2015.05.20
こんにちは。スタッフSです。
ラウドネス基準の法制が行われ数年。ラウドネス処理も当たり前となり、制作者の方々もみなさん独自の手法を確立されているかと思います。
ラウドネス計測ソフトウェアとして早い段階からリリースされ、すでに定番化されているNugenAudio VisLM-Hですが、ついにバージョン2がリリースされました。リリース当初から使いやすさと安定性、対応の速さなどから高い評価を頂いておりましたが、様々な方から沢山の要望がありました。
当時は技術的な問題などから実現できない機能もありましたが、満を持してこれらの要望に応えるべく、v2では多数の機能が搭載されています。
まずは表示に関するアップデート。サイズの自由な拡大、縮小が可能になりました。
ヒストリーの幅を長くしたい、レベルをもう少し見やすく、編集時は全体的に大きくしたいなど、自由に拡大縮小が可能です。
そして一番多かった要望は、「編集し直したポイントだけ再計測はではできないの?」というものでした。
テレビや映画などは数十分、数時間にも及ぶため、計測だけでも時間がかかります。ラウドネスの仕組み上、番組の最初から最後までの数値を割り出さなければいけないため、後でちょっとだけ手直し、といってもまた最初から計測のためだけに再生が必要でした。場合によっては編集よりも計測の方が長い時間を要していることもあるかもしれません。
VisLMでは、初期の段階からPro ToolsのAudio Suiteに対応していましたので、ファイルベースであれば数十~数百分の一の計測時間で可能でしたが、そうはいっても調整後、事前にすべてのトラックをバウンスしなければならないし、毎回AudioSuiteメニューからファイル計測も一手間かかります。
今回のv2では、このようなプロセスを必要とせず、変更した場所だけを再生することで、自動的に全体の計測値に反映させることが可能なのです!!
リリース当初から、何よりも要望が多かったこの機能、”ReMEM”(Rewritable Memori Edit Mode)という機能によって実現されました。具体的にはDAWとタイムコード同期を行い、メモリされた全体の同期情報から一部を更新する仕組みとなっています。
では具体的な方法を試してみましょう。
画面下から”Time Code”モードを選択し、全体を計測します。
ワークフロー的に、後から一部だけ音声を差し替えたり、ボリューム調整を変更したりのケースは多いかと思います。
ここでは単純にクリップの一部のレベルを変更します。
3dbほど上げてみます。
レベルなどの調整後、変更したポイントの再生を行います。
再生を行うと、実際にエディットした場所が再計測されます。画像では薄紫になっている部分が、計測が更新された場所です。
このように、一度計測が完了した後は、エディットを行った場所のみ再生をするだけで、ラウドネス値が更新されます。
長時間のプロジェクトでもエディットのたびに頭から終わりまで、時間をかけて再計測する必要はありません。規定値内に収めるために、あまり頻繁なエディットは避けるというお話もよく頂くようになりましたが、この機能でより積極的な調整も可能ですね。
…ところで、そうは言っても最初は実時間をかけて計測が必要なのか~とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、前述のように、Pro Tools上であればファイルベース(AudioSuite)での計測が可能です。これは実時間より大幅に短い時間で計測が完了できるので、DAWならではのノンリニアな処理が可能です。
これまで、基本的に最終段階のみでの計測にとどまっていましたが、新たなエクスポート>インポート機能によって、より柔軟な扱いができます。
まず、AudioSuiteで計測を行います。(実時間の数十~数百分の一の時間!)当社のサンプル環境では、45分の素材がおよそ30秒で計測されました。
AudioSuiteの計測が完了すると、Exportボタンが表示されます。
このボタンをクリックすると、リアルタイムプラグインとして起動しているVisLM 2の方にImportボタンが表示されます。
このボタンをクリックすると、AudioSuiteで計測された結果が、リアルタイムプラグイン(AAX Native/RTAS)の方に反映されます。
以上の方法で、通常のリアルタイムプラグインの方でも一度計測した状態になりますので、リアルタイムにメーターを見ながら編集することが可能となります。
前述のTimecodeモードと併用しながら、計測に関する無駄な時間を極力排除し、積極的な編集、ミックスなど、よりクリエイティブな作業に多くの時間を割くことが出来ますね。
これまで頂いた多くの要望を実現し、国内規格であるARIB TR-B32の一早い対応など、きめ細かなアップデートを行ってきたVisLMですが、v2では新たなワークフローを見出すことも可能となりました。旧バージョンからのアップグレードももちろん可能ですので、ぜひご検討ください。