイク・システム(ツアー用)

PM40T ツーリング・ピアノ・マイク・システムはPM40のマイク性能は変わらず、素早く、容易なセットアップとコンパクトに収納可能なアタッチメント、及びツアー用トランクケースを付属したツアー用モデルです。

ピアノのマイキングに革命を起こし、レコーディング、ライブでのピアノ・サウンドの劇的な向上を実現すべくデザインされたピアノ専用マイクです。極めて幅広い周波数特性を持つマイクをマイク・スタンド、ブームを使用しないシンプルなソリューションにてピアノ内部に設置。蓋を閉じた状態でも収音可能なため、周囲の楽器からの回り込みを劇的に抑えることが可能です。ピアノ蓋の開閉にかかわらず、ピアノが持つ多彩な表現力を逃さず収音します。