2014.07.24
ラウドネスソフトウェアとして一躍スタンダードとなったNugenAudio社より、新たにリニア・フェイズEQ SEQ-Sがリリースされました。音質を重視した高品位なEQ処理はもちろんですが、SEQ-Sには「EQマッチング」という非常にユニークな機能が搭載されています。 本ページでは、この「EQマッチング」の手順を紹介していきたいと思います。
異なる音質を適合させる「EQマッチング」とは?
こんにちは。スタッフSです。
ラウドネスソフトウェアとして一躍スタンダードとなったNugenAudio社より、新たにリニア・フェイズEQ SEQ-Sがリリースされました。 NugenAudio社はもともとマスタリング・エンジニア、音響理論、プログラミングの専門家によって設立されたメーカーであり、音楽的な処理に関しても他メーカーとは異なる視点でユニークなプラグインを多数リリースしています。 特定の帯域をモノラル処理してトラック全体の存在感、透明感を出すMonoFilter、帯域ごとに自由にパンニングできるStereoplacerなど、マスタリング・エンジニア視点ならではのアイデアが詰まったラインアップです。 SEQ-Sもその視点に沿った、非常にパワフルで位相ずれの発生しない処理が可能なリニア・フェイズEQです。
音質を重視した高品位なEQ処理はもちろんですが、SEQ-Sには「EQマッチング」という非常にユニークな機能が搭載されています。 本ページでは、この「EQマッチング」の手順を紹介していきたいと思います。
簡単に解説すると、サンプルとなるオーディオ・トラックの周波数特性を解析し、別のトラックも同様の周波数特性にする機能です。 例えば、別の環境や機材で録音した別テイクの音源を差し替えて適合させたい場合、マッチング機能を使用することによって、非常に差異の少ないトラック処理が可能となります。
では、このEQマッチングはどのように行うのでしょうか?
1.サンプルとなるオーディオトラックに”Nugen Snd”プラグインをアサインします。 このプラグインは、いわばNugen独自のサイドチェイン送信用のプラグインです。このプラグインをアサインすることで、別のNugenのプラグインへ、そのトラックの音を送信することが可能です。
2.実際に処理を行いたいトラックにSEQ-Sプラグインをアサインします。
3.Matchボタンをクリックし、
“Record New Snapshot”を、 続いて”Record From: SEND 1″を選択します。
この手順は、Send 1(ステップ1で指定したNugen Sndの信号)からの信号で、新しいサンプルをレコードする、という設定となります。
4.トラックを再生し、”Record”ボタンをクリックすると、サンプルトラックから解析が行われます。デフォルトでは5秒間となっています。 完了したらSaveボタンをクリックして解析カーブを保存します。
これで目的(サンプル)となる周波数特性の計測が行えました。画面に青い線で表示されます。
5.次に適合先のトラックの解析を行います。”Record New Snapshot”をクリックします。
適合は自身のトラックなので”Record From SELF”を選択します。
6.再度トラックを再生し、”Record”ボタンをクリックします。5秒間サンプルがキャプチャされ、アサイン先のトラックの解析が行われます。Saveボタンをクリックして解析カーブを保存します。
7.青い波形がサンプル・トラック、緑が自身のトラックの解析データとなります。 EQマッチングでは、この差分を計り、適正なEQカーブをアサインすることが出来るのです。
8.右上の”Match”をクリックすると、差分のカーブが表示され、EQプロセスが行われます。
マッチパターンは3通り保持することが可能です。
EQカーブはマルチポイントで補正が行えるので、各ポイントごとに細かく調整したり、ポイントの繋がりやカーブ全体を緩やか/鋭角に変更することも可能です。
いかがでしょうか?
別の場所や機材などで録音した音声を違和感無く差し替えたい、このギターやキックの音と似た感じのEQ処理を行いたい、などマッチング機能を使うことで、より積極的なEQ処理が行えるます。ナレーションやボーカル、楽器など様々なMAから音楽制作まで幅広いジャンルでこれまでとは一歩進んだ、新たなEQの使い方で積極的にご活用ください。
今回ご紹介したSEQ-Sの製品ページはこちらから。