scroll

スタッフルーム:Apogee Ensemble その2

2015.03.17

スタッフHです。

前回、Apogee Ensembleを実際に購入して活用を始めたぞ、という記事をポストいたしました。本日は続編、フロントパネルにあるGuitar IOをさらに突っ込んでご紹介したいと思います。

今までのギター/ベースレコーディング

もしも私が賃貸マンションではなく広大な一軒家に住んでおり、ギターアンプやベースアンプを24時間いつでも好みの音量で鳴らせ、お気に入りのマイクも所有していたならば、マイクのベストポジションの研究に勤しんでいたのかもしれません。

が、残念ながらそういった環境が私にはないため、さまざまなレコーディング・ギアを使って工夫をしてみることになります。この工夫もまた、自宅レコーディングの楽しみの一つとも言えるかもしれませんね。

ハードウェアのアンプシミュレータを導入してみる

高校生で(当時は、カセットMTR)宅録にハマって以来、最初に入手したのはハードウェアのアンプシミュレータ。後述するソフトウェアとは異なり、レイテンシーやセッティングなどを気にする事もなく、ペダルエフェクト感覚で使用できるところが最高です。

20150316_ampsim

ソフトウェアのアンプシミュレータを導入してみる

ここ数年で一気に技術革新が進んだカテゴリといえば、ソフトウェアのアンプシミュレータです。ここ最近の個人的なヒットといえば、Positive GridからリリースされたばかりのBIAS Desktop。これまでのアンプシミュレータとは少々異なり、アンプ本体の回路から自作しちゃおうぜ、という何とも鼻息の荒くなるプロダクト。ソフトアンプなら、レコーディングされるのは処理前の音なので、後からいくらでもアンプの変更も可能ですね。「マーシャルで録っていたけど、ここはフェンダーの方が合うな」と後から切り替えもできます。

ハード、ソフト、それぞれに利点があって、それぞれに(私が感じる)使いにくさもあります。何が使いにくいかは人によって変わってくるかと思いますが、ハードの場合は「掛け録り」になってしまい、後から音作りはできない。ソフトの場合は常にレイテンシーとそのセッティングとの戦いになる、といった辺りでしょうか。

それなら両方生かしておけばいいじゃない

ハードとソフト、それぞれに利点がある。それならば、両方のサウンドが常に生かされるようにケーブルを全部つないで、全部レコーディングしてしまえばいいじゃないか、と思いました。

ギターやベースを一度DIかパラボックスに入れて信号を分け、片方はハードのアンプシミュレータに。片方はオーディオIOに。ハードのアンプシミュレータのアウトプットもオーディオIOに繋いで、全て録音されるようにする。こういった方法もアリです。

唯一の欠点は、私の部屋もさほど広いわけではないこと。結線を増やしたり常に複数チャンネルの録音のセッティングをしたりと、操作系統が今までよりも少々煩雑になること。面倒くさがりの私にはこの解決方法では向かなかったのです。

Ensembleの個性的なGuitar I/O

20150306_ens

こういった自宅録音の悩みが、EnsembleのGuitar I/Oで全て解決した、というオチへと話は進みます。

写真の通りEnsembleのフロントパネルには、

  • 2系統のギター・ベース対応、シンセなどもOKな真空管エミュレートのインプット
  • そして、そのアウトプット

が並びます。インプットに関しては現在多くのオーディオIOにも同様のものが装備されているので珍しい要素はありませんが、特徴的なのはこの「アウトプット」です。上段の2つがインプット、下段の2つがアウトプットです。

開封した直後の状態であれば、このアウトプットは、「インプットに入ったものをそのままスルーアウト」します。これを利用して、こういった接続が可能になります。

20150316_gtiotrim

Guitar I/Oにインプットされた信号は2つに切り分けられ、1つはDAWにそのまま流れるインプットとして。もう1つは下にあるGuitar Outに送られます。その先にギターアンプを繋げば、常にギターアンプは鳴りっぱなし

フレーズを考えたり、アレンジをしている時でも、結線を変える必要はありません。Ensembleからギターアンプの間に、お好みのエフェクトボックスを繋いでもOKでしょう。

この時点ですでにサウンドが気に入ったのであれば、マイクを立ててレコーディングしてしまう事もOKです。この場合は、マイクイン(背面)の方をDAW側でレコーディングしましょう。

20150316_ifmic_0

しかしこの時点で、「アレンジやプレイは固まりつつあるけど、音作りがまだ決まっていない。でも、レコーディングはしてしまいたい」という時には、インプットをフロントのギターI/OにするだけでOKです。こうする事で、ギターアンプは鳴らしていながら、レコーディングはDI(フロントパネルのギターI/O)を通っただけのシグナルがレコーディングされます。

そうしてレコーディングが終わったら?

レコーディングが終わったら、ギター(ベース)を置きましょう。たった今レコーディングしたテイクを再生すれば、当然ながらギターアンプを鳴らしていない、DIが通っただけのサウンドが再生されるはずです。

ここでEnsembleで、Guitar I/Oの「アウトプット」を切り替え。インプットの信号をスルーアウトするのではなく、DAWからの信号を出力するように切り替えるのです。私の場合はこの切り替えを頻繁に行いたいので、フロントパネルのアサイナブル・ボタンに切り替えを割り当てています。

20150316_gtsoft 20150316_gtthru

DAW側で、録音を行ったトラックのアウトプットをこの「Guitar I/O」にアサインすることで、先ほどレコーディングしたギターテイクが、そのままギターアンプから再生されます(この瞬間、いつも私は不思議な感覚に陥ります。自分が弾いていないのに自分のプレイがギターアンプから鳴るのです)。

あとは思う存分音作りをしましょう。マイクの位置を調整する時間に当ててもいいと思います。私のようにコンパクトエフェクタージャンキーなら、この時点でコンパクトエフェクターで音作りしてしまうかもしれません。

あれ?スタッフH自宅は、アンプ鳴らせないって言ってたよね?

冒頭で「私は自宅でアンプを鳴らせない」とお話をしていました。そうです。では私はどのように結線しているかというと、こんな感じ。

20150316_sans

ハードウェアのアンプシミュレータへとつなぎ、そのアウトプットをGuitar I/Oの2番に入れる(SansAmpに詳しい方、インとアウトの方向が逆だ、という突っ込みはご容赦ください。私の画像編集の技量の問題です)。

これなら、サウンドメイキングまで含めてこのまま録りたい場合はインプットをGuitar I/Oの2番に。音作りはこれから…とりあえず録るだけ録りたいという場合はインプットをGuitar I/Oの1番に。マウス1クリックで切り替えが可能です

レコーディングが終わったら、今録ったプレイを再生しながら存分に音作り。この柔軟さは、今までEnsemble以外ではありませんでした。

アウトプットなんて、他のI/Oでもあるでしょ?

一度インプットしたシグナルを、外部のプロセッサーにアウトする。これは特段珍しい機能ではないかもしれません。Ensembleが特徴的なのは、この部分のアウトプットがラインレベルではなく、インストゥルメント・レベルでの出力になっていること。つまり、ギターアンプやコンパクトエフェクターを直接繋いでもOKということなのです。

多くのオーディオIOは、モニタースピーカーに接続する、あるいはラックマウントの外部ハードウェアに接続することを前提にしているため、ラインレベルになっているものがほとんどでしょう。Ensembleも背面にこの手のアウトプットを装備しています。

しかし、フロントパネルはインストゥルメント・レベル。ギターアンプ、コンパクトエフェクターはもちろん、ライン・レベルのプロセッサーに送ってもOKなのです。

今までこのような事を行おうと思ったときには、ラインレベルの信号をインストゥルメント・レベルに落とす、通称「リアンプボックス、逆DI」が必要でした(実はこの手の製品は、いくつか持っています)。


このI/Oセクションは、人によって活用方法が千差万別になるでしょう。ギターやベースのみならず、シンセやリズムボックスを入力することもOK。アウトにはギターアンプ、ベースアンプ、コンパクトエフェクター、シンセサイザー….考えだすとキリがありませんね。

とにもかくにもこの接続で、「ギターI/Oの1にケーブルを繋ぎっぱなし、1のアウトから2のインプットには毎回好みのハード・アンプシミュレータを繋ぐ」という、実験大好きな私にとって最高のIO環境がまたひとつ、かなったのです。

続きます。

TOPへ