Media Integration, Inc. Staff Blog

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06 Dec 11

だまされた!と感じてしまうムービー。

スタッフHです。

今日は新しい製品のご紹介ではなく以前からある商品の動画の紹介なんですが、久々に見て「完成度が高いなぁ」と感じたのでポストしておきます。まずはこのムービーをご覧ください。開始から12秒で「えええ??」というオチが始まります。

このムービーで使用されているのは実際のトランペットではなく、ソフトウェア音源のSampleModeling社、The Trumpet。しれっとトランペットを吹いているフリをする彼に何かしらの感情を抱かずにはいられません。同社はトランペットの他に、サックス(バリトン、テナー、アルト)とトロンボーン音源を発売しており、そのリアルさ、楽器っぽさは同種の製品の中でも群を抜いています。

社名の通り、単にサンプルを再生するだけの音源ではなく、物理モデリングとのハイブリッド音源。下にチュートリアルムービーを貼付けておきます。いかに楽器くさいソフトウェアなのか、お分かりいただけると思いますよ。

SampleModeling社製品詳細ページ

22 Sep 11

リアルなギタートラックを鍵盤で!

スタッフHです。

本日公開いたしましたA|A|Sのエレクトリックギター音源、スペシャルプロモ。A|A|S社の完全協力のもと、日本だけの超絶特価にてお届けしております。

私はかつて、「ソフトウェアでメタルはできる?」というポストでまさにこのStrum Electricを使ってメタルをしてみた事がありました。そのときのムービーがこちら。

これは超個人的な意見ですが、Strum Electricってギターをオーディオインターフェイスに直で接続したようなサウンド(つまりDI通したサウンド)は一級品だと思うのですが、内蔵のエフェクト(…というか、アンプモデリング部分)は…あんまり…イケてないんですよね…。

近年ではほとんどのDAWに標準でアンプシミュレータプラグインが付属してますので、これらを併用していただくとイイかもしれません(いや、あくまで私見ですけどね!)

という事で私はIK MultimediaのAmpliTube 3を使用いたしました。

本日はムービーまではご用意できなかったのですが、せめてサウンドだけでもと言う事で。ギターならではの大事なテクニックの一つ、アルペジオはどうかを試してみたのです。

ドラムとベーストラックはそれぞれ別で作成し、それ以外のギターサウンドはA|A|S Strum Electricを使用。Strum ElectricのサウンドをIK Multimedia AmpliTube 3に通し、いろんなアンプ、ストンプボックス、マイキングでサウンドを作りました。

Audio clip: Adobe Flash Player (version 9 or above) is required to play this audio clip. Download the latest version here. You also need to have JavaScript enabled in your browser.

いかがですか?Fender系のアンプを2台スタックして、1台にはモジュレーション系のエフェクトを多めに、1台には壁を作るようなドライブサウンドに仕上げています。

ギターならではのボイシング、各弦の共鳴、繋がり方、ニュアンス。なかなかいい感じに仕上がってませんか?

Strum Electricは、鍵盤の左手でコードを抑え、右手はギタリストの右手と同じような振る舞いで使用します。アルペジオの時は鍵盤を順番に弾きますし、ストロークの時はギターを弾いているときの気分になって、鍵盤を叩いてみてください。各鍵盤はこんな風に役割分担されています。

Strum Electricをみなさんお気に入りのアンプシミュレータを組み合わせて使っていただけると、最高のギタートーンが得られるでしょう。

プロモーションは10/3まで。鍵盤でリアルなギターサウンドを作り上げて、色んなアレンジにご活用ください。

A|A|S Strum Electric プロモーション詳細

05 Sep 11

開拓者でありつづけるミュージシャン、ハービー・ハンコックが使うツール

スタッフHです。

前回ポストのエリック・パーシングさんのインタビュー、楽しんでいただけましたか?非常にたくさんの方にお読み頂いているようで、嬉しい限りです。

エリック・パーシングさんは世界中のサウンドデザイナーからだけではなく、数多くのミュージシャンからも厚い信望を得ており、NAMM SHOWでは彼が立つステージには常に超ビッグミュージシャンがいるんですね。一般の人に混じって。そういったビッグミュージシャンにとっては、エリックさんが開発するインストゥルメントが楽しみで仕方ないようです。

本日ご紹介するのは、そんなビッグミュージシャンの一人。常に進化し続け、多くのファン、フォロワーのいるハービー・ハンコック氏。「ジャンルを超えた活動」とは、彼のためにあるような言葉ではないでしょうか。

ハービー・ハンコック氏は古くからのSpectrasonics製品のユーザー。以下は、Spectrasonicsウェブサイトで公開されているインタビューを翻訳したものです。

第一線のミュージシャンは、どのようにインストゥルメントを使うのか。非常に興味があります。

案外私たちと変わらない使い方をしていたりしたら…もっと精進しないといけませんね。では、レッツゴー。


近年のミュージックシーンを象徴する、ハービー・ハンコック。
彼は音楽の限界やジャンルなどという枠組を超えて、常に名声を保ち続けているアーティストである。


簡単に説明するならば、アコースティックやエレクトロニックジャズやR&Bと、ジャンルを超えて多大な影響を与えた数少ない人物だ。

また彼は他者に先駆け、ソフトウェアシンセなどの最新技術やコラボレーションに取り組んできた。私たちSpectrasonics社一同は、彼が長年にわたるSpectrasonicsのユーザーであることを、大変嬉しくかつ誇りに思う。


Discovering Spectrasonics

ハービーがOmnisphereを始めて触れた時、彼はこう感想を述べてくれた。

「何時間かけてでもいじっていたいほどのサウンドだ。時間を忘れるほど、のめり込んだよ。その楽しさを誰かと共有しようと思って、マーカス・ミラーに来てもらって、事前に温めておいたアイデアをジャムしたよ。あの夜は本当に楽しかった!」

「初めてStylus RMXを使った時のことも覚えているよ。あのグルーブにはただただ、感心させられた。Chaosやミックス等の中身の部分に慣れてさえしまえば、本当にできることが多いんだ。他にも、特にTime Designerとの連携など素晴らしい機能をたくさん積んでるしね」

サンプル・ライブラリなど、Spectrasonicsの旧製品も彼のアレンジでフィーチャーされている。

Vocal Planetなんかもよく使ってるよ。様々な文化圏の歌い手を自分のものにできるからね。数年前だけど、サラウンドのライブでVocal Planetを使った。現代的なバックグラウンド・ボーカル、ジャズのスキャット、トゥバの歌い手、ヒマラヤの女性ボーカル、こうしたサンプルをゴスペル・サウンドとのハーモニーを意識して使ってみたんだ」

Imagining the Possibilities

彼が手がけたアルバム、”Possibilities” の制作については、

「スティービー・ワンダーのカバーで、グルーブにStylus RMX、ベースにTrilianを使ったよ。このアルバムのドキュメンタリーの撮影では、Greg Phillinganesと僕がVocal PlanetとStylus RMXを使ってファンキーなグルーブを作ったりもしたね。そんな素晴らしい音楽が生まれる瞬間が、このプロジェクトのドキュメンタリーにおさめられているよ」

グラミー賞を受賞し、世界的にも大きな影響を及ぼした”Imagine Project”。このアルバムには特にOmnisphereとTrilianが使用されている。

「アルバムのある曲では、マーカス・ミラーがベースを担当している。でもレコーディングの後、彼のベースラインよりいいアイデアが浮かんだから、ベースラインを変えようと思って僕がTrilianを使ってキーボードで演奏したんだ。ちなみに、Trilianのベースサンプルのいくつかは誰の演奏か知ってるかい?

マーカス・ミラー本人だよ! 彼自身の演奏なんだ。意図的に彼の実際の演奏とTrilianの音をミックスしたってことだね。

マーカスが演奏した音と、僕がTrilianを使ってキーボードで演奏する音(笑)、どっちも彼なんだ!たぶん、彼には違いがわかると思うけどね」

Music from the Heart

良い作品をつくろうと、向上心のあるミュージシャンに対して何かアドバイスできることがあるかと尋ねたところ、彼はこう答えてくれた。

「音楽は人間をひとつにする素晴らしいものだ。大事なことは、君の心が大切だと感じる、思うところを表現すること。他人などに流されず、自分の信念を貫き通す勇気を持つことだ。たとえ、自分自身の中に疑念が湧いてしまったとしても、君のハート、信念にしたがって動くことだよ!」

常に未来を見据える彼は、こう続ける。

「近くとりかかる、ソロ・プロジェクトが楽しみだね。KorgのOasysやSpectrasonicsのOmnisphere、Trilian、Stylus RMX、これらの機材で作る音楽は、とてもエキサイティングなものになりそうだよ」

原文リンク:http://www.spectrasonics.net/news/news-content.php?id=60

03 Sep 11

サウンドデザイナーのトップが語る、今までとこれから。

スタッフHです。

世界中にサウンドデザイナーという肩書きを持つ人はたくさんいますが、そういった中でもトップに君臨し続けることは、非常に難しい事です。

しかしながら、その困難に果敢にも挑み続け、他社のサウンドデザイナーからも尊敬される存在となる人物。それが、本日ご紹介するSpectrasonicsの創業者であり、クリエイティブ・ディレイクター、サウンドデザイナーである、エリック・パーシング氏です。

エリック・パーシング氏はかつてRolandに所属し、現在なお名機と呼ばれる数多くのシンセサイザーを生み出してきました。その後、自身のアイデアをより理想的な形で世界に発信するために、Spectrasonicsを設立することになるのです。

そんな生きる伝説、エリック・パーシング氏のこれまでの遍歴と、これからの将来について米国ウェブサイトのKVRにてロングインタビューが公開されました。私たちはKVRスタッフに許可をいただき、本記事を和訳しました。

私たちにとって大事なツールである未来のソフトウェアはどう進化していくのか。音楽制作に携わる全ての人に読んで欲しい、長編インタビュー記事です。

Big thank you, Chris and all KVR staff for letting us post this article!


エリック・パーシング(Spectrasonics)インタビュー

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記事/インタビュー:Chris Halaby(KVR Audio)

およそあらゆる業界は常にチャンピオンを必要としている。個人、会社を問わず、マーケット全体を推進し、他の全ての人々が目指すべきハードルを常に引き上げていく存在を。

Spectrasoncisの創業者でありクリエイティブ・ディレクター、エリック・パーシング(Eric Persing)は、ソフトウェア・プラグイン/サウンド・デザイン業界における、そんなチャンピオンの一人だ。

音楽関連の製品に携わる多くの人々と同じく、エリックのキャリアは、ある楽器店からスタートした。しかし80年代初頭のMIDI誕生から間もなく、当時ローランドUSを率いていたTom Beckmenに見出され、彼はローランドで働き始める。(Tomはその後Opcode Systemsの株式を取得、引退した現在はなんとワイナリーを経営している)

当時の私は知らなかったが、私とエリックとの初めての出会いは、ローランドD-50の購入を通じてだった。彼はこの有名なシンセサイザーを始めとして、数多くのクラシック・シンセサイザーのサウンド・デザインを手がけていたのだ。その後、私の購入した殆どの製品は彼が開発に関わったものばかりだ。

私が最も頼りするインストゥルメントは、Spectrasonicsのフラッグシップ・プラグインOmnisphere、そしてTrilian、Stylus RMXだ。もしあなたがこれらを試したことがないとすれば、今まであなたは本当に重大なものを見逃してしまっているのだ、と言っておこう。


KVR:初めに、ローランドで働くことになった経緯を聞かせてもらえるかな。

1982年のこと、カリフォルニア州オレンジ郡にあった、当時としては相当普通じゃない、Goodman Musicという楽器店で働き始めた。この店のすごかったのは、世界に存在するあらゆるキーボード、シンセ、オルガン、ピアノを全て揃える、という野望を持っていたことだ!

でもおかしなことに、店舗は巨大で高速道路からでも見えるのに、たどり着くのにものすごく骨が折れたんだ。そんなわけで、残念なことに客はほとんどやってこなかった!

若かりし頃のエリック・パーシング

客が来なければ、することもない。なので僕らはすべての時間を使って、店中の機材で実験を繰り返した。MIDIが登場したばかりのすごくエキサイティングな時代だったから、店のあらゆるものをMIDIで繋ごうとしたんだ。でも当時はこうしたことさえ非常に複雑でね、その頃のMIDIキーボードの多くは、1チャンネルのMIDIしか送信できなかったんだ。にも関わらず、受信側は16チャンネル全てをオムニ・モードで受けてしまう。でもなんとか方法を見つけ出して、全機材が正しく動くように設定したんだよ。

店にいる間は昼夜を問わず、まるで開拓者みたいな気分だったな。全部の機材がMIDI接続され、巨大なPAにつながっている。客がやってくると、僕らは「ちょっとこっちにきてみなよ」と声をかけて、再生ボタンを押す、そうすると店中にあるシンセが唸りを上げて鳴り出すんだ。彼は「なんだこれ!」と驚くわけだ。

ちょうどその頃、Roland JX3Pが発売されて、収録されたファクトリー・パッチが、その……酷かったんだ…。funny catだのspace boyだの、80年代初めにありがちな、冴えないサウンド。そこで僕は独自にプリセットを作り始めた。JX3Pは2オシレータを搭載していたけれど、Prophet 5よりもはるかに安かったんだ。Prophet 5のサウンドを再現して、それを元にめちゃくちゃ凝ったパッチを32個作った。で、当時この店でJX3Pを買ってくれた人には、追加の100ドルで、この32パッチを収録したデータ・カセットも提供していたんだ (編集注:ちなみに現在Omnisphereには8000ものパッチが収録されている)。ほかにもいくつか裏技を見つけてね、例えばあるボタンの組み合わせでシーケンサーのメモリを2倍にできる、とか。インターネットのある今では考えられないけど、当時は20ドルでこうした裏技も教えていたんだよ(笑)。


ローランドS-50の発表、1986年

ローランドS-50の発表、1986年

あるとき、ローランドのセールス・トレーニング担当者が「これは、いったいどうやったんだい?」と尋ねてきて、結局彼にも仕組みを教えることになった!するとTom Beckman(ローランドUSの創業者)がこの事件を聞きつけたみたいで、「オレンジ郡の店で何が起きてるんだ?」と。で、彼が来店することになって、それはもう盛大なデモをやったんだ、さっき言ったJX3Pパッチも使ってね。最終的に、1984年のNAMMショウでデモを担当しないか、と誘われて…もうぶっ飛んだね!その年は新製品が山のように発表されたんだ。初のSMPTE-MIDIデバイスSBX-80、同じく初のMIDIドラムパッドOctapad、MIDIコントローラーにキーボード、モジュール、あとはSuper Jupiterとか。NAMMでの評判が良かったこともあって、ローランドのプロダクト・スペシャリスト兼ローランド・ジャパンのチーフ・サウンドデザイナー/コンサルタントとして働くことになったんだ。


KVR:今でもミスターK(梯 郁太郎氏、ローランド創業者)との親交はあるのかな?

梯 郁太郎氏とエリック・パーシング

梯 郁太郎氏とエリック・パーシング

もちろん、折にふれて会うことがあるよ。彼は間違いなく僕のヒーローで、素晴らしい人物だ。”シンセサイザー界のウォルト・ディズニー”といって過言ではない。彼も80歳を超えているから、ぜひまた会う機会を得たいと思っているよ。


KVR:ではSpectrasonicsの歴史について話してもらえるかな。どうして自身で会社を始めようと思ったの?

90年代の初頭、僕はロスアンゼルスでセッション・ミュージシャン/プロデューサー/アレンジャーとしてすごく多忙な日々を送っていた。ローランド・ジャパンでもサンプル・ライブラリのレコーディングや開発を手がけていたしね。どちらの世界でも起こり始めた、ドラマチックな変革が明確になってきた頃だ。

音楽業界では、一緒に仕事をするミュージシャンやプロデューサーが、大勢の人間を一箇所に集めて音楽を作るかわりに、一人で作業をするようになっていった。日本では、ローランドの哲学が「バーチャル」なものにそれほど積極的ではないと、僕は気づき始めたんだ。彼らにとってサウンドはあくまでハードウェアに付属するものだった。ハードウェアのために工場を稼働させなくてはいけない、でもバーチャル・ソフトウェアを作るのに工場は必要なかった。
同じ頃、まだ小さかった「インターネット」なるものについて耳にするようになってね…(笑)

KVR:そう、あれはちょっとどころじゃない大変革だった!

こうした世界が互いにぶつかりあう中で、当時の僕はJV-1080の開発に携わっていたんだ。でも音楽プロデューサーにとって、僕を一日雇って何個かのカスタム・サウンドを作るより、僕が作った500以上のパッチを収録するローランド・シンセサイザーを買うほうが、格安というわけだ。自分自身を失業に追い込もうとしていることに気付かされたんだよ!

KVR:なんてこった!

と同時に、その頃「Bass Legends」サウンドライブラリのアイデアを温めていた。スタジオでの仕事を通じて、マーカス・ミラーや、エイブラハム・ラボリエル、ジョン・パチトゥッチといったベーシスト達と親交があったからね。

Spectrasonics初の製品となった、Bass Legends

でもこのアイデアを実現するには、ローランドがベストな場所じゃないことは分かっていた。どうしていいか、くじけそうになった時、妻のLoreyが「ねえ、自分たちでやればいいわよ!」と背中を押してくれたんだ。こうしてSpectrasonicsは、ひっそりと始まったんだよ。

KVR:当時のSpectrasonicsはハードウェア・サンプラー用のサウンドを専門に制作していたよね。

そう。ハンス・ジマーを始めとする、本当に素晴らしいミュージシャンたちと仕事をする栄誉に恵まれた。おかげで、事実キッチンに引いた5回線の電話しかない小さな自営業にも関わらず、創立当初から、ハイ・プロファイルなプロ仕様のイメージをアピールすることができた。始まりは小さなアイデアに過ぎなかったものが、ここまで大きく成長してきたんだ。

KVR:Spectrasonicsは、最も早くからスケールの大きなバーチャル・インストゥルメントを発売したメーカーだ。サウンド制作からフルタイムのソフトウェア開発へと、どんな変遷があったのかな。

かなり初期の段階で、数多くあるサンプラーのプラットフォーム全てに対応することは、重荷になるだけでなく、アイデアの実現そのものを制限してしまうことは明らだった。僕らはコンピューターこそが未来だと信じ、その好奇心もあって、ソフトウェア・シンセサイザーの開発に取り組み始めたんだ。

しかし、僕自身ソフトウェア・プログラマーではないし、どうやってバーチャル・インストゥルメントを実現するべきかについて、具体的なアイデアもあまりなかった。Spectrasonics最初のインストゥルメント、Atmosphere、Trilogy、Stylusは、当時フランスでUVIエンジンの開発を行っていた友人からライセンスを受けた技術を使い、リリースされた。こうしたインストゥルメント製品の成功から、ソフトウェア会社とはどうあるべきか、学ぶことが多かったよ。

KVR:現在は全て自社で開発を行っているんだね。

現在のSpectrasonicsチーム

現在のSpectrasonicsチーム

そうだ。最初のインストゥルメント製品群をリリースした後、アイデアを思うとおりに実現し、継続していくには、専門のソフトウェア・チームが必要だということがはっきりしたんだ。Glenn Olander(Crystalシンセサイザー開発者)をソフトウェア・チームのチーフに迎えられたことは、本当に幸運だった。その後のSpectrasonics製品は、すべて自社で開発したテクノロジーに移行した。Stylus RMXに搭載したS.A.G.E、そしてフラッグシップとなるOmnisphereとTrilianを駆動するSTEAMエンジンは、本当に強力なものだ。ここまで本当に大冒険の道のりだったよ!

KVR:Spectrasonicsの開発理念をふたつの言葉で表すとすれば、なんだろう。

“パワフルかつシンプル”。これが全てのデザイン理念におけるガイドラインだ。複雑で強力なツールを、本当に簡単に使える、創作意欲をかきたてるものにしたいんだよ。


KVR:ところで、いわゆる音楽教育を受けたことはあるかい。

もちろん、僕は音楽一家に育ったんだ。父はあらゆる楽器を演奏する。聖歌隊の監督や、スタンフォード大学でも教鞭を取っていたし、交響楽団で演奏もしていた。周りには常に音楽があって、ピアノを教えてくれたのは母だ。といっても、その他全てのことは独学で学んだよ。シンセサイザーについて言えば、70年代にはまだ新しい分野だったから、どのみち自分で勉強する必要があった。Alan Strangeの「Electronic Music: Systems, Techniques, and Controls」を子供の頃に手に入れて、それこそ本にあることは全て学んだ。本物のシンセを買えるようになる、はるか以前のことだよ。

当時、小学校6年だったと思う。サンフランシスコにあったGuitar Centerを訪れたんだ。当時はこの店舗ひとつきりで、しかもまだまだ小さかった。そこにはシンセサイザー専用のクールな部屋があって、Moog Modularが全部揃っていた。Sequential Circuits programmerの初期モデルもあったね。Prophet 5のはるか以前の話。ヘビーな部屋だったなあ。一日中Minimoogを演奏して、どうやってサウンドをオフにするかも分からなかった!

KVR:今のGuitar Centarからは想像もできないね。

(笑)まったく、でも一日中そこで過ごして、僕のDNAは永遠に書き換えられてしまったんだ。初めてシンセサイザーに触れたあの日以来、それ以外のことは考えられなくなってしまったよ。


KVR:よく聞く音楽は何だい、またそうした音楽は製品の開発に何らかの影響及ぼしているだろうか。

我ながら、音楽の趣味はそれこそ種々雑多だね。またそれが色々な意味で役立っている。Spectrasonicsのユーザーは、特に現在、スタイルやサウンド、分野も様々だからね。アコースティック、エレクトリック、エレクトロニック、とにかく幅広いスタイルに興味を持って好きになること、これが大きな助けになっている。

そうだな、ヴァンゲリスの影響は大きいね、あとクラフトワークやELP、ヤン・ハマー、イエス、ジェネシス、トーマス・ドルビー…みんなにも馴染み深いアーティストだね。あと当時でもそれほど有名ではなかったけど、とても重要なエレクトロニック・ミュージックの先人たち、ロジャー・パウウェルのソロ作品とか。最近では、音響が先鋭的で、かつ音楽的に破綻していないオリジナルなサウンドだったらどんなものでも好きだよ。アモン・トビン、スクエア・プッシャー、エイフェックス・ツイン、他にも現在進行形のエクスペリメンタルなもの。ポップ・ミュージックでは、イモージェン・ヒープのファンなんだ。彼女は素晴らしいね。

KVR:彼女はすごいね。特にFrou FrouでGuy Sigsworthと組んでいた曲とか。ところで、Moogを使った作品に絞ると、長年聞いた中で特に重要だと思う作品はあるかな。

一番最初に思いつくのは、ラリー・ファーストのSynergyが1978年にリリースしたアルバム「Cords」の「Phobos and Deimos Go To Mars」という曲かな。アルバムもすごくいい。

ラリー・ファースト

ラリーの作品、特にさっきの曲で、僕は初めてサンプル&ホールドが炸裂する、リッチなアナログ・サウンドを体験したんだ。でもELPのKarn Evil #9みたいなフィルターじゃない、モジュラー・シンセが火を吹くようにサウンドを発し、全てがランダムだ。OmnisphereのBob Moog Tribute Libraryにラリーが参加してくれたことは、大変な栄誉だった。彼が提供してくれたサウンドは、実際にアルバムで使用されたものだった。マルチトラック・マスターの手になる逸品だ。聞いてすぐに、これは「Games」で使われたサウンドだ!と気づいたくらいだ。

今の人達は知らないかもしれないけど、ラリー・ファーストは、ピーター・ガブリエルの作品にも深く関わっている。「Biko」のバグパイプを初め、数多くの印象深いサウンドを創りだした。バグパイプのサウンドはラリーがModular Moogで作ったものなんだ、本物じゃないんだよ!

あとはウェンディ・カルロス、音響的なボキャブラリーを推し広げたという意味で、彼女の貢献は計り知れない。

KVR:Spectrasonicsは、ユーザーと製品のインタラクティブな関わりをとても重視している。良くも悪くも、テクノロジーの変遷がユーザーの体験に与えてきた影響を、どう見ているかな。

ポジティブに考えれば、あらゆるものへのアクセスが容易になり、サイズも格段に小さくなって、どこにでも持ち運べるようになった。上手に使えば、思いついたことを何でも実現できる。素晴らしいクオリティと質感を備えたサウンドを、信じられないほど安価に手にすることができる、その進化にめまいがするほどだ。

障害となっていた壁は全て崩れ、無いも同然の状態だ。でもそれが別の興味深い問題として現れてくる。何もかもが努力を必要としないから、簡単に創作のモチベーションを失ってしまうんだ。ハードウェアシンセと巨大でコストの掛かるスタジオが全盛だった時代と違って、何かのiPadアプリを、いつの日か手にいれてやろう、なんて夢見る人はいない。すぐさまアプリを手に入れ、数日使ってみる、飽きたらまた別のものを試す。こうした使い捨ての問題が、誰も予想しえなかった音楽テクノロジーにおけるダークサイドだ。

Apple カメラ・コネクション・キット for iPad / iPhone

Apple カメラ・コネクション・キット for iPad / iPhone

でも、たとえばiPadにMIDIを繋ごうとする人はまだ少ない。決して難しいことじゃないのに。今MIDIを試しているのは、実際のところ開発者がほとんどだ。エンドユーザーではあまり見かけない。そして見せてみると「え、そんなことができるのか?」という反応が返ってくる。

アップルが出しているカメラコネクション・キットとUSBケーブルで繋げることができる。もし「えー、僕のキーボードにはUSBなんて付いてないよ」なんて場合は、USB-MIDIの変換ケーブルを使えば、大した問題ではないんだ。どこの楽器屋でも売ってる(笑)。

こうした状況も、新しいデバイス、AlesisのIO Dockなどによって変わってくるかもしれないね。実は先日買ったばかりだけど。間違いなく今までの流れを変えるものだし、iPadをポータブル・マルチトラックレコーダー/サウンドモジュール/MIDIデバイスにすることができる。iPadの可能性を見過ごしてきた人にとって、大きな架け橋になると思う。

つまり、そう。間違いなく、良くも悪くもあらゆることが大きく変わった。

KVR:この変化はソフトウェア業界にどういった影響をおよぼすだろう。今はまるで新しい土地の奪い合いだ。NIみたいな大会社から、聞いたこともないソフトカンパニーまで。新しくて奇抜なものなら、ユーザーはとにかく買って試そうという…

いずれ落ち着いていくとは思うよ。既に飽和状態に達しているし、それはあっという間に起こったから。


KVR:今後(iOS向けのなどの)アプリ価格は、他の製品が参入することで上がっていくと思うかい?Omni-TRの開発にどれくらいかかったかは知らないけれど、少なくとも2〜3週間でできるものではないよね。

その年のかなりの期間を費やしている、でもOmni-TRについて、これでお金を稼ごうとは僕らは考えていないんだ。Omnisphereがもっと欲しくなるようなアプリだからね。Omni-TRは、Omnisphereをよりフィジカルに使うための可能性を開いたアプリだ。iPadのタッチ・リモート(TR)コンセプトに、僕らは相当興奮したんだ。間違いなく、今後もこのコンセプトを推し進めるつもりだよ。iPad/タブレットの世界がどうなるかは未知だけど、従来スタイルのコンピューターの方が常によりパワフルである、という事実は変わらないと思うんだ。それぞれの長所を活かすことで、どちらも賞賛に値するものになる。

Omni TR(タッチ・リモート)for iPad

Omni TR(タッチ・リモート)for iPad

僕が常に興味を持っているのは、新しいコンピューターを使うことで生まれる、音楽・音響の新たな可能性、その可能性がどんな風に僕らの開発環境を次のレベルへ引き上げてくれるか、といったことだ。マスマーケット向けのこじんまりした「ほかより使えない」製品を作ることではない。すでに大勢の人がそうしているし、中には素晴らしいものもあるけれど、多くのそうした製品は短命に終わってしまう。iPadの持つ根源的なアドバンテージは、素晴らしいインタラクティブ性を備えたタッチ・ユーザーインターフェースにあると思う。これでホスト・コンピューターが必要なパワーを提供できれば、両者のベストな特性を利用できるんだ。

業界的な話をすれば、AppleがGarageBand for iPadでやったことは本当にすごい…でも4.99ドルという価格は、あまりにクレイジーだよ。盛り込まれたアイデアはどれも素晴らしいし、ミュージシャンとしてはとても気に入っている。でもAppleがあまりに低価格に設定したことで、ある意味で多くの開発者のイノベーションを潰してしまっているんだ。20ドルじゃダメだったのかな?ときとして、あまりにもマス向けのやり方は、個人の開発者たちを抑圧してしまう。あんなにパワフルなDAWソフトがたったの5ドルだなんて、どうやって太刀打ちしたらいい?

KVR:全く同感だ、おかしいよね。あれを見て誰が次にiPadレコーディング・アプリを出そうと思うだろう。

彼らは「ハードルを上げるもの」といって発表したし、プログラミング的な観点からすると、まったくそのとおりだ。でも逆に価格のハードルを下げてしまった。ソフトウェアをまるで何でもないように扱うことは健全とは思えないし、これがどういう方向に向かうかは分からない。はっきりしているのは、iPadやそれに類するものは、今後スタジオでも大きな役割を担うだろうということだ。優れたインターフェースと持ち運びのしやすさがもたらす利点は大きい。

Studio Logic

Studio Logic

音楽関連の製品でも、iPadを統合する動きが出てきているね。StudioLogicのMIDIコントローラーは、ディスプレイを省くことで価格を抑えた。もしディスプレイが欲しければ簡単だ、iPadをスライド固定すれば、全部のコントローラーがそこに表示される。iPadが楽器の一部、ディスプレイに取って代わる。

こうした場合、開発者は直接iPadアプリを販売して利益を得る必要がない。でも製品への付加価値はとてつもなく大きい。製品の規模が大きくなるほど、こうした傾向が顕著になってくるはずだ。

KVR:今後バーチャル・インストゥルメントのデザインと「タッチ操作」はどう関わっていくだろう。

最近、少なくない人たちから、もう音楽を作らなくなったので持っているインストゥルメント製品を処分したい、という話を聞くんだ。僕にしてみれば「待って、なんだって?もう音楽を作らないってどういうことだい?」だよ。しばらく音楽を作ってきて、ある時点から作らなくなる…これはミュージック・ソフトウェア業界全体にとって、とても危険な兆候だよ。人々は所有するインストゥルメントと、心のつながりを持てないでいる、ということだからね。

iPadの優れた点の一つが、インストゥルメントに直接「触れる」ということだ。そうするとことで何かが起こって、本物の楽器のように、より強いつながりが生まれてくるんだ。マウスでこの感覚を得ることは難しいよね。

音楽制作はかつてないほど簡単になったけれど、ときに選択肢が多すぎると、1万個もチャンネルがあると、全部がどうでもいいと感じてしまう。僕らがごく少数のパワフルな製品に集中するのは、そういった理由もあるからなんだ

KVR:DX7の音色数は32パッチ、カートリッジで拡張しても64パッチだ。選択肢の数に圧倒されて、人々の興味が離れてしまうこともありうるということだね。

DX7のROMカートリッジ、32パッチを収録!

まさに。Omnisphereにも同じことが起こった。音色ライブラリがあまりに巨大すぎる*。パッチの数に圧倒されることなく素早く作業ができるよう、ブラウザ機能の改良は常に課題になっている。

*訳者注: Omnisphereのプリセット・パッチ数は8000を超える

ミュージシャンとしての経験上、あとソフトウェア・プラグインを多用するようなエレクトロニック・ミュージックのプロデューサーたちを見ていて気づいたことだけど、僕たちのような人間がハードウェア・シンセに魅せられてしまうのは、「そのとき限り」の瞬間を体験できるからだ。プリセットを保存できないハンズオンのアナログシンセ、Minimoogがまさにそうだし、例えばプリセットをプログラムできるJupiter 8でさえ、大規模なライブラリに頼ることはできない。Minimoogでは、今やっていることに必要な特定のサウンドを、その場で作ることになる。そこから生まれてくる相互作用は、とても美しいものだ。

こうしたプリセットを持たない楽器を、僕はなるべく大事に取っておくようにしている。その時の気分だったり、ある曲に必要になるサウンドだったり、必要に応じてその場で作っていく。そうすることで驚くほどの充足感を得られるんだ。Moogシンセサイザーを使う人々は、自分自身と楽器に、とてつもなく深いつながりを持っている。

ソフトウェア・シンセとこうした繋がりを持つことはとても難しい。このギャップを埋めるために、僕らは懸命に努力している。そういった意味でiPadは素晴らしいデバイスだ。新しいImposcar2のハードウェアコントローラーも同様にすごくエキサイティングだと思う。

でも、Omnisphereのようなインストゥルメントと繋がりを得るための近道は、ファクトリー・ライブラリーを全部無視して、とにかく触って、一からサウンドを創ってみることだよ!

KVR:ミュージシャンは自分の楽器を愛するべき、ということだね。

そのとおり!そうすれば、僕らが自分たちのインストゥルメントを同じように愛し、成長していくのを見ていたいと願っていることを、わかってもらえると思うんだ。これは単なるビジネスじゃない。500ドルのインストゥルメントは、今のご時世では高価な部類に入るだろう。僕らは最大限の努力を払って、その価値を保っていきたいと思っている。多くの人に、この楽器は価格に見合う素晴らしい価値がある、手に入れたくてたまらない、と感じてもらいたいんだ。趣味で音楽を作る人にとっても、手の届かない価格ではないよね。だから手にしてもらうための理由が少しでも多くなるよう、僕らは必死に頑張る。まあ、今までスタジオの機材一つに何千ドルも費やしてきたプロなら「もちろん!」と手にとってもらえるだろうけどね。


KVR:ボブ・モーグ財団(Bob Moog Foundation)とBob Moog Tribute Libraryについて話してもらえるかい。素晴らしい出来栄えだし、色々な意味で君にとってもすごく重要なライブラリ製品だと思うんだけど。

45名以上もの世界中のアーティスト/サウンドデザイナーからサウンドを提供してもらったからね。この素晴らしいライブラリの制作はすごい勢いで進んだんだ。ライブラリの利益は100%、次世代への教育を目的として、ボブ・モーグ財団に寄付されている。

Bob Moog Library

Bob Moog Library

さっきも話したとおり、子供の頃に初めて弾いたMinimoogは、僕のDNAを完全に組み換えてしまったんだ。冗談抜きに、もしボブ・モーグと彼の創造力がなければ、Spectrrasonicsは存在しなかっただろう。次の世代の人々に、Spectrasonics製品がどうやって生まれてきたかを理解してもらい、何事にもオープンな姿勢をもつ、という彼のスピリットを広めることは、とても重要なことだと思う。ときどき、現在のエレクトロニック・ミュージシャンの多くが、ものすごく細分化され、閉じた世界で活動しているように見えてしまうんだ。これはボブ・ムーグの精神性と相反するものだ。実際、Fairlight(Moogシリーズの競合製品だった、非アナログのサンプリング・シンセ)はボブ・モーグ本人が発表し、コンピューターこそガット弦以来の大発明で、将来ミュージシャンにとって最も重要な楽器になるだろうと予言したんだ。彼は、ミュージシャンは利用できるものを何でも利用すべきと考えていた。ペダル・エフェクトを使う、アンプを使う、ハードウェアもソフトウェアも、そしてプラグインも…使えるものは全て!最も大切なことは、クリエイティブでいること、インスピレーションを持つことだ。ビジョンを実現するためなら、どんなものだろうと使うべきなんだよ。

KVR:私もライブラリを購入させてもらったけど、これはお世辞抜きで本当に素晴らしいね。

Bob Moog Tributeのライブラリがすごく成功して、結果としてボブ・モーグ財団にも驚くほど貢献できたことは、僕らにとっても非常に嬉しいことだ。こうした機会が他のメーカーや開発者を触発して、クリエイティブなやり方で、価値ある運動のための基金を募ってくれればいいと思う。

OMG-1

OMG-1

あと、同時に開催したOMG-1もすごく好評だった、世界中から何百人もの応募がきてね!受賞者の発表は9月15日(2011年、OMG-1カスタムシンセ以外にも、複数の受賞が発表される予定)だから、これもすごく楽しみにしているよ!


KVR:最後の質問だけど、もし無人島に持っていくならどの機材を選ぶ?

1976年製のYAMAHA CS-80だね。素晴らしいシンセサイザーだし、演奏していて、とてもインスピレーションをかきたててくれる。さて、そうすると持ち運びできる発電機も探さなくちゃな…

YAMAHA CS-80

YAMAHA CS-80


彼のヒーローであるボブ・モーグ氏と同じく、エリック・パーシングは、常にクリエイティビティをかきたてる製品を作りたいと語ってくれた。ほとんどのユーザーは、彼が非常に大きなスケールでそれを実現していることに賛同してくれるだろう。ぜひSpectrasonics Omnisphereと拡張音源Bob Moog Tribute Libraryをチェックしてみて欲しい。

当ポストの制作に協力してくれたPaul de Benedictisに謝辞を表する。

原文リンク
Interview with Eric Persing by Chris Halaby for KVR Audio.

—–
(c) KVR Audio Plugin Resources 2000-2011

Courtesy of KVR Audio Plugin Resources

当記事はKVR Audio Plugin Resourcesの許諾により転載しています。


私スタッフH自身もエリックさん、およびSpectrasonicsチームには何度かお会いしたことがあります。みなさん心から音楽と楽器が好きで、情熱をもって製品を生み出している方々ばかりです。

発売から数年で陳腐化してしまう製品は数多くあれど、Spectrasonics製品ほど長年にわたって第一線でありつづけるインストゥルメントが他にあるでしょうか(しかも、機能追加のアップデートのほとんどが「無償」。定期的にアップデート料金があるわけでもありません)。

Spectrasonicsチームは、使ってくださるユーザーのみなさまを大切にします。生涯の相棒として、Spectrasonics製品を選んでいただけると嬉しいです。

Spectrasonics製品は、ただいまSuper TRIOキャンペーンを開催中。期間、数量ともに限定となりますので、お早めに。

→ Spectrasonics Super TRIO プロモーション詳細

02 Sep 11

ダブステップ・ベースサウンドを作るコツ

スタッフHです。

本日はサウンドメイキングのコツムービーを1つご紹介。昨日「トリオ・ザ・セール」プロモーションを公開したSpectrasonicsのOmnisphereを使って、単なるサイン波からダブステップで生きるベースサウンドを創りだすコツが紹介されています。

V1.5で新規追加された機能を用いてのサウンドメイキング。サンプルは一切使っていません。

Spectrasonicsのトリオ・ザ・セールは9/10よりスタート。本数も限定されていますので、お早めに。

創作の秋。Spectrasonics トリオ・ザ・セール詳細

24 Aug 11

究極の「鍵盤楽器」プラグイン。今なら楽器1つをプレゼント。

スタッフHです。

実はひっそりとスタートしていたプロモーションがありまして。只今Modarttの物理モデリングピアノ音源、Pianoteqシリーズのいずれかを購入すると、有償のAdd-On(追加音源)がタダでもらえる、というもの。ところがコレが残りあと一週間、8/31までのプロモーションなんです。

Pianoteqシリーズにはこんなラインナップがあります。

  • Pianoteq Play(演奏を楽しみたい方のための、プリセット専用ピアノ音源)
  • Pianoteq Standard(マイクポジションやハンマーの硬さ、ピアノの大きさなど、数多くのパラメータを調節可能なピアノ音源)
  • Pianoteq Pro(Standard版のパラメータに加え、各鍵盤毎に緻密な調節ができ、専属の調律師が入っているかのような最高の音源)

Pianoteqは物理モデリング方式を採用しており…という件は、本ブログで何度も取り上げてきたので、詳しくは過去ポストを参照していただくとして、利点をおさらいすると、

  1. インストールに必要な容量は数十「メガ」。プリセットのロードに時間が掛かることはなく、一瞬でサウンドが切り替わります。外付けHDDはまったく必要ありません。
  2. サンプル(レコーディング)されたサウンドとは異なり、一からピアノを創り上げていくので、ハンマーの固さ、弦の長さ、共鳴板の響き/鳴り、マイクを置く位置、などなど、全てが自由自在です。

そして、Pianoteqが他のピアノ音源と大きく違う点は、古今東西の「楽器」をモデリングしたアドオンを開発し続けている事。無償のものもあれば、有償のものもあります。

無償のアドオンには、歴史上にのこる(一部は、聖書に記述があるものも!)ピアノの祖先などを中心に提供されています。近年のピアノはどんなピアノ音源にも収録されていますが、このラインナップは物理モデリングでしか成し得なかったサウンドかもしれません。

一方、有償のアドオンは現在のポップス、ロック、ジャズなどに欠かせない楽器がラインナップされています。今回のキャンペーンでは、この有償のアドオンが最低でも1つプレゼントされるというキャンペーンです。Pianoteqのアドオンを全てインストールすると「究極の鍵盤音源」になりますよ!


Clavinet Add-on(クラビネット)

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Clavinet Add-onを2台起動して、LRそれぞれ違う音色で鳴らしてみました。Clavinetを使うときはどうしても数台のClavinetを重ねたくなるのは…仕方ないですよねぇ。エフェクトはいずれも内蔵のものを使用。

このClavinetは、他の音源と比べて実に濃密なサウンドが特長。しかも、物理モデリングの利点をフルに生かしてピックアップ、共振、チューニングを設定できます。しかも!スピーカー付きのモデルをマイクで拾った時にはこのようなマイクセッティングも可能。

ああ、でもやっぱりクラビネットだとこの曲をやらずにはいられないですね。ドラム入りでやってみました。ドラムにはこちらもキャンペーン中のBFD2を使用しています。

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Vibes Add-on(ビブラフォン)

ビブラフォン、鉄琴ですね。これもまた物理モデリングならではのアドバンテージで、マレットの固さから打鍵時のマレットノイズ(ほどよく混ぜると臨場感がでていいです)バーの特性などを調整できるほか、「叩く位置」を変えられるのが特長。ただ叩く位置が変えられるだけなら驚きませんが、普通鉄琴を叩いている時って、一定の位置なんて叩き続けられませんよね?そのため、微量に叩く位置をランダマイズする機能も用意されています。こちらもやっぱり、マイク集音時のマイク位置を自由に設定可能です。

ビブラフォンといえば私はゲイリー・バートンが大好きですが、PianoteqにこのVib Add-onを入れると…あの有名な共演を再現できそうですね。

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このAdd-onは2種類のビブラフォンをモデリングしました。上のサンプルはフランスの著名なビブラフォン奏者所有のもの、下のサンプルは同じくフランスのトゥールーズにあるCondorcet Studioのもの。バリエーション豊かな最高のビブラフォンを堪能してください。

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「ビブラフォンって…使うかなぁ」と偏見を持たずに、こんな素敵な音色が似合いそうなアレンジをしたくなりますね。


Rock Piano YC5 Add-on(国産のあのピアノ)

今回、Pianoteq Playをお買い求めの場合はこちらのAdd-onのみ選択できます。このピアノ、ホントに名前で損をしているなぁと感じるピアノ。

製品詳細ページにはその名の通り「ロックな」ピアノのデモソングがすでにあるので、静かなイメージのデモソングを用意してみました。Pianoteqに元から収録されているピアノと比べても、まろやかで心地良い響きのピアノです。

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Celeste Add-on(チェレスタとグロッケンシュピール)

このAdd-onにはチェレスタとグロッケンシュピールという楽器が収録されています。チェレスタは金属板をフェルト巻きのハンマーで叩いて音を出す楽器。エレピのようでもあり、ピアノのようでもあり、その間の子でもあるような、不思議な響きの楽器です。ただし、形はアップライトピアノのような見た目で、実際に鍵盤がついています。

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もう一つのグロッケンシュピールは、上のチェレスタの鍵盤がないもので、見た目は鉄琴のような形をしています。こちらは真鍮製のマレットで叩くため、高域の張った可愛らしい音がします。コイツをソロで生かすデモが作れなかったので、エレピと混ぜたデモを1つ。

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こういった音色は、近年のポスト・ロックやアンビエントなんかにもよく似合うように思います。上でご紹介しているようにこちらも集音時のマイク位置を自由にセッティングできたり、グロッケンシュピールの音色に一番影響を与えるハンマーの固さを無段階で調節できたりします。


Xylo Addon (シロフォンとマリンバ)

ここまでご紹介してきたチェレスタやグロッケンシュピール、ビブラフォンは鉄製のバーでしたが、このシロフォン、マリンバのバーは木製です。何はともあれこんな音を作ることができます。

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木から産まれる音の暖かみがダイレクトに響く楽器。個人の趣味を押し付けるといけないのでベーシックなデモソングにしましたが、これにディレイとリバーブをたっぷりかけて響かせると…ホントにたまらないですよ。

木琴のサウンドが一番変化するのは、やはりマレットの材質。そして打鍵する位置。Pianoteqならいずれも自由に設定でき、毎回の打鍵位置を(好きな範囲で)ランダマイズすることもできます。外側を叩けば鳴りが目立ち、内側を叩けばウッドらしい暖かみのある音を目立たせることができる。まるでギタリストがピッキングの位置を常に変えているような表情を付けられるわけですね。


Electric Piano Add-on(RhodesとWurlitzer)

なんだかんだ言ってもAdd-onシリーズの中で一番の人気はこれかもしれません。Electric Piano。Electric Pianoといえば私たちは現在、他社のエレピ製品のプロモも同時進行しており、しかもいずれも物理モデリングによる製品です。いずれか一方を選べ、といわれると私は困ってしまいますが(どちらも大好きなので)、サウンドのキャラクターはまったくといっていいほど違います。

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Pianoteqならではという点では、やはり自由自在のマイキング(スーツケースタイプのエレピ)や、鍵盤ごとのチューニング(Pianoteq Pro)、などがあります。さまざまな方に試聴をしていただくと、やはり好みによって分かれますね。

本Add-onにはRhodes、Wurlitzerの両タイプのエレピを収録しています。


Pianoteqはこのように続々とAdd-onをふやし、究極の鍵盤系楽器として成長しています。どんな音楽であれ、これらの楽器はきっとみなさまの今後の音楽制作に役立つ相棒となってくれると思います。

Pianoteqを購入後、インストールすると全てのAdd-onがデモでお使いいただけますので、どのAdd-onが欲しいか選んでいただくのはひと通りのAdd-onを試していただいてからでもOK!。ただし、8/31までの締切となっていますのであまり時間は残っていません。

本プロモーション対象の製品は、全国の楽器店、コンピュータショップでお求めいただけます。ぜひこの機会に。

Pianoteq サマープロモーション:有償Add-onをプレゼント 詳細ページ

03 Aug 11

お持ちのピアノ音源に挑戦状!ご自身の音源と聴き比べてみてください

スタッフHです。

ちょっと過激なタイトルをつけてしまいましたが、本日は「最高のピアノ音源」の1つ、Synthogy Ivory IIのサウンドを聞いて頂く記事です。最後には本日のデモで使用したMIDIファイルを付けますので、みなさまがお持ちの環境で(お持ちの音源で)も試してみてください。

唐突にピアノ音源を取り上げたのは、8/2の坂本龍一さんUstreamライブ(skmts)に感動したから。

それから、これまた先日、宇多田ヒカルさんのツイートでIvory IIを購入した!というツイートを見つけたから

そういう理由で、頭の中がピアノの音でいっぱいになってしまったのです。本ブログをご覧のみなさまに、私たちが自信をもっておすすめするピアノ音源をチェックしていただきたいと思います。

Ivory IIの最大の特長といえば、

    1. 世界最高のピアノ3台を、世界最高のレコーディングエンジニアが、世界最高の環境で、長期プロジェクトで全鍵サンプリング。合計77GB。
    2. サンプルをただ再生するだけではなく、物理モデリングとのハイブリッド・エンジンを搭載し、よりリアルなストリング・レゾナンス、ハーフペダルを表現
    3. ピアノ専用に開発された32bitエンジン、ピアノのためだけのユーザー・インターフェイス

      に集約できると思います。濃密で暖かい低音弦、美しく響く高音弦。文句なしに世界最高のピアノ音源の1つだと自信をもっておすすめします。

      • まずはBosendorferから。

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      オーストリア生まれのピアノの王様。私が個人的に見たクラシックコンサートの多くがBosendorferでした。この290というピアノは、通常の88鍵ではなく低域を1オクターブ拡大した、97鍵の通称「インペリアル」です。

      エフェクトはIvory II 内蔵のリバーブをほんの少し。ダンパーペダルを踏んだときのノイズ、弦の共鳴、リリース時のサンプルの全てを使用しています。共鳴板は「響きすぎない」”Clean Soundboard” を使用。鍵盤の両端を一気に鳴らしたときの迫力は、Bosendorferならでは。高音弦を叩くハンマーが時折せつなさを感じさせます。

      • 次は、YAHAMA C7。

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      おそらく、私たち日本人が最も馴染みのある音であろうピアノ。音が鳴った瞬間に、なんだか安心感すら感じてしまうのは私だけでしょうか。幼少の頃、ピアノ教室でC7を使えたのは上級生クラスだけでした。私はC1を弾きながら、いつかあのC7を弾いてみたいと思ったものです。ポップスやジャズといえばヤマハ、と勝手にイメージしてしまいます。

      こちらもエフェクトはIvory II内蔵のスタジオ・リバーブをほんの少し。イコライザーで1dbだけ高域・低域をそれぞれ補正しています。

      • 最後に、Steinway。

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      一聴して分かるとろけるような甘い響き。響板の響きがすべて聞こえるかのような豪華さ。弾き方であらゆる表現ができそうな心強さ。なにも考えずにIvory IIを起動すると、無意識にこのピアノを私は選んでしまいます。他のピアノとは構造から違い、音響工学を取り入れた設計にもなっているこの難しいピアノのレコーディングに果敢に挑んだSynthogyのチームに頭が下がる思いがします。

      こちらもまたIvory II内蔵のスタジオ・リバーブをほんの少し。Steinwayの特長でもある響板の響きは、”Medium Resonant” を使用しています。代わりにペダル・ノイズを少し抑え気味にしています。


      もちろんIvory IIのサウンドはこれだけではありません。ソフトウェアの利点を生かし、自由にピアノを設計することすらできます。響板をどれだけ響かせたいか、ストリング・レゾナンスを生かすかどうか、グランドピアノの蓋の開き具合で変わる音、ハーフペダルのときに得られる特徴的な音はどうするか。

      製品詳細ページには他にもたくさんのデモソングを用意しています。ぜひ聴いてみてください。

      さて、本日デモソングで使用したMIDIファイルを置いておきます。みなさんが今お使いのピアノ音源を鳴らしてみて、Ivory II GrandPianoの音と比べてみてください。

      本日のデモソングMIDIファイル

      Ivory II Grand Pianos製品詳細ページへのリンク

      29 Jul 11

      MPCライクなソフトウェア真打ち登場?! FXPansion Geist発売開始

      スタッフHです。

      本日7/29より、FXPansionのGeist(ガイスト)を発売開始いたしました。個人的には、ここ数年のパッド系サンプラーの中でも最高の製品なんじゃないかなと思うほどに強力な製品です。

      画面をみて「あれ、見覚えあるな…」と思った方は鋭い!?FXPansionは過去にも同様のコンセプトを持った「GURU」というソフトウェアをリリースしていました。今回のGeistの前バージョンに当たります。

      正直なところ私たちスタッフが当初このGeistを見たとき、「あれ、GURUの名前のままバージョンアップしないで、違う名前になっちゃったよ」と思いました。その後、Geistが私たちの手元にとどき、さっそくインストールして試してみたところ。なるほど、確かにこれは別の名前にしたくなるほど別製品だ、と感じました。正統進化をしているけど、別物といっていいほどパワーアップしていたのです。

      一番の違いは、Geist本体でサンプリングができるようになったこと。これにより、スタンドアローンで使用しているときにはもはやAKAI MPCシリーズのようなハードウェア・サンプラーのようにすら感じます。あくまでも個人的な意見ですが、Geistをスタンドアローンで使用しているときには、どんどん曲のアイデアが浮かぶんです。

      近年ではコンピュータのパワーも飛躍的に向上して、ノートマシン一台でいくらでもソフトウェアシンセを立ち上げて(どこでも)作曲できるようになったり、複数の便利なプラグインでとんでもなく簡単に作曲できたりもします。実際、私が持ちまわっているMacには、取扱いほぼ全てのプラグインが入っています。

      それなのに、なんだかGeist一台だけを立ち上げてノンストップ作業をしている方が楽しく、面白い構成がどんどん浮かんでくるのです。

      そんな私の話はさておき、FXPansionが作成したビデオを1つご紹介します。このたった5分くらいのビデオで、Geistに何ができるのかお分かり頂けると思います。

      バンドメンバーが集まり、ドラムループを元にどんどん楽器をレコーディング。レコーディングされた素材はすぐにスライス処理され(もちろん、グルーブに自信があればそのまま使う事もOK)、8つのエンジン(=パート)それぞれに楽器を割り当て、どんどん展開をつくっていきます。

      スライスしたシンセベースを元に、さまざまなパターンを作る。スライスを組みかえて予測もつかないフレーズが産まれる。Geistは一人で触っても、友達が集まってワイワイ触ってもいい物が生まれそうですね。

      最後に、当社きってのビートメイカー、Miya(普段は表にでてこないやつですが、格好いいの作るんですよ)がGeistを触ってソングを作ってみたものをムービーでご紹介しておきます。

      FXPansion Geistは、全国の楽器店/コンピュータソフトウェアショップ、またはMIオンラインストアにてどうぞ!

      FXPansion Geist 製品詳細ページへのリンク

      15 Jul 11

      エレピの”イイ音”って?

      スタッフHです。

      ただいま期間限定で実施中の『AASのLounge Lizard EP-3ダウンロード限定 60%オフ』プロモ。Lounge Lizardは物理モデリングによる最初期のエレクトリック・ピアノ専用音源なんですよ。

      エレクトリック・ピアノ。略してエレピ。音楽制作を始めると、突如気になるあの甘い音。あるいは、古いYouTubeのライブ動画なんかをみていて、プレーヤーが弾きこなすあの黒い鍵盤楽器。

      歴史に残る名盤の多くに、エレピは使われていますね。エレピの歴史は、そのままポップ・ミュージックの歴史と言っても過言ではないかもしれません。また最近ではRhodes MK7の発売により、再度エレピサウンドに注目が集まっているような気がします。

      かくいう私も、かつてはローズ/ウーリッツァーのサンプルライブラリを集めまくった事があります。AKAI S3000用のライブラリ(クリプトンさんから出ていたX-Sampleシリーズは名作)から、Roland JV2080にKeyboards of the ’60s & ’70sを挿して使ったり(このライブラリの製作者は、我がSonic Realityですよ!)最初期に出てきたソフトウェアシンセサイザーを購入してみたり。

      どれもこれもイイ製品ばかりです。特にエレピにこだわるデベロッパーが多いのか、あまり「ハズレ」がないように思います。

      じゃあ、エレピ音源って何を基準に選べばいいんでしょう。実際のところ、どれもこれもリアルですからね。これについて、友人と酒を飲みながら談義をしたことがあります。

      友人「グランド・ピアノなんかはやっぱりリアルなもの、ちょっとイマイチなものがあるけど、エレピは素のまま使うことはなくて、アンプやエフェクターを通した音が “エレピの音” だから、結局のところ”リアルさ”って当てはまらないかもね」

      私「だとすると、エレピ音源って何を基準に選べばいいのかな?」

      友人「歴史に残る名盤や、YouTubeなんかで聞こえる”あの” 音がでるものなら、誰も文句はないんじゃない?それもバリエーション豊かに。プリセットがたくさん入っていてさ」

      私「結局出したい音って、イメージするレコードがあるはずだもんね」

      友人「あとはエレピ本体の状態を変えられるようなものだったら文句ないね。バーやハンマーの状態って全てのエレピで全然違うからね。ビンテージエレピを展示してるお店で触ってみたらよく分かったけど」


      …とまぁ、今考えればまさに今回のAAS Lounge Lizardのためのような会話ですが、これはまだ私がここに入社する前の話し。

      ということで、そんなLounge Lizard EP-3ですが、こんなふうに歴史にのこる名曲の「あの音」プリセットが用意されています。

      さらに、同じRhodesでもミントコンディションのものから、壊れ寸前のものまで。エフェクトを多用したどこかで聞いたような音から、チルアウトしてしまいそうなドープなサウンドまで。

      そしてLounge Lizardは「物理モデリング」方式を採用しています。単なる録音されたサンプルを再生するだけとは異なり、実際にエレピの中で起こっているであろう現象をリアルタイムで再現しながら音を産み出しています。「もうちょっとピックアップの位置を近づけて、音をくっきりさせたい」なんて事もできてしまうわけです。

      物理モデリングの良さを5つあげると、

      • まるでエレピを分解してるのかと言わんばかりの次元までエディットできる
      • プリセットのロードは一瞬。だってサンプルの読み込みはありませんからね。
      • ベロシティレイヤーなんてものはありません。全てのベロシティに異なる反応をするほか、音が鳴っているときに別の音が鳴ったとき、と、毎回異なるふるまい。
      • メモリはほとんど使用しません。
      • インストールは一瞬。私は5秒かからなかったです。

      さて。気になる方はまずデモソングを聞いてみてください。

      AAS Lounge Lizard EP-3 製品詳細ページ

      60%オフ!キャンペーンは7月31日まで。ダウンロード版なので在庫切れはありませんが、お早めにどうぞ!

      21 Jun 11

      作曲家ジェイムス・ニュートン・ハワード、Spectrasonics製品と映画音楽を語る!

      古くからSpectrasonic社製品を愛用し、数々の有名な賞を受賞する作曲家、ジェイムス・ニュートン・ハワード氏は、現代最高のフィルム・コンポーザーといっても過言ではありません。

      オスカー・ノミネート8回、ゴールデングローブ・ノミネーション3回をはじめ、グラミー賞やエミー賞などを含めて100作以上の映画音楽を手がけ、ここ最近では、映画「グリーン・ホーネット」の音楽を担当しています。

      このインタビューでは、ハワード氏がどのようにSpectrasonic社製品を作曲に活用しているかを語っていただきました。

      「グリーン・ホーネット」の監督、ミシェル・ゴンドリー(「エターナル・サンシャイン」ほか)は画期的な制作手法を用いることでよく知られています。

      ハワード氏によれば、監督は音楽を最優先に考え、映画制作のベクトルを正しい方向へ示してくれたそうです。

      ”スケジュールにもよるけど、テーマ曲を複数まとめて作曲することもあって、それが他の曲の土台になったりする。こうすることで一貫性も保てるし何より、スピードも上がるしね。”

      これこそ、監督と作曲家の信頼関係がなせるワザなのでしょう。

      ”他にも、映画の中でキーポイントになるシーンを決めて感覚を掴んだよ。今回は映画の最初のシーンを選んだ。セス・ローガンというメイン・キャラクターにとって、とても印象的なシーンだったからね。

      冒頭のシーンと他数シーンの音楽を仕上げて監督に持っていき、確認してもらった。僕達両方がしっかり同意の上で、先に進めたことが功を奏したね。”

      ”Spectrasonics社の製品は発売された当初からずっと使っている。テクスチャをつくるならOmnisphereを最初に使うし、Trillianの豊富な種類のベース音源には他に右にでるものがない。

      「グリーン・ホーネット」の制作過程として、最初にサウンドのパレットを作っていった。OmnisphereのみReceptorでロードして、残りのプラグインはCubaseといった具合に。すぐに使いたい音が呼び出せるのがいいね。

      僕のパレットには、パッド、テンポにシンクしたサウンド、パーカッション的なものなどを揃えている。ついでにいうと、パッドには未だにAtmosphereからの音色も活用しているよ。”

      ”Omnisphereの何がすごいって、デフォルトのパッチから自分好みにカスタムするのに、たった数回クリックするだけなんだ。”

      ”パッチを選んで、エンベロープを変えたり、ディレイやアルペジエイターで新しいパッチにしたとしよう。更に、オリジナリティを出すために豊富なエフェクトを活用すれば、リッチで深味のあるサウンドや、アグレッシブで緊張感のあるサウンドも作れる。それに、どんなパラメーターでもMIDIコントローラーでアサインできるから、もう一段上のレベルのダイナミクスを加えることもできるしね。

      パレットを作っていく段階で少しスペースを空けておくと、全体を通して使うときや、場面だけに限って使う場合でも、後でパッチを追加するとき困らないですむ。

      これはどんな音楽制作の課程でもよくあることだ。作曲していく課程で先が見えなくなることや、元のプランを調整しなきゃいけない場面が必ずある。音作りにおいても同じことだね。

      ”僕のパレットから絶対に外せないのが、Omnisphereだ。もちろん、Atmosphereがそうだったようにね。なんといっても、全ての要素を網羅するサウンドが簡単に使えてしかも自分好みにエディットできる。”

      ”「グリーン・ホーネット」のように、勢いのある動きがメインになる映画に使ったのが、アルペジエイターとテンポシンク・エフェクトだよ。こうした映画にはすごく便利なんだ。

      ストリング・セクションと合わせて使えるパッドも、オーケストラのストリングスにレイヤーとして重ねることで、音に厚みを加えられる。

      ギターのパッチなんかもいい例だね。例えば、Glorious Guitarsとか。素晴らしく豊かに感情を表現できるパッチの1つだ。”

      ”僕は曲のアイデアと編曲を、いつも同時進行させるプロセスで進めていく。エレクトロニックからオーケストラのモノ含めてね。こうした相反するサウンドは切っても切り離せない。両方を上手に扱う必要があると僕は思うね。

      映画とのタイミングを図ったり、ミキシングもその場その場でやっていくことが、その両方のサウンドを映画にうまく溶けこませ、音楽を”シンクロ”させる唯一の方法だよ。

      “映画音楽という仕事を受ける上で、できるだけ早く僕は音楽を仕上げたいと思っている。仮の音楽では映画作品の発する”声”がわかりにくいだろうからね。

      たいていの場合、僕が持っていくシンセのデモは映画のプレビューで使われるけれど、映画製作の最終段階に使われるものと結果的にあまり変わらないことが多いからなんだ。”

      “もちろん、「グリーン・ホーネット」のように力強いテーマ曲が必須な映画では、音楽が掛け値なしに重要になるわけだ。

      本当にたくさんの種類のサウンド、オーケストラからシンセ、エレクトロニック、ギター、ドラム、ブラスまで、ふんだんに使用している。映画に合う音選びというのはその他の要素も含め、とても重要なことだ。これだけ多くの音が入ることで、散らかった印象を与えかねない。

      アクションでありコメディでもあるこの映画では、様々な音楽的アプローチが必要になったけれど、同時に一体感も生み出さなければいけないんだ。

      “制作の過程で、レコーディングが必要になった時はギター、ベース、ドラムのような小規模なものから始めることにしてる。その後にオーケストラのような大規模のレコーディングをすることで、監督が全ての音楽が映画と渾然一体となってることを、セッションを通じてリアルタイムに確認できるからね。”

      ハワード氏が手がけた100を超える映画作品は、クラシックなものからポピュラーなものまで非常に幅広く、バットマン・ビギンズ、プリティ・ウーマン、逃亡者、ワイアット・アープ、ベスト・フレンズ・ウェディング、シックスセンス、コラテラル、The Devil’s Advocate、The Lookout、デイブ、フォーリング・ダウン、摩天楼を夢みて、アイ・アム・レジェンド、ヒマラヤ杉に降る雪、キング・コング、ブラッド・ダイヤモンド、プライマル・フィア、ザ・インタープリター、フレンチ・キッス、フィクサーなど様々な名作の音楽を担当しています。

      最後に、彼のように偉大なフィルム・コンポーザーになる上で、必要な才能はあるかと尋ねてみたところ、

      ”僕は、スタジオの中で一番卓球がうまいんだよ”

      とのこと。

      ふむ…彼の成功の裏にはまだ少し秘密がありそうです。

      原文リンク

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