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My Favorite WAVES – 鈴木 “Daichi” 秀行 氏

2017.11.09

Reviewer

鈴木 ”Daichi” 秀行

Suzuki Daichi Hideyuki

アレンジャー / プロデューサー

バンドConeyIslandJellyFishのメンバーとしてデビュー。近年はサウンドプロデューサーとしてバンドからシンガーソングライター、アイドルまで得意な幅広い音楽性を生かし活動する傍ら新たな才能を求め新人発掘、育成などにも力を入れている。

Owns Bundle

Mercury

SSL4000 Collection

Abbey Road Collection

Favorite Plug-ins

Favorite 1
Abbey Road REDD

インサートしただけで質感が変わる系のものが好きですが、このREDDはその意味でも好きで使っています。特に”Bass Lift” つまみをグイッとあげるととてつもない図太くて、(いい意味で)とんでもない音になりますよ(笑)

Favorite 2
Brauer Motion

リリースされたばかりのBrauer Motion、使ってみたら面白くて気に入りました。音数そのものが多いアレンジの場合には、このようなオートパン系のツールがあると音数を減らすことなくアレンジの中で生かすことができたり、偶然オートパンの動き方がハマったり、クリエイティブなツールとしてもいいですね。

Favorite 3
H-Delay

世の中にはかなりのディレイ製品がありますが、H-Delayの登場機会は多いし、なんだかんだでこれに戻って来てしまいます。単なる反復をするだけじゃなくて、音楽的なディレイですね。やや「デフォルメ」された感じがあるというか、ちょっと汚れる感じがするというか、その質感が好きです。

Favorite 4
SoundShifter

意外なセレクトかもしれませんが、フェイバリットという意味では外せません。素材のピッチやタイムを変更するだけのツールなんですが、グルーヴが崩れたりもしないし、歪みっぽく音が変わったりもしない。動作も軽めで音の変化が他と比べても少ないのがいいですね。

Favorite 5
MV2

ラフミックスの作成をしているときも、本番のミックス作業のときにも大活躍しています。ラフのとき、オートメーションを書く時間もないような作業のときでもこれがあれば仕上がりに問題のないラフが作れ、本番ミックスのときには微妙なさじ加減で使うことで、欲しいレンジを抽出できる。優れものですね。

Comment & Review

もう随分昔のことになりますが、最初に買ったWAVESはNative Power Pack(現 Power Pack)でした。そこからアップグレードや単体での追加などを行なって、今はMercuryAbbeyRoad CollectionSSL4000 Collectionを持っていますので、全てのWAVESプラグインを持っていますね。そもそもサードパーティ製のプラグインが少ない時代から使っていますが、当時から「とりあえずWAVESは持っておけ」のような風潮もありました。

実機が存在するモデリング系のプラグインも好きで使っていますが、WAVESのプラグインを使うときに感じるのは「実機と似ているから使う」という基準ではなく、そのプラグインが持っているキャラクターや出音が好きだから使うといった感覚ですね。ただ単にハードウェアに似ているだけのプラグインなら他にもたくさんあるんじゃないでしょうか。僕はソフトウェアだけでなくハードウェアも大好きですが、ハードウェアだけにこだわっているわけではなく、その音が曲に合うかどうかの方を重要視しています。WAVESのモデリング系製品に関しては「使いやすい音」という印象を持っていて、だから曲に採用するケースも多いですね。日々、何かしらは必ず使っています。WAVESに限らず、僕は「ミックスのため」に限らず「曲作りやアレンジ視点」でプラグインを使用します。今回のセレクトはそういった傾向があるように思いますね。

「通しただけで質感が変わり、イイ感じになる系」のものが好きなのですが、その観点で最近一番気に入っているのが、Abbey Road REDDです。REDDには二つのコンフィギュレーションがありますが、レニー・クラヴィッツが所有していたREDD 17の方をよく使っています。トーンコントロールが独特の利き方で、ドラムのバスなどにこのREDDを使って、Bass Liftのツマミを右にグイッとあげるととてつもない図太くて、(いい意味で)とんでもない音になりますよ(笑)僕はバスにこういったプラグインを使うことが多くて、補正というよりもアレンジの一部として考えているところがあります。なのでこれくらいキャラクターの濃いものは好きですね。そのキャラクターを基にしてプリプロの段階から最終形をイメージしながら制作を進められるという意味合いは大きい。

近年のポップスやロックのアレンジでは、超低域までのレンジ感を求められる事が増えてきました。でもアコースティックドラムを実際にレコーディングしてみても、そういった超低域の部分までがあるわけではない。そんな時にREDDRenaissance Bassなどを使って補うことで、相対的にミドルの部分にスペースが空き、ここに他の楽器を重ねられるのです。やはり、プラグイン処理もアレンジの一部という感覚です。

brauer-motion_l

最近リリースされたばかりのBrauer Motion、これも使ってみたら面白くて気にいりました。いわゆるオートパン的な使い方をしているのですが、一般的なものとはちょっと違って球状のグラフィックの中で動かしていくのが面白い。ハイハットとかシーケンス系のフレーズもどハマりしましたね。音が密集していたり、音数そのものが多いアレンジの場合には、このようなオートパン系のツールがあると音数を減らすことなくアレンジの中で生かすことができる。エンジニア的な使い方も面白いけど、アレンジ中に偶然オートパンの動き方がハマったりすることもあって、クリエイティブなツールとしてもおすすめですね。

ディレイのH-Delayはかなり高い頻度で使用しています。世の中にはかなりのディレイ製品がありますが、H-Delayの登場機会は多い。H-Delayはやや「デフォルメ」された感じがあるというか、ちょっと汚れる感じがするというか、その質感が好きです。これは僕がミュージシャンだからかもしれないのですね。オケの中でちょっとだけディレイ音が「浮く」んですよ。単なる反復をするだけじゃなくて、音楽的なディレイとでもいうのかな。さらにモジュレーションとフィルターも付いているから、これ1つでやりたいことがほとんどできてしまうのもいい。何だかんだいって色々なプラグインは試すのですが、結局H-Delayに戻ってきちゃいます。存在感のあるディレイです。

意外なセレクトかもしれませんが、SoundShifterもよく使います。素材のピッチやタイムを変更するだけのツールなんですが、グルーヴが崩れたりもしないし、歪みっぽく音が変わったりもしない。動作も軽めで音の変化が他と比べても少ないのがいいですね。ProToolsなら標準のTCEツールをSoundShifterに変更もできますからね。やることが決まっているのであまり語ることはないけど、フェイバリットという意味ではこれは外せません。

MV2はかなり多くの方がお気に入りに挙げているようですが、僕も大好きでよく使います。ボーカルやベースなど、ダイナミックレンジの広い楽器には欠かせないプラグインです。最終のミックス段階でも使うのですが、ラフミックスの時にも使います。オートメーションを書く時間すらないときのレベル合わせに助けられていますね。スライダー1つをぐいっとあげるだけで嫌なコンプ臭のないレベル合わせができるのが素晴らしい。最終ミックスの段階でもうっすらと使うことで、音は自然なまま欲しいレンジに音が収まってくれます。きっとプラグインの中では膨大な処理を一気に行なっているんだろうなと思うのですが、これをわずかなパラメータで使えることが素晴らしい。コンプでもリミッターでも得られないような自然な仕上がりが好きですね。

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