Review, interview and Colin McDowell Corner.

McDSP Channel !

17 Apr 08

Colin’s Corner | FilterBank LE

Project Studio 2バンドルは、人気の高いMcDSP製品、そののLEバージョンを集めたもので、ラインナップは、 Analog Channel、 Chrome Tone、 CompressorBank、 FilterBank、 Revolver、 ML4000、 そして Synthesizer Oneと、全製品に及びます。Project StudioはElectronic Musician誌の2007 Editors Choice Awardを受賞、掲載されたレビューもこちらから(www.emusician.com)ご覧いただけますよ。

もしProject Studioのプラグイン・機能だけでは物足りなくなってしまったら、さらに上位製品の Emerald Pack Nativeへのアップグレードも可能です。

 

でもどんな道具も使い方を深く知ってこそ真価を発揮できるというものですよね。ここではFilterBank LEプラグインのTips、使用例などをご紹介しましょう。

 

厳選した、3つのEQ。 

E4

E4

FilterBank LEには、10種類のコンフィギュレーションを備えたフルバージョンのFilterBankプラグインから厳選した、3つのEQが用意されています。その3つは下記の通り。

  • E4 – ハイパス、ローシェルフ、パラメトリック、そしてハイシェルフの4つで構成されたEQ
  • F1 – クラシックなローパス・フィルター
  • P4 – 4バンドのパラメトリックEQ

 

さて真っ先にお伝えしなくてはならないことは、オリジナルのFilterBankにあった柔軟な操作性を、LEも備えている、ということです。独自のピーク/スロープ/ディップといったシェルビングEQのパラメータ、周波数レンジ(20〜20kHz)をフルに活用できるパラメトリックEQ、スウィープも可能なローパス・フィルター、これら全てがFilter Bankと同じ構成になっています。そしてどのMcDSP製品にもいえることですが、RTAS/Audio SuiteバージョンもTDMと同等になるよう、綿密に作られています。でも、どうすればこれら素晴らしい機能の利点を最大限に引き出せるのか?ご案内しましょう!

 

Peak、Slope、Dipについて

FilterBankはハード、ソフトウェアを問わず、シェルビングEQの根本となる要素—ピーク、スロープ、ディップ—をユーザが完全に操作できる、唯一のEQです。3つともなにやら気のきいたアルゴリズム用語のようにみえますが、さて、これがいったい音楽の制作にどう関わってくるのか、見てみましょう。

 

Peak:ピークは、シェルビングEQでブースト/カットした周波数帯の「突出(overshoot)」をさします。シェルビングEQに「パンチ」を加える、有用なパラメータです。ほんの少しピークを持たせるだけで、ミックス内におけるシェルビングEQの「抜け」も違ってくるはずですよ。ピークを賢く使うことで、むやみにゲインを持ち上げる必要もなくなるかもしれませんね。(Figure 2)

 

Dip:ディップとは、ブースト/カットした周波数帯以外の部分の「くぼみ(undershoot)」をさしています。ディップを適切に設定することで、シェルビングをブーストしたすぐ下、またはカットした際のすぐ上にあたる、シェルビングされないパートの周波数帯をより自然に響かせることができます。ある帯域のプレゼンスを上げたいときには、併せてシェルビングした場所の上/下にあたる帯域を下げてみるのも、なかなか良いアイデアだと思います。こうしてある帯域を下げておくことで、無理に聞かせたい範囲をブーストする必要もなくなります—インテリジェントなEQと言えるやりかたですね!

 

Slope:スロープはシェルビング・パートとシェルビングされないパートの移行部分、トランジションです。50%以下の緩やかなセッティングではよりスムーズなレスポンスが得られます—ピアノの高域を持ち上げるときなどにはぴったりですね。75%以上のより高い値では、より締まったレスポンスに—キックやハット等を持ち上げるのには最適です。ピークおよびディップ・パラメータは、スロープが緩やかになるに従ってその効果も減少します。スロープを0%に設定すると、シェルビングEQにおけるピーク/ディップの効果も0となります。

 

フィルター・スウィープ・シティ 

F1

F1

その性能は世界級、のFilterBankですが、さらにこれはレゾナンスを備えたハイ/ローパス・フィルターでもあるのです。FilterBankのF1コンフィギュレーションは、レゾナンス、- 6、12、18、24 dB / Octのフィルター・スロープを備えたローパス・フィルターです。

 

ミックス内に「動き」を作り出すには、トラックにローパス・フィルターをかけ、カットオフ・フリーケンシーをオートメーションする、という素敵な方法があります。高域を削るフィルターの動作そのものが、リスナーの注意をスウィープ処理されたミックスの各要素に引きつけるわけです。さらにレゾナンスを20-40%程度まで上げていくと、さらにいい感じのピークがローパス・フィルターに加わり、シェルビングのPeakを上げたときのように、ミックス内でのフィルターの効きも「抜けてくる」ようになります。

 

一般的なデジタルEQのレゾナンス・ピークを上げすぎると、歪みは避けられませんが、FilterBankはアナログ・サチュレーション・モデリングを全てのEQ/フィルター・コンフィギュレーションで採用しているため、クリップした時ですら、いい音に感じられるかもしれませんね!念のため、McDSPは1998年からプラグインの開発に携わっています。10年にわたってPro Toolsの世界で一線に残っているプラグインなんて一体いくつあることか?!…すみません、少し大げさに自慢してみました…しかしMcDSPはこのビジネスを長く続けたいと考えていますし、だからこそ製品のさまざまな使い方について考えていくと、頭がいっぱいになってしまうんです(あなたが自分のミックスに対してそうであるように)!

 

パラメトリック・モード 

P4

P4

P4のコンフギュレーションは、一見よくある4バンド・パラメトリックEQですが、よくよく見ると他のEQプラグイン(もちろんアウトボードにも!)にはない機能が備わっています。まずは各バンドの周波数レンジ、これは全て20〜20kHzに設定されオーバーラップも可能と、非常にフレキシブル。ゲインとQのコントローラは一般的なパラメトリックEQと共通になっています。そしてなんといってもクールなのは、P4のイン/アウトプット・セクション近くに配している「モード」コントロールです。これらのモードは、FilterBankの各パラメトリック・セクションのレスポンスを調整するためのすごいパラメータなんです。ここではモードを分類して、それらがどんな風に音楽制作に役立てられるのか、見てみましょう:

 

  • Normal: デフォルトのQレンジ(0.2〜0.4)です。
  • Notch: ゲインがマイナス値のときにQが5倍まで狭くなり、さらに-24dBまでカットが可能(NORMALでは-12dBまで)。このモードはノイズの低減や背景の音を取り除く、といった非常に狭いレンジの周波数帯をカットしなくてはならないような、ポストプロダクション/放送用素材での使用を想定しています。
  • Gain: ゲインが上下するほど、Qが狭くなる。つまりEQブースト/カットに従ってQの幅が賢く変化し、+/-ゲインの値が大きいほど狭くなる。Qを広めに設定したときにゲインを上げすぎないようにする、便利なモードです。
  • 5x Q: 文字通り、Qの値がNORNALモードの5倍(1.0〜20.0)の狭さになります。極端にタイトなEQが必要になる、複雑なトラックに向いていますね。

Profile

プロフィール

Colin McDowell
コリン・マクドウェル

McDSPの創設者であり、同社のCEO兼チーフプログラマー。IBM、Digidesign、ドルビーラボラトリーズ、といったデジタル・オーディオ業界の第一線で10年以上にわたり、DSP開発に携わるエンジニアとして活躍してきました。TDMシステムのプロトタイプ開発にも参加し、ドルビー・エンジニアリングチームの一員としてその年のエミー賞を受賞しています。

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