WAVES Lシリーズとは?

「あらゆる人におすすめできるもの」

2014.01.29

スタッフHです。

私は仕事柄、取り扱いのブランドや製品についてディーラーの方とお話をする機会があります。歴史のあるブランド、新進気鋭のブランド、変わり種だけども味わい深い製品を作るブランド、さまざまです。

中でももっとも苦労するのが、プラグインデベロッパーの雄、WAVESです。今や150近いプラグインを抱え、今年で22年の歴史をもつこのブランドを語りきるには、時間がいくらあっても足りないからです。さらに彼らがもつ世界トップレベルの技術は、ビンテージサウンドを愛するユーザーにも、最新テクノロジーを駆使したクリーンなサウンドを求めるユーザーにも、あらゆる人におすすめできるものがあります。そのため、カテゴリーごとに分けて解説する事になります。

その中のひとつのカテゴリー、WAVESのLシリーズについて、ここでは少しだけご説明をしたいと思います。Lシリーズとは、L1からスタートしたプロダクトで、のちにL2、L3、そしてL316と続くラインナップ。そのいずれの製品も、今もなお現役のプラグインであるシリーズです。


L1 Ultramaximizer

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1992年に創業したWAVESですが、その最初期に開発されたのが、今なお一線で使用されることの多い、WAVES L1です。L1の登場はデジタルオーディオの革命のひとつと言ってもよく、音楽はもちろん、ゲーム、放送、映画など、あらゆるユーザーに爆発的にヒット。スレッショルドを下げるだけの簡単な操作で、デジタルオーディオにあってはならないクリッピングを回避し、音圧を稼ぎ、デジタルクオンタイズ(ビット解像度の最適化)をしてくれるという製品です。

後にはヤマハ製のミキサー、ハードディスクレコーダーなどにもオプションとして搭載されるなど、その技術はブランドの垣根を超えました。

後に登場するL2やL3に比べると少々歪みっぽく、ハイビット・ハイサンプリングレートが当たり前になった今ではマスターチャンネルに使用される機会は減りましたが、その独特の歪みっぽさを愛するユーザーは多く、ドラムやベースのバスミックスや、荒々しさを出したいシーンで現在も使用されています。


L2 Ultramaximizer

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その後に登場したのが、L2 Ultramaximizerです。グラフィックの質感以外は、L1とほとんど同じ見た目でありながら、よりクリーンなリミッティング、マキシマイズができるようになった、進化プロダクトです。

L1とL2を同じスレッショルド値にして聞き比べてみても、その「クリーンさ」は明らかに違います。L1で感じる歪みっぽさはなく、(潰しすぎなければ)ミックスのバランスを崩さない、透明な処理。マイキシマイズしたときの飽和感はなく、長年マスターチャンネルに使用される事になります。

これまたL3、L316が登場してからは、マスターチャンネルに使用される頻度は下がってきたようですが、今でも「クリーンなリミッティング」を求められるチャンネルやバスには使用され続けています。ベーストラックに安定したローエンドが欲しいとき、過度なコンプレッションを避けつつ、ピークのみを取り去りたいとき。L1やL2が今なお現役であり続けるのは、それぞれのキャラクターが音楽的なミックスに役立っているからと言えます。


L3 – Multimaximizer/Ultramaximizer(画像はMultimaximizer)

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L2の「クリーンな」キャラクターは、後のシリーズの基盤となりました。L3はそんなL2をベースにしつつ、マルチバンドで処理できるようになった最初の製品。そして、リニアフェイズのEQを搭載した製品です。

入力されてきたミックスを5つの帯域(バンド)にわけ、それぞれの帯域を的確にリミッティング/マキシマイズ。各バンドごとに分けて処理をするため、個別の帯域をより「クリア」に処理することができるようになりました。さらに、それぞれの帯域には「Priority(優先度)」というパラメーターがあり、あまり潰してほしくない帯域を自由に設定したり、率先して潰してもよい帯域を指定できるようになりました。

L1、L2と比べても(同じセッティングで潰しても)透明で繊細な仕上がりが可能になったにも関わらず、積極的なサウンドメイクにも活用できるようになった製品です。のちに、マスターチャンネル以外に個別のチャンネルやバスにも使用できる仕様のL3-LL(Low Latency)も登場しました。


L3-16 Multimaximizer

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WAVESによるマスタリングプロセッサーの最高峰。製品名から推測できるように、L3をベースに作られた「進化版」の製品です。

L3では5バンドのマルチバンド処理を行っていましたが、このバンド数は一気に16バンドに進化。しかしながら、16バンドの全てをユーザーに調整するように強いてしまっては、(いくらサウンドが良くても)使いづらい製品になってしまいます。

L3-16でユーザーが調整できるバンドは、グラフィックにもある通り6バンド。しかし、この6バンドそれぞれの間に「隠れた」10バンドがあり、相互の帯域のセッティングを基に自然なリミッティング、マイキシマイズに仕上がるように、背後で動作しているのです。

少々乱暴な言い方をすれば、バンド数が増えるほどより「透明な」処理ができるようになります。それぞれの帯域に専念し、より正確で歪みのない処理をすることができるからです。L3-16は、これまでのLシリーズのどれに比べても、あるいは他社のどんな製品と比べても入力音のバランスをそのまま奇麗にマキシマイズし、潰された感じのないリミッティング処理をしてくれます。

もちろん、積極的な音作りをした
いときには(あるいは、しなくてはいけない場合には)、リニアフェイズのEQを使って音作りをする事もできます。リミッティングではリリースによってミックスのどこに主眼を置くかが変わりますが、ここにもプリセットを用意。ボーカルメインの曲か、クラブで鳴らしたいベース優先の仕上げか、デジタル臭さを取り除くアナログ仕上げがいいか、選ぶことができます。

また、L3-16を購入すると、L3(Multi/Ultra)とL3-LL(Multi/Ultra)の計5プラグインが収録されているのもポイント。シーンによって使い分けてくださいね。


私がディーラーの方にシリーズの説明をするときには、これらのプラグインを一気に並べ、まったく同一のセッティング(L3やL316ではEQを使わない)にしてお聞かせします。スレッショルドは同じセッティングなので、潰される量はそれぞれ同じはずなのですが、やはりキャラクターがまったく違い、近年のものほどバランスが崩れないな、という意見でまとまります。

WAVESはシリーズの進化版が出ても、過去のプラグインを廃盤にしない事も特徴のひとつ。それは、ここでご紹介したようにそれぞれに「代え難い」キャラクターがあることも理由のひとつですが、WAVESプラグインを使ったセッションが将来も安全に開けるようにしているからです。

今ミックス中に使っているプラグインが5年後に廃盤になってしまったら(メーカーが開発をやめてしまったら)、そのセッションファイルを完全な状態で再現することはできません。WAVESが技術的に進歩しているL3やL316をリリースしても、L1やL2を開発中止にしないのは、そのキャラクターが愛されていることに加えて、ユーザーの今後にも配慮した開発背景があるのです。

>WAVES 製品詳細ページリンク

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