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私がSpectasonicsを使い続ける理由:Yaffle

2022.08.15

シンセの王者!って感じ

- YaffleさんはSpectrasonicsのソフトウェア音源4種を全て長年ご愛用くださってるとのことです。どういった経緯で、どの製品から導入されていったのでしょうか?

初めはTrilianかな。まだ大学生だったころに買いました。ベース音源が必要だなって思って色々とググってみると、 「これ(Trilian)一択」「間違いない」ってどこを見ても書いてあるから、じゃあこれでいいか、って(笑)いざ使ってみると音もいいし、何の不満もない。今も使っていますね。

- その他の製品はどのように導入されていったのでしょう?

大学のころはバンドっぽいアレンジが主体だったのでOmnisphereとかは自分の作風には必要ないかなって思ってたんですが、その後自分の作風の幅が広がって行くにつれてOmnisphereやStylus RMXも買ったし、Keyscapeに関してはローンチのビデオを見て即座に買いました。

- 作風の幅を広げる、という意味でOmnisphereは標準で14000を超えるプリセットを収録、細やかな無償アップデートのたびに数百以上のプリセット追加し、KeyscapeやTrilianを持っていればさらに数千のプリセットが追加され、"一生かかっても使いきれない" シンセでもあります。

そうなんですよ(笑)「じゃあこれ持ってればもうOKじゃん」って。それと、Omnisphereにはよく話題になる「Burning Piano」ってプリセットがありますよね?たしか最初のOmnisphere 1のときからあるやつ。

- 実際のピアノを燃やしながらサンプル収録を行ったものですね。奇抜系なサウンドかと思いきや、実は情緒あふれるピアノプリセットとなっていて、人気プリセットの1つです。

大学の教授にジャズピアニストの山下洋輔さんがいらっしゃって、ピアノを実際に燃やしながら弾くというまさに"Burning Piano"パフォーマンスをされた方ということもあって、Omnisphereのこのプリセットに親近感があったのかもしれません。それからやっぱり、宣伝文句の通り"一生かかっても使いきれない"バリエーションの豊かさが(導入の)決め手だったかな。

- Omnisphereは普段どういう使い方を?

アレンジ作業の初期の段階だと、プリセットは使わずにオシレーターを選ぶところから始めるんです。膨大なプリセットはもちろん魅力的なんだけど、自分がアレンジ上でイメージした音を作り込みたいというのもあって。アナログオシレータ、デジタルのウェーブテーブルで基礎を作って、そこにサンプルを重ねたり、フィルターとかエンベロープをデザインして作ることが多いです。

- Omnisphereのアナログオシレータ/デジタルウェーブテーブルは400種類以上、サンプルは65GB以上入っていますので、これだけでも幅広く対応できますね。

アナログのオシレーター、ウェーブテーブル、サンプルをちゃんとレイヤーして音作りできるシンセって、他にないんですよ。中途半端にレイヤーできるものはいっぱいあるんだけど、ここまでしっかりできるものって他にない。だからもうシンセの王者、王者!って感じ(笑)死角なしですね。

- Omnisphereは膨大なプリセットも魅力ですが、シンセエンジンも強烈です。そのエンジンをフル活用されているということですね。

制作の後半にも重要な使い方があって、「なんか1つ物足りないな〜」というときに、Omnisphereの検索ウインドウにキーワード入れてプリセットから音を探すこともあります。ほわっとした抽象的なキーワードでもプリセットが出てきてくれるので、まるで願掛けみたですけど、意外とうまくいく。だから、ベーシックな音は自分で作るし、上物でプリセットを使う、みたいな感じが多いですね。どんな形であれ、使うことが多いシンセです。


だからこそ、使う側は試される

- 作風を広げていく上で、Omnisphereの音がYaffleさんに影響を与えた部分というのはあるのでしょうか?

めちゃくちゃありますね。ソフトであれハードであれ、音がでるものは僕にとって「道具」だし、その道具でできることの範囲で人間は生きている、と思っていますから。Spectrasonicsという"道具"に受けた影響、広がったところは大きいですよ。

僕自身、根本がアンビエント系のアプローチが好きなこともあるけど、やっぱりOmnisphereの音には「コレだ!」って思わされる部分が多いです。ちょっとザラザラした質感とか、アンニュイなドローンサウンドとかのプリセットが充実してる。イチから作りあげることも可能なシンセだけど、作りたい音は大体プリセットでも用意されてる。しかも、モジュレーションホイールにアサインされてる変化が絶妙ですよね。他のシンセと違って、揺れるだけじゃないものばっかり。

- ただプリセットを巡回しているだけだと気が付きにくいですが、プリセットの1つ1つごとにモジュレーションホイールの変化の仕方が違っていています。ここだけ見ても「プリセットのこだわりがすごい」と分かりますよね。

そうそう。だからただ鍵盤を押さえても、モジュレーションホイールをどう動かすかで全然表情が変わってくる、時間軸の変化が楽しめていいんですよ。ハリウッド系の劇伴なんかチェックしてみると「これOmnisphereで鍵盤一本で作ったんじゃないの?」みたいなものありますもんね。

- Spectrasonicsの代表兼クリエイティブ・ディレクター、エリック・パーシングによれば「1週間の生活の中で自分の作った音がテレビから再生されない日はないんじゃないかな」とのことです(笑)

かっけーーー!(笑)でも確かにそうですよね。僕も以前、水族館のイルカショー見てたときに「あ、これStylus RMXのループだ」って分かりましたもん(笑)だからこそ、使う側は試されるんですけどね。そのまんま使うのか、エディットしてさらに曲にフィットするように作るのか、という。

- プリセットをそのまま使うことについては、どうお考えですか?時に「プリセットそのまま」に否定的な意見をネットで見かけることもあります。

僕自身はオシレータから作り込むことが多いので「プリセット頼り」ではないけど、別にプリセットそのままでも何とも思いません。その音が曲に合うか合わないかを「思いつくか、思いつかないか」じゃないですかね。違うシンセを使ってゼロからOmniphereっぽい音を作ることもできなくはないんでしょうけど、あるなら使えばいいじゃんと思っています。

これは以前誰かが言ってたんですが、プリセットそのままが「ダメだ」っていうんだったら、ピアノもバイオリンもギターだって全部「プリセット」じゃないかって。たしかにそうだなって思って。そんなことを考えると、プリセット使って音楽作るってことに抵抗もないし、別に悪いこととも思ってませんね。

- たしかに、言い得て妙ですね!

言い換えると、Omnisphereは「いい楽器」だってことですよね。


絶対押したくなっちゃうじゃないですか(笑)

- Keyscapeは「発売とともに買った」とのことでしたが、Keyscapeの中でどういった音を使われますか?

エレピが充実しているのでRhodes系はよく使いますし、クラビネット、チェレスタなんかもグロッケンシュピールの代わりに使いますね。あとはハーモニウム(Harmochord)なんかも使います。結構一通り使ってるんじゃないかな。他にどんな楽器ありましたっけ...?

- 80-90年代のヴィンテージ・デジタルシンセ(MK-80、MKS-20、JD-800)辺りなんかもよく話題に挙がります。

あー確かに!あれは藤井(風)くんの曲でも使った! 一周回ってああいう音が今またいいじゃんって思いますよね。

- これらのシンセは、エリック・パーシングがRolandにサウンドデザイナーとして在籍していたころに作った音なので、いわば「オリジナル」の音ですね。Rhodes始めエレピ系をよく使うとのことですが、Yaffleさんは実機のFender Rhodesをお持ちですよね?

はい、ありますね。Mk2を持っています。

- ですよね。ではKeyscapeのエレピはどういったところで登場するのでしょう?

制作ではもう、ほぼこっち(Keyscape)ですね。実機のRhodes Mk2は、ピックアップが飛んじゃったり全鍵のレストアしなきゃとかになってて、もう新品買えてしまうくらいのお金がかかるんですよ。だから実機を使うのは、音数が少なくて、ちょっとローファイでみたいなアレンジくらいですね。なのでエレピはKeyscapeをよく使ってます。Rhodes Mk1は特によく使うかな。なんか、あれ使うとすごく賢そうに聞こえるんですよ。賢そうっていうのかな、なんか畏まりすぎてない感じ(笑)

- クラビネットも使われている?

これもめちゃくちゃ使いますね。というよりも、Keyscapeのクラビネット登場によって、他のクラビネット音源は全部吹き飛ばされましたよね。特にワウがかかったプリセットなんて最高。それまでは他社のものも色々と試して、何とか音を作り込んでとかやってきましたけど、もうKeyscapeだけです。

- KeyscapeやTrilianは1つ1つのプリセットに対してコントロールウインドがカスタマイズされており、適切なパラメーターだけが表に出てくるようになっています。

これが「楽器っぽさ」を感じさせる要素の1つですよね。EQじゃなくTimberで音の明るい暗いをパッとコントロールできるし、リバーブなんかもその音に合うように計算されたものが用意されてる。いい意味で「エリック・パーシングに誘導されてるな」って思います。例えばエレピに「トレモロ」ってボタンが用意されてたら、絶対押したくなっちゃうじゃないですか(笑)

ミュージシャンって、ある程度の範囲で楽器のデザイナーに「管理」されてるものだって考えているのですが、このウインドウはまさにそういうことを表わしていると思います。KeyscapeのUIの「コレ使っとけ!」ってデザインはいい方向に僕らを導いてくれていますよね。

- もちろんやろうと思えば深い階層まで入って細部のエディットなどもできますが、的確なものがフロントに揃ってることはいいですよね。

フィニアス(・オコネル:ビリー・アイリッシュの共同制作者/兄)もインタビューで「OmniphereとKeyscapeとTrilianしか使ってない」って言ってましたもんね。それでできるんだから、コレでいいんですよ。僕ら側の需要というか「タンスの引き出しのどこに何がある」のが分かってる感。

ピアノが欲しいなって思ったときに「スタインウェイ、ベヒシュタイン、ベーゼンドルファーが揃ってます!」っていうんじゃなくて「他のピアノもあるけど、Rhodesやクラビネットも揃ってますよ」って方が制作では良い事が多くて、その感覚こそ音楽的なんです。だから結局みんなSpectrasonicsに行きつくんだろうし、導かれてるってことですかね。


充実したハードシンセのライブラリー

- Omnisphereと同時に、KeyscapeやTrilianをお持ちの方は全てのサウンドをOmniphereからロードして使うことができます。例えば、Keyscape単体にはついていないアルペジエイター機能や膨大なエフェクト、エンベロープ、あらゆるシンセエンジンなども使うことができます。こういった機能を活用することもありますか?

ありますあります!アルペジエイターは結構使いますよ。アルペジエイターから曲を作るということはないけど、願掛けみたいに「なんかイイの来い!」みたいに使うことがありますね。それから、アルペジエイターのパターンはいいんだけど音だけ変えたいなんてときにはSound Lock機能を使って新しい音をどんどん作っていくこともあります。

あとは、エンベロープを自由に描けるのもいいですね。よくやるのはアタックの立ち上がりを時間じゃなく拍で設定することがすごく便利で、例えばパッドのアタックを拍にあわせて削ったりも感覚的にできる。

- この辺は、ソフトウェアならではとも言えますね。

そうですね。ソフトの方が曲のオチを見据えて設定できるからいいんですよ。しかもアップデートで世界中のハードシンセのライブラリーが入りましたよね?

- はい、世界中の64種(2022年7月現在、アップデートにて随時追加)のハードウェアシンセライブラリーが追加されました。そのままライブラリーを使った音作りも可能ですし、対象のハードウェアをお持ちであれば、まるでハードシンセがハッキングされたかのような「Hardware Synth Integration」機能を使うこともできます。

Support : Hardware Synth Integration

Hardware Synth Integration機能は使ってないけど、このライブラリはめっちゃ使いますね。さっきも話したけど、制作の初期はプリセットよりも自分でオシレータ探すところから音を作り込むことが多いので、知ってる名前のシンセがずらっと並んでるのはめちゃくちゃ気分がアガりますよね。僕の曲の作り方として、土台を作り込んでから上を重ねていくってことに集中したいこともあって、音が頭に入ってるってことは結構大事で。「あ、ここにハードシンセっぽいストリングスパッドが欲しいな」って思ったときにパッと対象のシンセに行き着けることは助かりますね。


だから好きなんだな

- Spectrasonics製品はYaffleさんにとって単なるソフト音源ではなく「楽器」的な位置にいるわけですね。

そうですね、楽器であり、僕の道具。あとは、シンプルに「メイド・イン・USA」の憧れもあるのかもしれないです。Spectrasonicsってカリフォルニアでしたよね?ハードもソフトも世界各国の色々なものを使ってきたけど、一周回ってやっぱりアメリカすごいな、説得力あるな、って感じているところで。音響的な意味だとイギリスが好きだけど、鳴りとかパンチ感とか上下のレンジ感とか、自分でも真似したくなるなと思うものはやっぱりアメリカが結果的に多くて。それは曲だけじゃなくて、こういった楽器や機材に関しても同様に。単純に国でカテゴライズしてるわけではないんだけど...

- 「ヌケの良さ」みたいなことでしょうか?

いや、実はその「ヌケが良い・悪い」って言葉はあまり好きじゃないんです。アレンジの中で抜けが悪いのって音が悪いからじゃなくて、アレンジが失敗しているからって時なんですよ。楽器のせいじゃない。ここでいうアメリカっぽいなという表現は、抽象的かもしれないけど「恥ずかしがらないパンチ感、押しの強さ」みたいなものといえばいいのかな。それをメイド・イン・USAなSpectrasonicsに強烈に感じていて、だから好きなんだなって思って。

Spectrasonicsのシンセは、直感的にやりたい人に向いてると思います。出てきた音でイメージを膨らませられる人だったり、音にインスパイアされる人とか。周囲の人に「なんかいいソフトシンセない?」って聞かれたらほぼほぼOmnisphere!って答えてる気がする。ちょっと他のソフトシンセと比べたら値段的には高いのかな?でも、これ買って困る人絶対にいないんじゃないですかね。


Yaffle
Yaffle

音楽プロデューサー、作曲家、編曲家

TOKAのプロデューサーとして、藤井 風やiri、SIRUP、小袋 成彬、Salyu、eill、adieuなどの楽曲をプロデュース。
2020年9月、欧州各地のアーティスト計8名をゲストに迎えた1st アルバム『Lost, Never Gone』をリリース。
国内外で高い注目を集める。2021年10月に発売されたポケモン25周年を記念したコンピレーション・アルバムには唯一の日本人アーティストとして参加。映画音楽の制作も担当しており、『ナラタージュ』(17)、『響-HIBIKI-』(18)、『キャラクター』(21)などの作品のほか、サウンドトラックを手がけた映画『えんとつ町のプペル』(20)ではアニメーション界のアカデミー賞と呼ばれる第49回アニー賞で最優秀音楽賞にノミネート。

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