What's SR20 ? 鈴木Daichi秀行 インタビュー

Overview概要

2015年初頭、私たちはEarthworksにある一つの依頼を出した。それは、SR20のレッドバージョンを製作してほしいという内容だった。レッドバージョンの製作は難航とはいわないまでも、カラーリングのチェックやEarthworksの生産工場などとの兼ね合いで、当初私たちが思った以上の時間がかかってしまったが、満足のいく完成度に仕上がったのではないかと自負している。
 
レッドバージョンを企画したときに頭に浮かんだのは、赤色をこよなく愛するアレンジャー/プロデューサーであり、自身の城ともいえるスタジオのあらゆるところにこだわりの「赤」を配置している鈴木Daichi秀行氏のことだった。ぜひともあのスタジオに、私たち自慢の「赤いSR20」を導入していただきたい。そんな私たちの思いを受け止めてくださった鈴木Daichi秀行氏。これまでもEarthworksのマイクをいくつか導入してくださっているご本人に、SR20の印象を伺った。

Interviewインタビュー

Earthworksはアコースティック楽器にベストチョイスのマイク

- Daichiさんは数々のビンテージマイクから近年のハイエンドマイクまで幅広く所有されていて、かつ日々の制作に実戦投入をされています。Earthworksのマイクも複数所有されているかと思いますが、まずはEarthworksのマイクについてどのような印象をお持ちですか?
 
僕が所有しているのはオムニ(無指向)のQTC40QTC50で、それぞれマッチドペアで購入しましたが、他社のマイクと一番違うのはレンジが広いこと。そして、空気感も一緒に集音できるということですね。部屋の鳴りを含めて「ひとつの音」として録るときにはEarthworksのマイクを選ぶようにしています。特にレンジ感に関してEarthworksはダントツで違いますね。下から上までの帯域の広さはトップレベルだと思います。
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- 帯域レンジの広さはEarthworksの最大の特徴のひとつですが、反対に「広すぎて録りには使いづらい」と言われることもあります。Daichiさんはその点いかがですか?
 
広くとってある分には後からカットするなどで狭く仕上げることもできるし、特に使いづらいと思ったことはないですね。今は96kHz以上のハイレゾリリースなどの機会も増えてきているので、こういったマイクの必要性も増してきていますからね。
 
- 特にEarthworksのマイクを使用されているシーンはどのようなところですか?
 
生楽器のレコーディングに関してEarthworksのマイクはベストです。QTC40やQTC50を使ってドラム、アコースティックギター、バイオリンなどを録ってきましたが、どれも満足のいく音に録れたなと思っています。特定の帯域にピークがあるようなキャラ付けがないので、生楽器がもつ最高の音をそのまま録れるなという印象をもっています。ドラムのトップにQTCシリーズをペアでセッティングしたとき、「あとはもうキックだけ(計3本のマイクだけ)でいいじゃん」と思うほどの音でした。
 
- 実際の作品でドラムを3本のマイクだけで録ったものをリリースされたことはありますか?
 
ポップスやバンドものなど歌もの場合には他に音を重ねたり、もうちょっとスネアだけほしい、と言われるようなケースもあるのでまだリリースに至ったものはありませんが、アコースティック編成のものだったらレコーディングの段階で「ああ、これでもう十分いいよね」と話したりすることはあります。目の前で鳴っている音をそのまま集音している感覚ですよね。その感覚がほかのマイクとは全然別なんです。
 
- Earthworksのマイクは形状が非常に独特で、特に図太い低域やふくよかな中低域が録れるというイメージがあまりないようです。この点、実際に使用されているDaichiさんとしてはいかがですか?
 
(笑)形状からするとそういうイメージを持つ気持ちもわかります。だけど十分なほど低域もフラットに伸びているし、上の伸びも綺麗です。僕の場合は近接効果なども考慮して、ちょっと楽器本体から離したところで部屋の鳴り全体を録ることが多いため超低域までのカバーが必要な使い方はまだしていませんが、でも録ろうと思えば録れてしまうくらいのポテンシャルはありますね。
 
- Daichiさんは数々のビンテージマイクから、近代のハイエンドマイクまでを幅広く所有されていますよね。いずれも素晴らしいマイクであるとともに、多くのマイクがワイドレンジ、音楽的な特性ということをアピールしていると思います。これとEarthworksマイクはどう違うのでしょうか?
 
確かに素晴らしいマイクをいくつか所有していますが、特にビンテージマイクに関して言えば中域の色気や中域のフォーカスが最高で、ボーカルをはじめとして曲の主役となるものが一番美しく録れるような特性になっているなと感じます。そういう意味では、超低域から超高域までを捉えるワイドレンジ、という意味とは違うように思いますね。だから、市場にあるこういったマイクとEarthworksのマイクを同列で語るのは違いますね。
 
僕の場合はオン(近い)で録るものは今まで通り所有している別のマイクも使いますが、オフ(離して)でセッティングして空間まで全て撮りたいときには率先してQTCシリーズを使います。もちろん組み合わせて使うことも大好きです。
 
- 周波数特性以外に、Earthworksのマイクに感じる他のマイクとの違いはありますか?
 
あります。特にドラムで使ったときに顕著な違いがありますね。ドラムのトップマイクを例にとると、一般的な定番のコンデンサーマイクは、ドラムキットから話す距離に比例して音がどんどん鈍っていきます。具体的にはアタックの一番最初の立ち上がり部分がぼんやりしていくんですね。
 
- 一般的に「トランジェント」と呼ばれる部分ですね
 
そうです。このトランジェントの部分のスピード感までも捉えることができるのは、Earthworksマイクが最も優れている部分だと思います。ある程度距離をもってマイキングしても、打点までがしっかりわかる感じがします。他のマイクのような鈍った感じがないので、オンマイクなどを追加してアタック部分を補強する必要がないなと思えるわけですね。

今まで2本のマイクを使っていたアコギ録音が、1本でもよくなった

- 今回レッドバージョンのSR20を制作するにあたって、Daichiさんに先行して使っていただきたかったのが理由がありまして、それは「赤だから」ということなんですね。
 
(笑)はい、ありがとうございます。
 
- それからもうひとつ、DaichiさんはEarthworksのQTCシリーズを愛用してくださっていているので、QTCシリーズのオムニ(無指向)性と、カーディオイド(単一)性に関しても印象をお聞きしたかったことなんです。さっそくSR20レッドバージョンを使って下さったとのことですが、印象はいかがでしたか?
 
SR20レッドバージョンを使ってみて真っ先に思ったのは、やっぱりレンジの広さはさすがだなということですね。あとはカーディオイド(単一指向)なので、QTCシリーズよりも音にガッツがあって、積極的に楽器に近づけてセッティングしたくなりますね。レンジが広いのにガッツを出せる、あるようでなかったマイクだなと思いました。
 
- どの楽器で試されましたか?
 
アコースティックギターですね。
 
- 率直な第一印象を教えてください。
 
今までアコースティックギターを他のマイクで録っていたときには、「コンデンサーマイクで広めのレンジ」を狙ったものと、「ダイナミックマイクでガッツの部分」を狙ったもの、2種類を混ぜてレコーディングしていたのですが、SR20はその両方が1本でまかなえてしまいましたね。
 
- 今まで2本使っていたアコギのレコーディングが1本でまかなえてしまった、そこをもう少し詳しく教えてください。
 
2本のマイクを使うことで音作りの幅は圧倒的に広がるのですが、2本以上のマイクを使うとどうしても位相の問題が付いて回ります。できれば1本で録れることが理想ではあるんですね。ところがマイクによって得意・不得意があったりする。それなのにSR20はガッツもありつつ、レンジが広くカバーされていて印象が良かったですね。
 
- あえてお聞きしますが、「気に入らなかったポイント」はありますか?
 
(笑)サウンドとしては満足だしマイナスなポイントもないですが、強いて言うなら演奏したものが誇張もされず録音されるので、下手な演奏は下手だとわかってしまうことでしょうか。どんな演奏をしてもなんとなく同じような音に録れちゃうマイクもあったりしますが、Earthworksのマイクにはそれがない。気に入らなかったポイントとはちょっと違いますけどね。
 
他のマイクとの違いはなんといってもスピード感・立ち上がりの速さなのかなと思います。これは僕が試してきた様々なマイクを比較しても圧倒的に違いますね。ある程度距離を離して設置しても音がぼやけない。
 
- アコースティックギター以外には試されましたか?
 
まだ試していないのですが、ボーカルとかには合いそうだなという印象があったので、次にでも試したいですね。バイオリンとかの管弦楽器にも合いそうですね。
 
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- 今回はレッドバージョンということなので、Daichiさんがお好きなカラーであるとも思います。本体カラーはいかがですか?
 
色味、いいと思います。赤が好きなので、これだけでもテンションが上がりますね。楽器もそうですが、気分が盛り上がるものというのは大切ですよね。マイクや機材にももっとカラーバリエーションがあったら面白いなと思ったいい例ですね。
 
- 最後に、どういった方におすすめのマイクですか?
 
SR20はボーカルであれ、アコギであれ、ドラムであれ、なんにでも使えるマイクだと思ったので、自宅レコーディング派の方は本当におすすめの1本ですね。クリエイター、エンジニアの方でもいいと思います。市販のほとんどのマイクが同じような方向を向いて開発されている中、Earthworksだけは非常に独自路線で、他社にないキャラクターをもっているので、キャラクター違いの2本目としても持っておきたい1本ですね。今までのマイクでできなかった色々なことができるようになるので、僕自身も実験を重ねてみたいですね。

Profileプロフィール

d_suzuki_img_prf鈴木Daichi秀行

バンドConeyIslandJellyFishのメンバーとしてデビュー。近年はサウンドプロデューサーとしてバンドからシンガーソングライター、アイドルまで得意な幅広い音楽性を生かし活動する傍ら新たな才能を求め新人発掘、育成などにも力を入れている。

SR20 Red日本限定スペシャル・エディション!

20151005_earthworks_sr20red_540製品情報

  • 日本限定 30本のみのスペシャル・エディション
  • SR69として発売されていた当時のシャイニー・レッド・フィニッシュを復刻
  • 単一指向性
  • 優れた指向性特性によりスポットライティングのない均一な収音が可能
  • ウオームかつ低域がもたつかないバランスの良いサウンド
  • 独自の特許取得済デザインによる均質な指向特性と高いフィードバック耐性
  • ウインド・スクリーンを外してピアノ、ギター、ドラム、管楽器などの楽器用マイクとして使用可能
  • 繊細な表現まで正確に収音
  • 取り外し可能なポップノイズ防止用ウインド・スクリーン付属
  • オリジナル・モデルよりもSN比が約 7dB 向上
  • 耐入力 145dB SPL
  • ライブ、レコーディングの幅広い使用環境で素晴らしいパフォーマンス

お求めは全国の楽器店、またはMIオンラインストアにて。** 限定生産製品のため、完売次第販売終了となります。

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