2021.11.18
メディア・インテグレーション(以下、MI)
新作のリリース、おめでとうございます。最初に今回の作品の思いをお聞かせください。
今まではトラックメイクから歌までの全てを自分で作っていたのですが、今回はメロディと歌詞に専念しようという思いがありました。つまり、トラックメイクを他の方にお願いしようということですね。全て自分だけで作り上げることは楽しさも達成感もありますが、そんなに簡単なことじゃない。それから、自分だけで作っていると客観性がなくなってしまうので、自分じゃないトラックメイカーに自分の曲をお願いしたらどうなるんだろう?という期待もありました。
結果として、リバーブの使い方や楽器の重ね方、キックやベースのローの膨らませ方まで含めて今までの自分にはないものをいっぱい引き出してくれたように感じたし、面白い発見がたくさんありました。
MI
自分の中にないものを持っている方々とのコラボレーションで産まれた楽曲ということですね。
DJ RYOWさんとのコラボレーションはたくさんの発見がありました。僕自身ヒップホップは大好きですが、もっとディープなヒップホップのフィールドに踏み込みたいという思いもあって声を掛けさせてもらいました。10曲くらいのトラックを送ってもらった中から選んでメロディを乗せて、という方法で制作したものです。
自分でトラックを作っていると、制作の時点でその曲がどういう構成なのか、どういうコード進行なのかという形が全部頭の中に入っていますが、自分じゃない人が作ったトラックだと何もかも把握していない状態で、それが逆に楽しいというか、新鮮だったんですね。トラックができあがるまでどういうコード進行なのかも全く分からないという(笑)
アレンジ作業も面白くて、僕自身が「メインボーカルに2声のコーラスを重ねた」と思っていたのに、アレンジャーがハモリのコーラスの方をメインに聞かせるようなアレンジにし直していた、なんてこともありました。自分では考えもつかないような音の優先順位の考え方はすごく面白かったし、良いものができたなという手応えもありますね。
MI
これまで以上にKさんは「ボーカリスト」に専念されていたのですね。今回のレコーディングではLauten Audioのマイク、Edenが活躍したと伺いました。
マイクは大好きなので以前から色々なものを試してきたし、自分の歌だけじゃなく楽器でも試してきました。数年前からスタジオで録るという機会も減ってきて、自分のスタジオで録るということも増えてきて、僕自身の曲もアコースティックなものからエレクトリックな打ち込みの曲が増えてきていたので、いわゆるスタジオの「定番」と言われるマイクじゃなく、様々なブランドのキャラクターを楽しみたいなと思ったんです。色々と物色してみたら、Lauten Audioというブランドに辿り着いて、そこの"Eden"と"Atlantis"というマイクが気になって、一度試してみようということになりました。
エンジニアさん達にも集まっていただいて、定番のマイクを含む色々なマイクをブラインドテストしたのですが、全員の意見が一致して1位はEden、2位がAtlantisでした。試したのはボーカルとアコギでしたが、Edenが一番今の音楽に合っていて、色々な場面で使えそうだなと感じましたね。
MI
1位のEdenと2位のAtlantis、2つのマイクの印象の違いはどこですか?
分かりやすく言うと、Atlantisはヴィンテージ寄りのサウンドで、Edenはもう少しモダンな感じで、ヴィンテージと最近のマイクが良い塩梅を取った感じですね。実は僕自身、定番のヴィンテージマイクってあまり好みじゃないのですが、それでもAtlantisは自分に合っていると感じましたね。温かみがあるけどハイがしっかり抜けてくれる感じ。
それから、どちらのマイクにも付いているキャラクター切り替えのスイッチ(**Multi-Voicing テクノロジー)もいいですね。音がグッと前に出たり、あるいはウォームになったり、ヴィンテージ感が出たり。マイクにこういう機能が付いているものって他にもありますが、メーカーによってはすごくオモチャっぽいものあります。でも、Lauten Audioの場合は全然嘘っぽくならないし、相当研究されて作られたんだろうなという感じがしますね。
MI
24bit、32bitなど現代のレコーディングフォーマットに合わせた「ヴィンテージ・サウンド」にチューニングするというのがLauten Audioのポリシーでもあります。
なるほど、「ハイファイなクラシカル」みたいな感じですね。個人的にはもっと多くのスタジオで導入されてもおかしくないマイクだと感じるのですが、どうしても日本のスタジオって「とりあえずいつもの定番」なところが多くて、なんだかなぁと思ってしまいます。僕は「こんなにいいマイクがあるのに、どうしてみんな使わないんだろう?」って思うほど気に入っています。
実は、J-WAVEのALL GOOD FRIDAYという番組のコーナーでカバー曲を歌うことがあったのですが、そのレコーディングも全てEdenを使いました。本当に、お気に入りのマイクだし、どこでも使いまくっています。ただ1つ不満があるとすれば.....とにかく重い!(笑)
MI
Lauten Audioのマイク全般そうなんですが、特にEdenはその中でも重いほうですね..
2021年 NEWプロジェクト第二弾! プロデューサーにDJ RYOW、注目若手ラッパーVILLSHANAを迎えリリース!!
今まで関わりのなかったミュージシャンたちと音楽を作ってみたいという思いがあって。こういう時代からこそ気軽に音を作っていこうと心がけて作りました。自宅での作業時間が増えたことがきっかけかもしれませんが、今まで避けてきた道をどんどん攻めていきたいという思いを込めて、楽曲のタイトルも「タッチダウン」に決めました。共に制作をしてくれるミュージシャンの心にもどんどん入り込んで行きたいというか(笑)どんどん前に進んで行こうという思いで作った曲ですね。
歌うことだけじゃなく、音源の選び方やトークボックスを使う事だったり、ピッチコレクトで声を思い切り加工したりと様々な遊びを仕掛けましたので、楽しんでもらえたらなと思います。