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Spectrasonics レビュー – 高山 博

2022.06.15

Spectrasonicsとの日々

エリック・パーシングの名前を知ったのは80年代末、一世を風靡したRoland D-50の名プリセット、「Fantasia」「Digital Native Dance」の作者としてだった。僕もRolandで製品開発のお手伝いをさせていただいていた頃で、隣どうしの部屋で音色作りをしたり、できたてのプリセットを聞かせてもらったことがある。とにかく、仕事が早い人だった。

90年代になると、Spectrasonicsの創業者としてエリックの名前を再び聞くことになる。初期の製品は、ハードウェアサンプラー用のライブラリーCD-ROM。今の環境からは考えられないことだが、当時はまだプラグインもソフトウェアシンセサイザーも殆ど無く、MIDIシーケンスソフト+ハードウェアの音源での制作が主流。サンプラーのメモリーは多くて16~32Mbyte(ギガではなくメガ!)程度で、音色はCD-ROM(容量640Mbyte)で供給されていた。僕も当時は、サンプラーやシンセサイザーを組み込んだ大量のラックをクルマで運んで仕事をしていた。おかげでセッティングとバラシがうまくなったけど。

ちなみに、当時サンプラーのメモリー増設や、ライブラリー試聴などで、しばしばお世話になっていたのが、まだ渋谷センター街に店舗があったころのRock On Companyだった。

Spectrasonics第一弾は94年のBass Legendsで、その名の通り、マーカス・ミラーをはじめ、超売れっ子ベースプレイヤーのサウンドをキャプチャーしたマルチサンプル音源。音色の良さもさることながら、作りがとても丁寧で、その頃のライブラリーにありがちな、音域によるクオリティの差や、編集ノイズも皆無、とにかくどのパッチも即戦力で、エレキベースといえば、まずこれだった。

95年には、名作『Distorted Reality』がリリースされる。ヒンヤリしたデジタルパッド、SF映画の未知の惑星を思わせるようなアンビエント音、破壊的なブレイクビーツなど、エリックならではの作りこんだサウンドが満載。どの音色もとにかく完成度が高く、ゆれ動くサウンドは、ただ白玉で弾くだけでも説得力があった。付属ブックレットには、音色作成に使用した機材として、Jupiter8やJD-800といったRolandのシンセサイザー、Oberheim OBXa、Yamaha CS-80、さらにはレアなEmuやPolyfusionのModularなどがずらっと並んでいて、やはり筋金入りのシンセサイザー・マニアなんだなあと、改めて感じいったのを覚えている。

これら初期の二作は、本当に名作で、僕もよく使ったが、いろいろな作品で耳にすることも多かった。洗練されたサウンドと製品としてのクオリティの高さ、ゴージャスな感覚は、以後もSpectrasonics製品の一貫した特徴で、新作が出るたびにチェックし、購入した。ボイス系、ドラム系、エスニック系など、とにかく“使える”ライブラリーだった。

2000年代になると、プラグイン、ソフトシンセが一気に一般化し、僕の制作環境もソフトへとシフトした。Spectrasonicsもそちらへ大きく舵を切り、ベース音源のTrilogy、シンセ音源のAtmosphere、グルーヴ音源のStylusの三製品をリリース。いずれも90年代のライブラリー製品を受け継ぎ、大幅にパワーアップしたと言える内容で、やはり愛用機になった。

10年代にかけて、ソフトシンセはさらなる発達をし、全盛時代を迎える。ファイヤー通りに移ったRock On Companyで、キーボードマガジン協賛のソフトシンセのセミナーを担当させていただいたりした。小川文明くんとビンテージキーボードの掛け合いセミナーをしたのも楽しかった思い出。Spectrasonicsからも、貴重なビンテージ機種を含む大規模な音源、KeyScapeが登場する。こちらも、リファレンスとも言える内容で、エリックのマニアぶりにも拍車がかかっているようで、それもまた好ましかった。

Spectrasonics製品は、なんといって洗練された音の良さが特徴だが、さらにプリセットをひもといていくと、エリック・パーシングの音作りの巧みさ、サウンド選択のセンスが浮かび上がってくる。僕にとって、ソフトシンセのファーストコールであるとともに、音作りのヒントをもらえる存在でもあり続けている。

高山 博

作曲家/著述家

大阪出身。学生時代よりバンド活動を初め、泉陸奥彦、管沼孝三とともに、プログレッシブロックバンド「Charisma」で活躍。その後、大阪芸術大学芸術学部音楽学科に進学。クラシックの作曲及び、日本やアジア音楽を中心とした民俗音楽学、大型モジュラー・シンセサイザーなどを使った電子音楽の技法を学ぶ。

卒業後すぐに作編曲家として仕事を始め、CM、ドラマ、ドキュメンタリー、イベントや博覧会の音楽などを多数担当。様々なアーティストへの作品提供や、編曲、レコーディング・ディレクションやプロデュースも行う。また、黎明期からDAWによる音楽制作に取り組み、楽器メーカーやソフトウェア開発のアドバイザーを務める。

執筆活動も並行しており、DAWやシンセサイザーなどのテクニカルな解説、作曲や編曲理論、音楽や映画批評など、雑誌寄稿、著書多数。

近年は、後進の指導にも熱心で、東京藝術大学大学院映像研究科非常勤講師、東京工芸大学アニメーション専攻非常勤講師、美学校作曲講座講師をつとめる。


主な作品

《TV》
 NHK  銀河テレビ小説 『妻』
 TBS  ドキュメンタリー『四光峰初登頂』
 TV朝日 『題名のない音楽会』(出演 DAWプログラミング)

《コンサート・イヴェント》
 まなびピア 『開会式』 (文部省委嘱)
 日本・インドネシア合同舞台作品 『ボロブドゥールの嵐』 (国際交流基金 アセアン文化センター委嘱)
 香川県芸術祭 『南風の祭礼』 (香川県委嘱)
 大阪府芸術劇場参加作品 『奇妙な魚』
 香港フィルハーモニー・ポップスコンサート

《CD》
 『邂逅』 Charisma (キングレコード)
 『バレンドリーム』 ミスターシリウス (キングレコード)
 『W.I.N.S』 W.I.N.S.  (ビクターエンタテイメント)
 『Super-Nova』 KoKoo (キングレコード)

《著書》
 『ポピュラー音楽作曲のための旋律法』(リットーミュージック)
 『ビートルズの作曲法』(リットーミュージック)
 『FMシンセのあたらしいトリセツ』(リットーミュージック)
 『Logic Pro X 10.2 徹底操作ガイド』(リットーミュージック)

 『Pro Tools 11 Software徹底操作ガイド』(リットーミュージック)

《その他》

 第40回オーディオフェア、デジタルサウンドコンテスト最優秀賞(グランプリ)受賞。
 Roland力作コンテスト他、オーディション、コンテストの審査員多数。

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