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☆Taku Takahashiが訊くApogee Elementシリーズ

2017.01.20

長年のApogeeユーザー、Apogeeファン
 

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 – ☆Takuさんは長年のApogee愛用者とのことですが、最初にApogeeと出会ったのはどのモデルでしたか? 
最初に知ったのは紫色のパネルのものだったので、結構昔ですね。知り合いからPro Tools HDで使用できるハイクオリティなIOがあるよ、と教えてもらいました。実際使ってみたら本当に理想通りの音が出て、一発で好きになりましたね。
 
– AD8000か、またはRosetta800/200辺りかもしれないですね。 
僕、すごくApogeeが好きなんですよ。特に初代のEnsemble(FireWireモデル)が登場したころからはずっと個人でもApogeeのIOばかりを使っていて、僕の耳がすでにApogeeに慣れていますね。当時からキラッとした高音、しっかりした低音の解像度が高いイメージがある。フラットなんだけど、見えやすいというのかな。
 
– 今までどういったApogee製品を使ってこられましたか?
最初に買ったのは、FireWire接続の初代Duet。そのあとにEnsemble(FireWire)だったかな。その環境はしばらく使っていたけど、今は外出用でGroove、それから外出にも自宅でも使っているQuartetとEnsemble Thunderboltがありますが、Ensembleはちょっと眠らせてしまってますね…もったいない(笑)
 
_dsc0324– たしかに、もったいないです(笑)Apogeeを使い続けている理由はどこにあるのでしょう?
 好み!出音が大好きだから!まずはそれに尽きます。いろいろなインターフェイスを使ってきましたが、やっぱりApogeeですね。「この音の最大の魅力はどこだろう」というポイント探しをするときも、すぐに判別がつきやすいんです。
 
– 正確なAD/DAコンバージョンだからこそ、音がしっかり「音楽的」に聞こえるのかもしれませんね。 
そうそう!だからどんなモデルを使ってもApogeeなら信頼して使えますね。実は今作業をしている曲もGrooveを使ってヘッドフォンメインで制作したものなんですよ。僕の場合はMacの中だけで作っちゃうことも結構あるので、GrooveのようなハイクオリティDAはやっぱり「今の自分に欠かせないもの」ですね。
 
– インプットを使用されるケースはあまりないですか?
いや、もちろんゼロではないです。デモの段階でApogeeインターフェイスを使って録ったボーカルやギターが採用テイクまで残ることはよくあるし、音も好きですね。デモと思って気軽に録ったものでもここまで行けるというのも、改めてApogeeすごいなって思います。今まで数え切れないほどの作品をApogeeで作ってきましたからね。

 
Apogee新製品、Thunderbolt接続のElementシリーズ
 
– そんなApogeeですが、このたびElementシリーズという新しいThunderbolt接続のオーディオIOをリリースしました。今回お持ちしたのは、シリーズ中最も小さいモデル、Element 24という製品です。このほかにElement 46、Element 88と全3ラインナップとなっています。製品名の数字の部分が「アナログイン/アナログアウト」の数を表しています。また全モデルでADATポートも装備されています。
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ちょっと今までのApogeeっぽくない見た目ですよね。気になっていました。
– 大きな特徴として、ボリューム等を含めたコントロールを本体ではなく、Element ControlというMacのコントロールアプリケーション、またはiPhoneやiPadなどのiOSデバイスで行うことができるようになっています。iOSデバイスを使うことで、ワイヤレスで離れたところからもElementをコントロールできるというところが特徴です。このため、本体にはディスプレイやツマミの類を排除して、結果的にコストパフォーマンスに優れたものになりました。 
僕がいま手にしているこのElement 24はアナログ2イン、アナログ4アウト(**ヘッドフォンアウトを含む)ということですね。ということは、僕も使っていたDuetと同じ構成ということですよね。Duetとはどういった違いがあるのですか?
– まずは接続方式の違いですね。DuetはUSB2.0接続で、ElementシリーズはThunderbolt接続です。また、DuetはMacのほかiOSデバイスでも使用できますが、ElementシリーズはiOSデバイスには対応していません。Elementシリーズはコントロールの全てをMacまたはiOSデバイスを使ってワイヤレスで行いますが、Duetは本体で行うことが前提です。また、まもなく(本記事作成時:2017年1月)Elementで使用できる卓上コントローラのApogee Controlもリリースされます。
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Elementシリーズはパッとみて、本体に突起物が一切ないのがいいよね。故障のリスクも減ってくれる。
– まさに、Apogeeスタッフが語るElementシリーズのコンセプトの1つが「頑丈さ」でもあります。自宅で使うだけであれば気にならないポイントかもしれませんが、あらゆる場所に持ち運んで頂いたり、クラブやライブハウスなど「タフさ」が優先されるようなシーンであっても音質を犠牲にすることなく、最高のAD/DAコンバータを利用いただけます。そういったこともあり、従来のApogee製品のデザインとは異なる部分もあるかもしれませんね。
スタジオなんかもそうだと思いますが、ガツガツ人が出入りするような場所でも安心して置いておけるというのはいいですね。iPhoneやiPadで「ワイヤレスで」コントロールできるというのは、どういった利点があるのですか?
_dsc0268– 例えばキュー・ミックスをシンガーさん自身が手元でコントロールすることができたり、いちいちMacの前に戻らなくてもマイクプリのゲイン設定が行えたりといった使い方でしょうか。もちろんスピーカーやヘッドフォンのボリュームコントロールなども離れた位置から行うことができます。ワイヤレスなので、デスクトップに設置した場合でも自由な位置に置いておけますね。
そうか、Duetのように手元に置いておく必要はないと。 
– そしてヘッドフォンアウトには、☆Takuさんも「今の僕に欠かせないもの」と仰っていただいたGrooveと同じ、コンスタント・カレント・ドライブ(ヘッドフォンのインピーダンスに合わせて適切な出力ボルテージが可変される機構)も、このElementのヘッドフォンアウトに搭載されています。
ここにGrooveが入っているようなもの? 
– そうです。どんなヘッドフォンやイヤフォンなどを接続してもマッチングしてくれますので、ヘッドフォンやイヤフォンがもつポテンシャルを最大限に引き出してくれると言ってもいいと思います。

 
注目の機能、FX Send
 
Element Controlはパッとみてミキサーのような見た目だから把握もしやすそうでいいですね。この「FX Send」というのはなんですか?
– FX SendはElementシリーズのフィーチャーポイントの1つです。一般的なミキサーのバスに近い考え方のものですが、例えばDAWやiTunesから出力した音は、通常そのまま物理的なアウトプットから出力されますよね。これを再度「インプット」に戻してしまうことができるというもの。例えばAbleton Liveからの出力と、インプットに接続したターンテーブルやCDJをミックスして、同じMacで起動しているPro Toolsにパフォーマンスを一発録音してしまうといったことも可能です。
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例えばElementにマイクを繋いで、iTunesで曲をプレイしたものをビデオ配信アプリに繋ぐこともできる? 
– はい、可能です。
面白いね。YouTubeで再生したサウンドをDAWに直接レコーディングとかもできちゃうんだ。つまり、高度な内部パッチングができるということだね。でもFX Sendっていう名前がややこしいよね(笑) 
– 私たちも名前については当初、戸惑いがありました…(笑)でも、このパッチングの機能は意外とできるインターフェイスが少なくて、かなり高い技術が用いられていることも事実ですね。ユーザーによって様々なアプリケーションとの組み合わせが楽しめるのではないかなと思います。
この発想は素晴らしいね。Ensembleなどの大型インターフェイスでも実装してほしいな。ソフトウェア上でできるなら、期待したいね。

 
Apogeeだからこそできた、CPU負荷を軽減するThunderboltドライバ
 
– ApogeeのThunderboltドライバは非常に優秀で、オーディオの入出力の際にCPU処理を挟ませず、ダイレクトにRAMメモリとのやり取りをすることができるようになっています。
それはつまり、レイテンシーが少なくなるということ?
 
– まさに、その通りです。Elementシリーズでは最短の設定でラウンドトリップ(インプットした音をDAW経由でモニタリング)1.41msまで抑えることができます。ソフトウェア音源などを弾くときにも、あるいはオーディオレコーディングを行ったとしても、聴感上の遅れは感じないレベルまで設定を詰めることができます。
その数値は圧倒的にDuetよりも優れているということだよね?
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– はい、USB接続のDuetだけでなく、世の中のあらゆるオーディオIOの中でもトップクラスです。レイテンシーが少ないだけでなく、ハードウェアとしてもアナログ部分は☆Takuさんもお持ちのEnsemble Thunderboltと同等のものを採用しています。ハイエンドの単体マイクプリに多く採用される、ステップゲイン方式をさらに推し進めたAdvanced Stepped Gain回路や、AD/DA回路などは共通のものと言ってもいいですね。
ElementはMac専用ですよね?専用にすることで可能になった部分もあるということかな?
 
– ApogeeはAppleとも親密な関係にあるので、ここまで高いレベルのドライバが開発できたとも言えますね。レイテンシー値が小さいだけでなく、CPUの負荷も抑えられます。
え!じゃあAbleton LiveなんかのCPUメーターがもっと抑えられるってこと?
 
– そうですね。いつものバッファーサイズにセッティングしていても、いつもより多くプラグインが掛けられるようになるはずです。これが、Apogee Thunderboltドライバの底力ですね。
そうか、レイテンシーをもっと少なくするという意味合いで使いたい人もいれば、より多くのプラグインをかけたいという意味合いで使いたい人もいるから、どちらにしても効果が高いということですね。出音もよくなるし、いいことづくしだ。これは僕がもっているEnsemble Thunderboltでも同じですか?
 
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– はい。ApogeeのThunderbolt接続を行うElement、Ensemble、Symphonyは全てこのドライバを採用しています。
最近はヘビーなソフトシンセも結構多いから、CPU負荷が抑えられるのはいいな。「このシンセ入れちゃうと動作がモッサリするんだよなぁ」みたいに悩んだときでも迷わず使えますね。AppleがApogeeを信頼する理由もわかるな。眠らせちゃっている僕のEnsemble Thunderbolt、レイテンシーが減るということなら登場の機会が増えそうだな。

 
「ちょっと、ありえない価格ですよね」
 
_dsc0241ちなみにこのElement 24で販売価格はどれくらいなんですか?
– 市場想定売価で、78,000円ほどでしょうか。
え?僕が買ったEnsembleの価格を考えると、ちょっとありえない価格ですよね?
– 「紫色」時代からのApogeeをご存知の方に実際に音を聞いていただいても、出音と価格のバランスにはいつも驚かれます…
20万円30万円クラスのものと比べると、チャンネル数は減ってしまうけど音のクオリティは一緒ということですもんね。数十chはいらないから、2chだけでいいという人には78,000円でこのクオリティのIOが手にできてしまうんだ。
– はい。本体コントロールのツマミやディスプレイなどは一切排除されていますが、Apogeeがこれまで培ってきた技術と、それによるクオリティはベストな製品であると言えます。
 
iPhoneとかiPadを接続することはなくて、かつThunderboltを搭載しているMacを使っている方なら断然DuetよりElementですね。Element 46やElement 88の価格はいくらくらいなんですか?
 – Element 46の市場想定売価で118,000円、Element 88で188,000円です。
 
僕はもちろん好きになったからEnsemble Thunderboltを購入したけど、Element 88でもコストパフォーマンスがすごいですね。これから初めてMacを買って音楽をしたい人には、Elementを奨めちゃうな。
– もちろん、DuetやQuartetも生産完了になったわけではないので、iOSデバイスでも高品位なIOを使用したい方ならこれらのUSB接続のモデルを選んでいただければと思いますし、☆Takuさんが仰る通りThinderboltポートを搭載したMacを使用されている方なら、ぜひElementのアドバンテージを活かした制作をしていただけたらと思います。

 
音にこだわるすべての人に
 
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今よりも少しでもいい音で録音したり、モニターしたいという人にElementシリーズはオススメですね。それぞれ必要なインプット数で選べばいいと思います。Element 24だったらアナログ盤のサンプリングとか、ボーカルレコーディグのような小規模プロジェクトに。Element 46まで行けるなら、それに加えてハードシンセを繋いだプロジェクトに。Element 88まで行ければかなり余裕もあって次の次元にいけそうですよね。ハイエンドのApogee製品と同じクオリティを持っているけど、本体から画面やツマミをカットして価格を抑えてある。
 
本体に無駄なものが付いてないから変に機材を「ディスプレイしよう」なんてことにもならないし、音楽に集中できる。音にこだわっている人すべてにチェックしてもらいたい製品ですね。
 
 

 プロフィール 

takutakahashi_cut☆Taku Takahashi 

DJ / Producer / m-flo / block.fm founder

 
1998年、VERBALとm-floを結成。ソロとしてもプロデュースやRemixを積極的に行う。ダンスミュージックの総合情報サイト 「block.fm」主宰。
 
☆Taku Takahashiプロデュースによるフジテレビ月9ドラマ『信長協奏曲』のオリジナルサウンドトラックがiTunes限定で1/13~1/26の間、期間限定でプライスオフ販売中!

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