エンジニア・三好 敏彦 氏 インタビュー

Overview概要

2002年の創業からわずか10年の間にドイツを中心にヨーロッパのレコーディング・スタジオ、マスタリング・スタジオの定番ケーブルとなったスイス・メイドのVOVOX ケーブル。日本でも、日に日に評価を上げており、続々とユーザーが増えています。素材化学をベースにしており、「ノン・シールド」、「単線」、「独自素材の使用」など既存のケーブルとは異なるVOVOX ケーブル。国内外のケーブルに精通し、ケーブル・ソムリエとも言えるHAL STUDIO 三好敏彦氏による評価は? その真価をうかがいます。

 

Interviewインタビュー

VOVOX sonorus direct S をお使いになっての第一印象はいかがでしたでしょうか?

三好氏: 非常に素直で透明感のあるサウンドのケーブルだと感じました。録りでも、ミックスでもコンプを深めにかけても音が詰まった感じにならず開放感があり、音像もはっきりしています。歌の細かなニュアンスなどもよくわかりました。


「ノイズ感は少ない。さらに、繊細な表現もきちんと伝えてくれました。」


今回、お使いになったsonorus direct Sにはシールド処理されていません。実際にレコーディング・ミックスしてみてノイズなどが問題になりましたか?


HAL STUDIO所有のNeumann U47 真空管マイクでチェック

三好氏: 事前にシールドがないということを聞いた時には、ノイズのこと等で多少の不安を抱いたのは事実なのですが、実際に使用してみると、そんなことは杞憂だったということを瞬時に気づかされました。スタジオで試聴した限りでは、マイクに使用した場合でも、ミックス時のモニターのラインに使用した場合でも、ノイズの問題はまったくありませんでした。特に、マイクケーブルとして使用した場合には、比較試聴した一般的な(シールドされた)ケーブルと比べても、むしろノイズ感は少ないとさえ言えます。さらに、歪み感や飽和感も抑えられているようで、繊細な表現もきちんと伝えてくれました。

どのような用途にお使いになられましたか?

三好氏: 男性ボーカルのレコーディングに真空管マイクのマイクケーブルとしての使用とPro Tools内部ミックス、I/Oのアウトとモニターの接続用です。


「ミックスのモニターに使用した際には微妙なパンニング等が判断しやすくなり、作業時間の短縮にも繋がりました。」


音質についてに率直なご意見をいただけますか?
また、どのようなアプリケーションに向いていると思われますか?

三好氏: 基本、ナチュラルな音質でありながら、中高域が明瞭でスピード感、密度感のあるクリアーなサウンドで帯域バランスは良いです。低域はローエンドまでしっかり出ていて、ベースはしっかりと沈み込み、キックも迫力が出ますが、中低域の不要な溜まり感やダブつきがないのも好印象でした。高域高域はチリついたりギラギラする感じはなく、自然に伸びており、嫌みがありません。解像度が高く、S/Nにも優れており、位相感なども整っている印象です。

空間表現力

三好氏: 空間表現力も優秀です。各音の定位感が安定していて、位相も良いので、ミックスのモニターに使用した際には微妙なパンニング等が判断しやすくなり、作業時間の短縮にも繋がりました。

おすすめのアプリケーションは?

三好氏: ビンテージ風の厚みや中高域でのピーク感、中低域や中域の張り出し感は無いので、それを求める方には合わないかも?です。それ以外では歌でも楽器でもソースを選ばず、余計なクセづけをすることなく、素直に原音の良さを引き出してくれるので、録音時にも安心して使えます。

音質以外でお気づきの点はありますか?

三好氏: 本製品では音質向上を図るために単線が使用されていますが、単線だと柔軟性に難があるものが多く、音質が気に入っても、ケーブルの取り回しに苦労して使いにくいという場合があるのですが、本製品は、皮膜等に工夫*があり、取り回しが良く、実際に使用するにあたっては、この使い勝手の良さはポイントが高いです。さらに機能性だけではなく、よく見ると複雑に皮膜が編み込まれていて、高級感のあるデザインも気に入りました。

*独自の皮膜についてはVOVOX 創業開発者 Jürg Vogtインタビューをご参照ください。


「高価なケーブルと聴き比べても、音の明瞭度やノイズ感の少なさ等で本製品の方が優れているケースさえありました。」


最後にコスト・パフォーマンス、三好さんの満足度についてお聞かせください。

三好氏: 同じ環境で、一般的なケーブルから本製品へと換えた場合には、音の明瞭度が上がることがハッキリと感じられ、本製品よりも高価なケーブル数種類と聞き比べても、音の明瞭度やノイズ感の少なさ等では本製品の方が優れているケースさえありました。コストパフォーマンスはかなり高く、十分に満足しています。ケーブルに重要性を感じていない方には決して安いとは言えないかもしれませんが、クリエイターやエンジニアで、ケーブルを試行錯誤されている方も多いと思います。もう少しヌケよく録音したいという方や、ミックスするとどうしてもごちゃついて、レンジ感が狭くなってしまうという方は、試してみる価値があるケーブルです。

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Profileプロフィール

三好 敏彦 氏 (HAL STUDIO)

エンジニア

ホーム・グランドであるHAL STUDIOを中心に、DJ KRUSH、スパノヴァからケミストリー、中島美嘉、平原綾香まで幅広い音楽を手掛けつつ、確固たる独自の世界観を持つエンジニア。もとはギタリストで、その後、アレンジャー&コンポーザーを本職としていたが、当時から音作りが好きで、STUDER A-80アナログ・マルチレコーダーやAMEKの卓などを所有。次第にその音作りの腕が評価されるようになり、現在のエンジニアとしての活動にいたる。