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Sonnox Fab Tips No.5:衝動を”SuprEss”して、より生産的な日々を

2016.02.04

blog_20160204_fabFab Dupontによる、より的確なコンプレッションについてのTips。レコーディング/ミックスを行っていると、特定の楽器において「ある瞬間だけ発生するピーク」について頭を悩ませる事があります。

通常私たちはこのピークを抑えるためにコンプレッサーやリミッターを用いますが、果たして今私たちが使っている方法は正しい、あるいは効果的なのでしょうか?

同様の悩みにぶつかったFab Dupont氏が導き出した回答は…Sonnox OxfordのOxford SuprEsserを的確に用いることでした。みなさんのミックスにより躍動感やレンジ感を創りだすためのTipsです。SuprEsserは(名前から推測できそうな)単なるディエッサーではありません。


 

誰かが言う、すべての周波数は平等に創られていると…

ああ、コンプレッサー!なんて素晴らしくしかも邪悪なデバイスだろう。実践的なのに、多くのひどい音のレコードの責任はコンプレッサーにあったりする。そしてリミッターだ、リミッターはみんな大好きだよね?これなしで過ごすなんてとても無理だ。色々なレコードを聞いていると、たまに「僕ならもっとこうすることもできたのに!」なんて思う。

しかしなぜだろう?

アメリカ中西部で古くから言われている「銃が問題じゃないんだドリー、それを使う人間の問題なのさ」。

コンプレッサーとリミッター、銃と全く逆のものだけど、無理なく扱う限り、とても素晴らしい機器だ。問題は、今時無理なくコンプ/リミッターを使うなんて、ほんの少数の人だけ、ということ。もちろん、これを読んでくれているみなさん、君達は善良だ。人を殺めたり、株に投資したり、近所をいたずらしたり、もちろんやり過ぎのコンプレッションもしない…もしくは、やってしまっている?

自分があるセッションを仕切る立場にあったと想像してみよう。照明は暗く、ムードは柔らか、ふかふかのカーペットでハードディスクが静かに回転している音だけが聞こえる。

ベースプレイヤーのガールフレンドはすごくホットで、君は「まさに天才だ、キミのアンプサウンドをセッションで使いたい」という。人生は素晴らしい…であとから君はベース・トラックを他のパートと合わせて聴いてみる、なんてことだ!ある箇所のノートを演奏した時だけ、ボンボン、ボンボン、とベースが狂ったように突き上げてくる。うわ、どうしよう?

ついこの間買ったばかりのコンプレッサーが君の名を叫んでいる「僕、僕だよ!僕を使いなよ!」で、君はそうする。でもこのノート一個を抑えるには、ものすごくきつくコンプを掛けなきゃいけない。でもそれじゃベース全体の音はどうなる…ちょっと話が細かすぎるって?

さて、もしこのブーミーになっているノートだけを、本来あるべきレベルまで落とすことができたら、素晴らしいと思わないかな?EQで削ってしまうとベース全体のサウンドが細くなってしまう。だからコンプレッサーを使った、でもこれも充分じゃない。

最良の解決方法は、もっと良いベースを持っている腕のいいベースプレイヤーを呼んでくることだ。僕の意見を言わせてもらうと、現代において多くのレコードのサウンドは、エンジニアがこれ以上良いプレイヤーも楽器もない、という状況(まあ、ほとんどの場合がそうなんだけど)をどう解決するか、という点に強く結びついている。

僕自身あらゆることを試してきた。ノート毎にオートメーションを書いて、EQをオートメーションでオン・オフしたり、神様にハードウェアを生贄にしたり、終いにはなるべく問題を無視してマスタリングの人が何とかしてくれるだろうと願ってみたり、等々。あらゆることを試しても得られるミックスの結果はまちまちだった…Oxford SuprEsserを手にするまでは。

ここで例を挙げよう

問題のあるベース・トラックを探してくる(みんな絶対に一つくらいは持っているはずだね?)。お気に入りのコンプレッサーで、サウンドがいい具合に均一になるまで潰して…うん?どうしてもそうならないって?コンプレッサーが許す限りギリギリまで叩いてみよう。クール!ベースパンケーキの出来上がりだ。必ずコンプ前/後のレベルを揃えて、どれくらいひどいことになっているか、A/B比較するのを忘れずに。

Sonnox-Oxford-SuprEsser

じゃあ、ここでSuprEsserの登場だ。ベース・トラックに使うときは、ローレイテンシーではなく、ノーマルもしくはHi Resバージョンを選択すること。初めにInsideボタンをクリックする。オーケー、音が変だって?これが普通の状態だ。次にEffectボタンをオフにして、下にある水平スライダーを動かして、問題になっている周波数帯のあたりでゼロになるよう設定する。ベース・トラックなら、曲のキーやその時の天候、プレイヤーの体調にもよるけど、だいたい60〜170Hzあたりを探してみよう。

そしてEffectボタンを再度オンにして、Dynamicsのスライダーを、きついピークが和らぐまで下げていく。最後にMixをクリックする。驚きの結果になるはずだ。Mixモードを有効にしたまま全トラックと合わせて再生し、Dynamics Thresholdで完璧にフィットするまで微調整しよう。

では、この二つの例をレベルを同じにして較べてみる。どちらがよりファットで、パンチのある、かつうるさくないサウンドになっているかな?

次に自分がミックスした典型的なセッションを見てみる。いくつくらいのコンプレッサーが使われているか数えてみよう。レベルを上げるためでなく、トーンをコントロールするためにかけすぎの状態になっているトラックがいくつあるかな?これらのコンプをSuprEsserに差し替えてみるとどうだろう。次にコンプレッサーを使おうと思ったとき、その衝動を抑えてちょっと考える。本当にコンプは必要か?それとも問題になっている一部分だけを抑えて、その曲が安らかに呼吸できるようにはできないか?


 

僕の場合、SuprEsserを使い始める前と後のミックスの違いを明確に指摘できる。サウンドの特定部分のトーンだけをコントロールできることで、おそらく50%くらいコンプやEQをの使用頻度が減って、その音楽に含まれるすべてがより大きく、ダイナミックなサウンドになった。ミックスを以前に比べてよりハードで、ファットなサウンドに仕上げることができる。以前にも取り上げたけたけど、ベースの帯域とコンプレッサーがいつも仲良しでいる必要はない。

僕のように考える人なら、こう自問するだろう:トム・ダウドがアレサ・フランクリンと彼女のバンドを2トラックへリアルタイムにレコーディング、ミキシングしていた頃、彼はどうやっていたんだろう、と。彼はSuprEsserを持ってなかったんだよ!持っているわけがないよね。でも彼はテープと真空管、ニュージャージーくらいあるサイズのトランスをすべての入出力に使って、さらに世界でも指折りのミュージシャンを揃え、窮屈な6dBのダイナミックレンジにレコードを収める必要もなかった。これが当時のやり方だった。

でも僕らには、SuprEsserがある。

 



筆者について:

Fab Dupontはフランスに生まれ、現在はニューヨークを拠点に、世界各地のスタジオでミュージシャン/プロデューサー/エンジニアとして活動しています。マンハッタン、イーストビレッジにある彼個人のスタジオでは、ジェニファー・ロペス、マーク・ロンソン、アイザック・ヘイズを初めとする多くの作品が生み出されています。「The Rundown」や「Washington Heights」といった映画のサウンドトラック、さらにアップル 、モトローラ、ジョンソン&ジョンソンといったCM音楽まで幅広く手がけるなど、多方面でその才能を発揮しています。

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