随分とブログへの書き込みをしていなかったので、ここのブログ投稿時に使っていたTAGなどをすっかり忘れてしまいそうです。今回はTAGを使わずに書き込んでみます。実はスタッフHさんの方からProTools|HDでも使えるPlug-Insネタはもらっているのですが、なかなか進んでいませんでした。もう「明けましておめでとうございます」とは書けない時期になってしまったのも気になってました。Osamu ‘’shu” Imamotoさんからのあぶり出しに応えて書き込みを・・・
2009年の門出を祝って、小ネタをひとつ。
今からさかのぼる事29年前の1980年6月25日、私にとって人生を左右するようなものすごく大きくて生涯忘れられない出来事がありました。昔ヤマハ渋谷店に居た頃私と近しかった方々は知っている話しなので、何を今更またその話しかい・・・と思われる事とは思います。
1980年6月25日、場所は西新宿の京王プラザホテルのエントランスで始まりました。その日、友人とWeather Report中野サンプラザで公演後に戻ってくるメンバーに一目会いたいという少年的な思いと、サインだけでももらえれば宝物だ・・・という良くある10代の思いから出来事は始まりました。
当時のWeather Reportは人気絶頂期で、新宿厚生年金のコンサート後は裏にある楽屋口の出入り周辺は100人くらい、またはそれ以上のファンで埋め尽くされていて、遠巻きに一目見ることは出来てもサインなどもらえるような状況ではありませんでした。そこに友人と2人でかなり後ろの方からその様子を眺めていた訳ですが、送迎に来ていたハイヤーのドライバーさんが(どうやら私と同じ年頃の音楽好きな娘さんが居てファンの熱狂する気持ちがよく解るそうでした)「こんなに沢山の人が居たらサインなんてもらえないし握手も出来ないだろう・・・」ということで「京王プラザに泊まっているからそっちへ行った方がいいんジャマイカ」と私らだけに宿泊先を教えてくれたのです。当時はそんな感じでホノボノした時代だったのかも知れませんね・・・いまならストーカーやら色々と問題が多いので、守秘義務があってこんな話しは出来ないはずです。
1980年はまだそんなにコンサートへお金を掛けられなかったので、この年のWeather Reportは自分で買った6月23日の厚生年金ホール分とPeter Erskineに招待券をもらった7月1日の渋谷公会堂分、計2回しか見られませんでした。1981年には奮発して都内4箇所のコンサートに行くようになりましたが・・・
そこで私と友人は日にちを変えて京王プラザに向け出直す事にしたわけです。6月25日は中野サンプラザでの公演日であり、大体コンサートが終わるのが21時過ぎ頃、21時30分にはホテルに戻ってくるだろうという推測の元出かけたわけです。友人は「堕ちた天使 Ceterfold」などのヒットで有名なJ. Geils Bandもすごく好きで、同じホテルに宿泊しているそのグルーピー達と仲良くなってしまい、J. Geils Bandのファン方面に行ってしまっていました。そこへコンサートを終えて戻ってきたJoe ZawinulとWayne Shorterがまず戻ってきて、片言の英語でコンサートの感想を言ってサインをもらいました。さほど時間を空けずに今度はJaco PastoriusとIngrid Pastorius(当時の奥さん)そしてPeter Erskineが一緒に戻ってきて、握手とサインをもらいました。(この時期はまだパーカッションのRobert Thomas Jr.は参加していませんでした)
ここまでならごく普通の出来事で終わりなんですが、その後ひょんな事が起こりました。Ingridが「何か楽器やってるの?」という感じで質問してきたので、「あ、ええと、ベースやってます」と下手くそな英語で答えたら横でその話しを聞いていたジャコがすぐさま「Oh!, Bass… come on!」と言って親指をくわえてビールを飲むジェスチャーをして一緒に来い、と言ってくれたわけです。もう足がガクガクブルブル震えたのは言うまでもありません・・・こんな展開を全く予想していなかったんですから・・・しかも周りにコンサート関係者が全然居なくて、メンバーだけが戻ってきてメンバーだけのコンサートの後夕食に巻き込んでくれたわけです。
Peter Erskineは一度部屋に戻ってシャワーを浴びてから合流すると言う事で部屋に行きましたが、JacoとIngridに引き連れられて当時地下にあった樹林というパブ・レストランへと向かいました。そこで2〜3時間の間、Jaco Pastorius、Ingrid Pastorius、Peter Erskineに囲まれて生きた心地がしないほどの緊張感の中、地に足が付かないままに一緒の夕食(飲み)時間を過ごさせてもらったわけです。因みにJacoはHeinekenの瓶を何本もラッパ飲みしてましたが、顔は真っ赤っか・・・酔っぱらうと普通の28歳のアメリカ人的でしたが、とにかくフランクで自然体の人で、後にJAZZ LIFEなどで記事にされたような奇行などはみじんも想像できない人物でした。Ingridは中南米の生まれなのか、茶褐色でものすごくエキゾチックな美人でした。アメリカ中南部にはこんな美人が居るんだ〜・・・と当時は思ったほどです。あまりの緊張感に何を話したのかも殆ど覚えていないんですが、ベース奏法に関して少しJacoに質問して、右手のフォームの事やピチカートの時どこの関節を中心に動かせばよいか・・・とか話し、Jacoはしきりに「ギグは週何回やっている?」とか東京のギグ事情に興味があるようでした。
そんなわけで、少し飲めるようになった今は、Heinekenの瓶ビールを買ってJaco Pastoriusへのリスペクトを込めて飲んでいます。缶では味が違うんです・・・その事も最近は解るようになってきました。瓶の方が喉ごし良くすっきりしていて、味わいも良いのです。缶の方はアルミの味がするというかちょっとピリッと辛いのです。しかし、Heinekenの瓶ビールは普通になかなか売っていないので、量販酒屋か検索して見つけた酒屋で買うしかないのがちょっと大変です。STB 139は店にHeinekenが有るので、観に行ったときはついつい何本か飲んでしまいますが、店で飲むと割と酔わないのでゆっくり味わえるのが良いです。
この後、Recording Engineerを本格的に目指したのは、高校時代に聞いたWeather ReportのHeavy Weather以降やWord of Mouthというソロ・アルバムでのサウンドが好きだったんですが、そういった音作りをしているのは機械工学や電気知識があるエンジニアではなく、Jaco Pastoriusのようにミュージシャンの視線で作っているからなんだ・・・という思いと実態がハッキリと感じられ、ミュージシャンの視線や考え方で作る事を少しやってみようかな・・・というまま今まで続けている事になってしまいました。
長々と29年も前の出来事を綴りましたが、新年の挨拶を兼ねた読み物としてお読みくださっていれば幸いです。m(_ _)m
前回に引き続き、今回もJaco Pastoriusに関する話題で恐縮ですが・・・
Joni Mitchell のアルバム「ミンガス」発売後に行われたツアー中、1979年9月にカリフォルニア “Santa Barbara County Bowl” で収録されたライブでのベース・ソロです。
(Jaco Pastorius (eb) Live in 1979)
WEATHER REPORTのコンサートなどでも観客にとって一番楽しみにしていた見せ場であり、MXR Digital Delayを使いフレーズをループさせ、その上で弾きまくるソロ・コーナーなんですが、このライブ盤でのサウンドが結構良いんです。色々出ている作品の殆どがDelayのループ音とソロで弾いている音に違和感があり、どちらがどのような用途で使用されていたか資料に乏しいのですが、Acoustic #360(ヘッド、プリアンプ部)+ 361(45cmスピーカー1発入りキャビネットで200Wのパワーアンプ内蔵)とAcoustic #320(プリ・300Wパワー・ヘッド)+ 408(38cmスピーカー4発入り)の組み合わせから出ている音とラインの音などがうまく収録されていなかったりミックスされていないケースが多い中、この映像作品に収録されているサウンドは実際にコンサート会場で聴けるサウンドに一番近く、マイクが両方のキャビネットに立てられているので一番ジャコらしいサウンドとして記録されています。
おそらくこのライブ以外では収録する側がどのアンプをどの用途で使われているかまで把握できていなかったせいもあるでしょう。その為、MXRのDigital DelayのShort DelayでPitchを揺らすセッティングにて作られた独特のダブリング・コーラス効果も他のライブ盤より気持ちよく聴く事が出来るので、ジャコ・サウンドをライブで出したいと思う人には良い資料となるはずです。ジャコのサウンドはラインだけで収録された物と実際に会場で聴けるAcoustic Bass Ampからの音では随分と印象が違い、私はこの作品に残されたサウンドが一番好きです。
因みにこのツアーに参加していたメンバーは、Joni Mitchell (Guitar, Keyboards, Vocals)、Michael Brecker (Tenor Saxophone)、Pat Metheny (Guitar)、Lyle Mays (Acoustic Piano, Keyboards)、Jaco Pastorius (Bass)、Don Alias (Drums)、The Persuasions (Vocals) など錚々たる顔ぶれで、今やMichael Brecker、Jaco Pastorius、Don Aliasらがこの世に居ないのは寂しい限りです。
YouTubeの方にあるこの映像もそのうち無くなってしまうとは思いますがJoni Mitchellの「Shadows and Light」というCDと映像作品が別々に発売されていて、ジャコのベース・ソロが収録されているのは映像作品の方だけ・・・Pat MethenyとJaco Pastoriusがフロリダ大学時代からの旧友としてツアーを共にする見所いっぱいの映像作品です。
それにしても、1981年6月7日に何故WEATHER REPORTのコンサートが杉並にある普門館ホールでも行われたのか、その経緯は未だに謎のままです。普段とはかなり違う会場の雰囲気で、敷き詰められた分厚いカーペットと重厚な客席の椅子で観るコンサートはかなり異次元な感じでした。Joe Zawinulのシンセの音とJacoのベース・アンプから出されている音の大きさはまるで音で喧嘩しているかのごとく大きくて、生楽器のWayne ShorterとPeter Erskineの音がかき消されるくらいだったのがとても印象に残っています。
Jaco Pastorius と Toots Thielemans の2人だけで演奏する「3 views of a secret」は何度見てもグッと来る映像です。
WEATHER REPORTの『Night Passage』、2nd Solo Albumの『Word of Mouth』、そしてAurex Jazz Festivalで来日し Jaco Pastorius Word of Mouth Big Band でのライブ・・・そのどれよりも圧倒的に音数が少ないのに、伝わってくる音への感動は、この2人だけでやっている演奏にはかないません。
JacoもTootsもこの上ない笑顔で向き合い・・・1985年のとても貴重なヨーロッパでのライブです。
(Duo en Belgique 1985)
1982年にヤマハ渋谷店でキャリアをスタート、1985年のStudio TWO TWO ONE 設立と共にエンジニアとして参加。その後Z’sへ参加し1990年よりフリーランスに転身。(Twitter ID = JacoTen2)
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