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Production & Mix with WAVES – Shingo Suzuki – プリプロダクション編

2020.07.29

- Shingo Suzuki(以下Shingo)さんは普段からDAWを使った音楽制作をされていて、ベースやRhodesなどの楽器とともに、プラグインによる音作りも併用したハイブリッドな制作環境を整えていらっしゃいますね。そこで、普段のShingoさんの制作スタイルに近いものを拝見できればと思っています。

この部屋での制作で比較的多いパターンは、Rhodesを弾きながら作曲したり、ビートをDAWのプラグインで作り込んだり、また僕はベーシストなのでベースのレコーディングもここで行うことが多いですね。WAVES GTRなどのベースアンプシミュレータを使ってレコーディングもします。

- かつては「レコーディングはレコーディング、ミックスはミックス」とそれぞれの作業工程は別のものという風潮が色濃くありましたが、DAW時代になって「制作、レコーディングをしながら、同時にプラグインを使ってミックスの完成系を見据えた作業」という形も珍しいものではなくなりました。現代の制作やミックスについて、Shingoさん流のステップをご紹介いただければと思います。


びっくりするくらいいい音で、弾き続けちゃった

今回のこのお話を頂いてぱっと思いついたストーリーがあって、こんな制作風景を考えてみたんです。

  • ミュージシャンがスタジオに集まって、各々の楽器をフィーリングでレコーディング。楽曲のスケッチを作る。
  • その曲のアレンジをしっかりと詰めて、音作りもしながら完成系に近づける。
  • 完成形を聞いたプロデューサーが、この曲を「素材」にしてサンプリングして、新たなヒップホップトラックを作る

- え?制作したものを一度壊して再構築する、ですか?

はい(笑)ミュージシャンはしっかりとアレンジやレコーディングを行うんですけど、最後にプロデューサーがちょっとストイックになって、それを別角度のアプローチとして曲にしてしまうというところまでをやってみようかなと。

- せっかく作ったものを壊して再構築まで見られるというのは斬新です(笑)でも、ベースや鍵盤奏者としてだけでなく、プロデューサーとしても活躍されているShingoさんらしい視点ですね。

ここまでの作業を1人何役かでやってみようかと思います。全体を3回に分けて、Vol.1では楽曲のスケッチ。Vol.2でベースなどの生楽器のレコーディングをしたり、アレンジを完成系に仕上げたり。Vol.3で全てのトラックのオイシイところをサンプリングして再構築/リアレンジ、といった流れになると思います。曲調としては、僕も大好きなソウルとかゴスペル系のインストゥルメント曲でいいかなと思いました。実際、ヒップホップでもソウルやゴスペルからサンプリングされたケースは多いので、イメージしやすいかと。

- 今回は、制作につかう音源にWAVESのバーチャルインストゥルメントを使用していただきました。

実は最初、シンセサイザー音源のFlow Motionを使って、シンセサイザーを主軸にしたトラックを作るという想定をしていたのですが、他の音源もいくつか試していたところ、Rhodesの音源”Electric 88”がびっくりするくらいいい音で。実際のRhodesもここにはあるのですが、Electric 88は「ちゃんと木が鳴っている」音がしてて、ずっと弾き続けちゃったんですね。

なので、このRhodesの音を中心にして曲を作りたいなと思ったんです。こうして上の通りのストーリーを考えたというわけです。

- ミュージシャンに「弾き続けたい」と評価をいただくことは、何より嬉しい評価ですね。


Electric 88で使ったプリセットは起動したままの「Full Reset」という音。地味なんだけど、この素朴さこそが本当のRhodesの音なんですよ。低いところから高いところまで濁りがなくバランスもいい。おすすめです。あと、ロゴが可愛い(笑)

しばらくフリーに演奏をしていたのですが、ふと浮かんだフレーズがあってレコーディングをしてみました。構成的にはスタンダードなA-A-B-A-A構成で、Bのところで進行が変わる感じですね。ほぼ、ノークオンタイズのままで録ってあります。

*Electric 88を使った曲のメインテーマ

基盤となるところが固まったので、このエレピの音に合わせてリズムを打ち込んでみます。今回使うのはLogicに標準で収録されているドラム音源です。まずハイハットは808系のキットで16分の刻みを手打ちで入れます。このハイハットは、1/5/9/13の拍の頭だけをクオンタイズ。全部をクオンタイズしちゃうと、まるでメトロノーム相手に演奏しているみたいになっちゃう。程々に人間のフィールを残してあげて、しっかりとガイドになる状態であることが好ましいですね。仮に打ち込みのドラムであっても、人間とセッションをしている感じを出してあげるだけでその後の録音でも演奏が楽しくできるんですよ。

キックとスネアもLogic標準のアコースティックドラムキットを使って、ちょっとガレージっぽい音色をセレクト。エレピのフレーズに合わせて、キックのアクセントをどこに置くかを決めます。フレーズはこの後のアレンジ作業などでどんどん変化していくとは思うのですが、ひとまずベーシックなものとして入れてあります。

ここまでのドラム、エレピで聞いてみると、こんな感じになりました。

*Rhodesの音にリズムを加えたもの


「支え」あれば、レコーディングが楽しい

この時点で、なんとなく僕の頭の中にソウルミュージックのアイコン的なものというか、ゴスペル感のあるオルガンを入れたいなと思いました。思ったのですが、その前にルートを支えてくれる音が欲しいなと思ったんですね。エレピを弾いている場合、必ずしも左手はルートを押さえていないこともあるので、コードのガイドになるような音。かといって普通のベースの音が欲しいわけじゃなくて、オルガンと相性も良さそうな柔かいフルートのような音が合うかなとイメージしました。実際に入れてみた音から聞いてもらうと、こんな感じ。

*Flow Motionを使ったベースライン

使ったのはFlow Motionというバーチャルインストゥルメントで、プリセットの中から良さげな音がないかなと探って見つけた音色でレコーディングしました。このFlow Motionは名前からするとFMシンセサイザーでしょうかね?

- 4オペのFMシンセサイザーでもあり、減算式のアナログシンセシスも加わったシンセサイザーですね。FM音源が得意とするサウンドはもちろん、図太いアナログフィルターも備えており、独特のキャラクターをもったシンセです。

なるほど、すごくリッチな音がするなと思ったんですが、面白いシンセサイザーですね。
僕の場合、シンセサイザーは基本プリセットをロードして「ほぼそのまま」使うことが多いんです。ゼロからオシレータを調整したり、プリセットをエディットして新しい音を作ったりということはあまりやりません。さすがにリバーブとかディレイ、EQは多少調節しますが、基本はそのまま使います。WAVESのバーチャルインストゥルメントはプリセットが非常に膨大なので、僕としては「宝探し」みたいな感覚で色んな音を探すのを楽しんでしまいましたね(笑)

- WAVESはプリセットの豊富さもさることながら、随時アーティストやエンジニアによる無償プリセットを続々と追加していますので、どんどん膨大になってきますね。

僕の頭の中に「フルート」というキーワードがあったので、たまたま見つけたLD Fluteというプリセットを使って、ベースの音域にあたる部分に音を入れてみました。実際のフルートはこんな低いところまで音はでないし、どちらかと言えばシンセっぽい音なんだけど、アンビエント的に低域を支えてくれてて、かつ空気感がありますよね。このあと、自分でベースを入れようとも思っているのですが、こういう「支え」があるとベースも弾きやすいんです。

エレピと対で聴くとこの音の存在の意味が分かりやすいかと思いますが、エレピとこのベースの組み合わせだと

*Rhodesとベースが混ざったトラック

このベースがもしもなかったらこんな感じ。

*ベースをミュートした状態

このフルートライクなサウンドが「コードの支え」でもあって、「低域の空気感」でもあるという部分が分かってもらえるかなと思います。


“下絵"の完成

支えもできあがったので、オルガンを入れようと思います。ありきたりなハモンドB3の再現的な音源を使っても面白くないので、Codexを使ってそれっぽいプリセットがないか探してみたら、ちょうど”Clicky Organ”というプリセットを見つけてしまいまして。弾いていて率直に「面白い音だなぁ」と思いました。これも宝探し気分で見つけましたね。こういう音です。

*Codexを使ったオルガントラック

- たしかに、ここまでの音を聞いていると素直にハモンド系の音を入れたくなるのかなと思ってしまいました。このClicky Organはパッと聴きはオルガンですが、ハモンド的な泥臭さのない音ですね。

もちろんハモンド系だと定石的にOKだと思うのですが、ここまでの音が比較的レトロ路線できているので、シンセのオルガンくらいキャラクターを離したものを使ってコントラストを出してもいいかなと思ったんです。あと、何より「弾いていて楽しい」って感じる音だったというのがありますね。プリセットをロードしただけだと空間系のエフェクトが強すぎるなと思ったんですが、ファーストインプレッションを失わないうちにまずレコーディングしてしまおうと。このオルガンは「揺れ」がすごくいい。不思議なステレオの広がりもあって面白いですね。

- Codexはウェーブテーブルシンセですが、このプリセットは2つの同じウェーブを使って、読み込み速度違いで左右に広げられているものですね。それが独特な感じを生んでいるのかもしれません。

なるほど。僕がオルガンを入れるとき、パッドっぽい使い方をするときにはS1 Stereo Imagerのようなプラグインで左右に思いっきり広げた音にしますが、この音はその必要もなく適度に広がってくれていますね。逆に、フレーズを目立たせたいときにはイメージャーでステレオ幅を狭くしてあげて左右どちらかにパンニングしてあげる。そうすると、フレーズが立ってくる。今回はこのまま進めても良さそうですね。こうしてこのオルガンを重ねてみたのがこちら。

*ここまでの楽器を全てミックスした状態

いかがでしょう?ソウルミュージックとかゴスペル系のミュージシャンがスタジオに集まってセッションしたトラック、みたいな”下絵"ができあがったんじゃないでしょうか。


プラグインを使って加工したり、汚したり

ここまででも良かったのですが、Flow Motionを使っていろいろと遊んでいたら面白いプリセットを見つけて。”KS Electric Metal 1”というプリセットなのですが、どこかこうクラビネットのようなニュアンスもあって、ファンシーな音だなと。ちょうどこのトラックにはギターも入っていないし、こういう刻みっぽい音があってもいいなと思いました。トラック的には一箇所、Bの展開のところだけに入れてみたのですが、こんな感じ。

*Flow Motionを使った刻みのトラック

- Shingoさんの仰るとおりクラビネットのニュアンスもあり、わずかに感じるFM音源らしい金属的な響きが心地いいですね。

さっきも話した通り、シンセはほとんどプリセットのまま使うのがほとんどですが、代わりにプラグインなどを使って音を加工したり、汚したりといったことはよくやります。この音を聞いたとき「後からアンプシミュレーターなどを使って汚してみたら、心地よくナローになってくれて、混ざりがよくなるかもなと想像をしていますが、今回はまだこのままの状態で留めておきたいと思います。この音が入った部分だけ、全てのトラックで聞いてみるとこんな感じ。

*展開Bパート全てミックスした状態

- この音が入るだけで「展開が変わった」という印象をより深く感じますね。

音色のセレクトでふとアレンジが浮かんだり、その後の展開のイメージが湧くという感じでしょうか。今回のFlow MotionやCodexなどのシンセはもちろん、エレピで使ったElectric 88はいい音であり、演奏が楽しいと思いましたね。では、今日までの制作の全体を聞いて頂いてVol.1は終わりにしたいと思います。マスターでクリップを起こさないように、L2だけをインサートしています。

*今回の制作でレコーディングされた全てのトラックをチェック!

次回はアレンジや音作り、または音を汚す作業をご紹介しますね。


プロフィール

Shingo Suzuki

国内外のアーティストを迎えてリリースしたソロデビューアルバムが世界各国で話題になり、Yahoo!ニュースほか多数のメディアで取り上げられる。また、バンド<Ovall>のメンバーとしてmabanua、関口シンゴと共に活動。FUJI ROCKほか多数のフェスに多数出演。ベーシスト/プロデューサーとして矢野顕子、Chara、さかいゆう、七尾旅人、福原美穂などをサポート。さらに、CM楽曲、テレビ、ラジオ局のジングル、ドラマやアニメの劇伴なども手がけ、多岐に渡るシーンで活躍中。2020年、最新シングル「Night Lights 2020」をデジタルリリース。

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